DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

時代の産物を追う?〔続〕(9)

 続き。作品の後半二枚に触れてまいります。

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田中公平GRAVITY DAZE 2 重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択 オリジナルサウンドトラック』

1-1         Gravity Daze 2

1-2         災禍

1-3         憂心

1-4         帰港

1-5         バンガ

1-6         凶兆

1-7         パラレルフェイタル

1-8         出帆

1-9         採掘場 – 労働歌

1-10       強襲と凱旋

1-11       安息

1-12       魔境の域

1-13       重圧への抗戦

1-14       寂寥

1-15       石火の獅子

1-16       拭えぬ疑念

1-17       好敵手

1-18       拭えぬ疑念 (Additional 1)

1-19       拭えぬ疑念 (Additional 2)

1-20       拭えぬ疑念 (Additional 3)

2-1         やがて船が見える

2-2         レイ・コルモスナ

2-3         ポートゥラオの朝市

2-4         焦燥

2-5         採掘場 – 静謐

2-6         レイ・エルゴーナ

2-7         黒き疾風

2-8         ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Accordion Ver.)

2-9         燭光の域

2-10       レイ・ハビーナ

2-11       作戦指令

2-12       潜入

2-13       フォート・ビスマレア

2-14       亡霊都市

2-15       やがて船が見える (Additional 1)

2-16       やがて船が見える (Additional 2)

2-17       やがて船が見える (Additional 3)

 

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3-1         オルドノワ (Revisit Ver.)

3-2         プレジューヌ (Revisit Ver.)

3-3         インダストリエ (Abandoned Ver.)

3-4         ヴァン・ダ・センタリアレ (Revisit Ver.)      

3-5         追跡

3-6         死者の行進

3-7         レベル4

3-8         採掘場 – 深淵

3-9         侵襲

3-10       アンジェ

3-11       パラレルフェイタル (Failed Ver.)

3-12       幾何の域

3-13       因果の螺旋

3-14       Gravity Daze 2 (Harmonica Ver.)

3-15       Faster And Higher

3-16       Qualify

3-17       Mission Clear

3-18       New Record

3-19       Game Over

4-1         世界の果て

4-2         エト

4-3         閉ざされし日々

4-4         ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Orgel Ver.)

4-5         狭間の記憶

4-6         電磁力の女王

4-7         世界の半分を統べる力

4-8         絶望

4-9         灰燼に帰す

4-10       ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Chant Ver.)

4-11       ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ

4-12       Gravity Daze/重力的眩暈 (Ending Ver.)

4-13       万有引力の崩壊

4-14       記憶の迷宮

4-15       陰陽

4-16       白紙に戻す怪物

4-17       ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Instrumental Ver.)

 三枚目は冒頭に、やはり舞台となる「街」のテーマソングが連続。3-1「オルドノワ」は前作の主舞台のテーマでしたが、本作用にアレンジを変え再録したんだそうです。ストリングスと笛をメインにしたこのテーマを聴くと、「ああ、帰ってきたなあ」とか感じちゃうっていうのは、ゲームのやり過ぎですかねやっぱり。3-2「プレジューヌ」のジャジーなテイスト、3-3「インダストリエ」の物憂げな感じ、3-4「ヴァン・ダ・センタリアレ」の上品な華麗さ、いずれも街の風景を思い起こさせてくれます。

 

 アクション的な印象でいうと、高速4ビート・ジャズの3-5「追跡」が、“何かを追っかける”または“何かから逃げる”ミッションでよく聴けました。けっこうこういうアクションが苦手で、何度もやり直した気が……。バトル系の3-9「侵襲」は、例によってレコーディングバンドの素晴らしい力量を堪能出来ます。個人的にはやはりドラムに耳が行きますけど、16分の刻みを美味しく入れてくれるのが心地好いです。あとは粘っこいギターソロと、強烈なホーンのブロウもね。こんなふうに、人力音楽のすばらしさを教えてくれるサウンドトラックではありますが、時々違った作風のも混じる。3-15「Faster and Higher」は打ち込みのデジタルなサウンド+エレクトリック・ギターの疾走ナンバー。“タイムアタック”みたいなミッションで流れました。

 

 あとは十秒程度と短いですが、3-16「QUALIFY」・3-17「MISSION CLEAR」なんかも単なる効果音以上の「音楽」でした。そんなに無茶苦茶難しいゲームじゃないですけど、まれにはしくじって3-19「GAME OVER」が流れると悲しくなったしね。

 

 四枚目はゲームがさらに進んで舞台が移ってからの楽曲群。ゲーム内で接する時間は短めになるので、三枚目までのように刷り込まれては正直いませんが……シリアスな展開になっていくので、そういう雰囲気の曲が多めになりますかね。

 

 4-3「閉ざされし日々」なんていうのは、ゲームをやればわかりますが、「これ、どうすりゃいいんだろう?」と若干途方に暮れながら聴くことになるので、(音楽が悪いわけじゃ全然ないんですが)何となく暗い気分になっちゃいますね。4-7「世界の半分を総べる力」は、全編張り詰めた緊張感を備えて進みまして、中間に「MISSION CLEAR」や「強襲と凱旋」のワンフレーズが顔を出しますが、それもアレンジの関係で「明るい」気分になりきれない感じなのですね。

 

 歌入りの曲は基本的に無いサウンドトラックですが、4-11「ア・クゥ オーン トゥ ワ / 赤いリンゴ」は歌が付きます。ただしその歌詞は「グラヴィティ語」という人造言語――ゲーム内の登場人物が話す――でして、日本語とか英語とかではありません。ゲームの作者・ディレクターの外山圭一郎さんが‟作詞”。(人造言語といえば我々プログレ消費者にはコバイア語Magma)という偉大な先達がありますが……)

 

 で、この曲は作品中ある場面で主人公により歌われることになるのですが、そのヴァージョンがまず良いのです。ジャズ・ヴォーカル風というのかな。たしか、ゲームのストーリー・トレーラー映像にも使われていたと思います。さらにこれはアレンジを加えられた「チャント・ヴァージョン」(4-10)が――“chant”をどこかで使いたいというのは外山氏の企てだったそうですが――ある場面で流れ、プレイヤーに強い印象を残します。

 

 あとは、メインテーマのバリエーション4-12「GRAVITY DAZE / 重力的眩暈 (Ending Ver. )」で大団円。エンドロール見ながら聴いたのがこれ(の筈)。いいゲームほど、達成感と同じくらいクリアしてしまった後の喪失感(?)て大きいですよね。なお、4-13以降は本編外の楽曲群です。(ゲームをやると、どこかで流れます。)

 

 なんて偉そうに言ってますが、私はこのゲームを2019年に入ってから知ってプレイしましたので、後追いもいいところ。サントラもその後入手ですから、「リアルタイム」でフォローしていたわけではないのであった。(これまた、例のデュープリズムんときと同じパターンです。)でも、あんまり良かったんで、このタイミングで書きつけとくことに致しました。本作についてはここまで。

<続く>

どんぱす今日の御膳004

004

3 Inches of Blood「Metal Woman」(『LONG LIVE HEAVY METAL』2012)

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 かつてThe Whoは“Long live rock !”と言い、Rainbowは“Long live R&R !”と謳いあげましたが、こいつらの心意気も素晴らしい。全然知らないでアルバムの一曲目を掛けたら、ベースがあやしくドゥクドゥクいい出したと思ったら、腰の据わったメタルソングが来ましたよ。(元)AcceptのUdoっぽい歌い方する(できる)ひとっているんだなあ……

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第53回「内田勘太郎」(2)

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 てなわけで内田さんというギタリストに興味をおぼえたので、まずは地元の公立図書館へ行った私。憂歌団のカセットテープを借りる為です。(高校生はCDなんてめったに買えないの。)憂歌団・ダイヤモンドコレクション』っていうのがあったから借りて、「シカゴ・バウンド」とか「お政治オバチャン」(「おそうじ~」ではない方)を聴いて「へえ、なるほど」と。歌詞は日本語なのがむしろ自然なわけで――米国の聴衆も基本的に母語を聴いてるわけだから――すが、当時の洋楽かぶれの私には新鮮に思えました。木村(Vo)さんの声も独特だしね。

 

 ただその時点では、作品を頑張って集める方向へは進まず。それなのに、つまりオリジナル・アルバムは一枚も持ってないのに、住んでるところの近隣に「憂歌団来たる」という宣伝を目にするや、音楽好きの友人を誘って見に行ったりしたんだから不思議ですけどね。やっぱり、バンドというより内田勘太郎のギタープレイを見たかったんでしょうねえ。よほどまいっていたと見える。(私はギター弾きじゃないんですけれども。)

 

 たしか、「お歳暮」と銘打たれていたから、年末のライヴだったんだと思います。行ってみてビックリ。そこそこの市の市民会館程度の広さはある会場だったと記憶するんですが、バンド(特にヴォーカルの木村さん)と聴衆の――心理的な――距離感がすごく近いんですよ。私はおとなしく見ていましたが、おそらく長年のファンと思われる方々は平気で曲間に(木村さんに)「オイオイ、弦切るなよ!」、「しっかりしろ!」、「だから弦を切るなって」云々と声をかけまくるんですよ。確かにその時、木村さんのギターの弦が(ピッキングの都合かどうかまではわかりませんが)切れちゃってはいましたけど……。で、それに木村さんもステージから応えるわけ。「スマン」とか「うるさい」とかね。

 

 内田さんのプレイも満喫出来ました。エレクトリック・ギターも使うことはあるのですが、圧巻は他のメンバーが下がった状態でのギターソロ・コーナー。若い頃のエリック・クラプトンみたいなトーンで、弾きまくる!ふだんはこの(ロック的な)テクはしまってあったんだなあ、などと思いました。やっぱり、音楽は生演奏を観ると、得られる情報量がケタ違いですね。

 

 憂歌団で最初に買ったのがこれ↓だったのです。今は亡きヴァージョン・メガストアでこれを買ってからなんとなく家族(親)に見せたら、“カヴァーじゃなくてオリジナル曲のを買えばいいのに”と「ごもっとも」な指摘を受けました。ただねえ、ブルーズを聴き始めたばっかりだったから、本家米国の曲を聴いてみたかったのよ。内田さんの「Sweet Home Chicago」を観た後だったしね。内田さんのスーパープレイを聴きたい私には大満足のもの。

 

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憂歌団『BLUES 1973~1975』(1978)*[  ]内はカヴァー元

  1. Please Find My Baby [Elmore James]
  2. Key To The Highway [Big Bill Broonzy]
  3. It Hurts Me Too [Elmore James]
  4. Kind Hearted Woman [Muddy Waters/Robert Johnson]
  5. King Fish Blues [Tampa Red]
  6. I Can’t Be Satisfied [Muddy Waters]
  7. Careless Love [Lonnie Johnson]
  8. Please Find My Baby [Elmore James]
  9. Walkin’ Blues [Muddy Waters/Robert Johnson]
  10. Shake Your Money Maker [Elmore James]
  11. Look On Yonder Wall [Elmore James]
  12. Rollin’ & Tumblin’ [Muddy Waters]
  13. Good Morning Little School Girl [Sonny Boy Williamson]
  14. Take A Little Walk With Me [Robert Jr. Lockwood]

  #1~7(1975.5.24)

  #8~11(1974.9.28)

  #8(intro)・12~14(1973.5)

<メンバー(憂歌団)>

 木村充輝(Vo, Gt)

 内田勘太郎(Gt, 12 Strings Gt, Harp)

 花岡献治(Ba)

 島田和夫(Dr)

 

 上の曲目に、彼らが手本とした人々を掲げときました(ライナーノーツに示してあったの)が、エルモア・ジェイムズマディ・ウォーターズが圧倒的に多いね。ロバート・ジョンソン曲も入ってますが、奥村ヒデマロさんのライナーによると、1975年時点では“ロバート・ジョンソンの曲は一般に発売されてなかった”ようなんです。憂歌団はマディのヴァージョンを参考にしているとのことで……ブルーズのレコードを手に入れるのも大変だったのですねえ。私みたいな青二才がコンプリート・レコーディングスを聴ける時代ってのは、恵まれてたわけだ。ありがたき幸せ。

 

 音源として一番古いのは最後に収められている三曲(及び8のイントロにくっつけられた部分)で、これらはベース・ドラムのお二人が加入する前の木村&内田のコンビによるテイク。リズムセクションが無いので歌やギターは生々しく響きます。木村さんのこの声、内田さんのこのギター、十代なんですよね……信じられん。「Rollin’ & Tumblin’」はマディの必殺ナンバー(エリック・クラプトンも大好きみたいね、『UNPLUGGED』参照)、「Good Morning Little School Girl」はサニー・ボーイ・ウィリアムソンの名曲、「Take A Little Walk with Me」はロバート・ジュニア・ロックウッドの十八番。どれも、バンドスタイルでのカヴァーがいっぱい世に出ていたことと思いますが、どこ吹く風で二人はカントリー・ブルーズに仕上げちゃった。「Rollin’ and Tumblin’」の長あいアコースティック・ギター・ソロが素敵。時々アコギのボディをコンコン叩く音が入ってるのもイイ。

<続く>

特集記事(その十一:中国メタル名曲紹介)

中国メタル名曲紹介(1)超載楽隊

中国メタル名曲紹介(2)唐朝楽隊

中国メタル名曲紹介(3)春秋楽隊

中国メタル名曲紹介(4)黒豹楽隊

中国メタル名曲紹介(5)冥界楽隊

中国メタル名曲紹介(6)窒息楽隊

中国メタル名曲紹介(7)施教日楽隊

中国メタル名曲紹介(8)Hyponic

中国メタル名曲紹介(9)海市蜃楼楽隊

中国メタル名曲紹介(10)霜凍前夜楽隊

中国メタル名曲紹介(11)戦斧楽隊

中国メタル名曲紹介(12)鉄風箏楽隊

中国メタル名曲紹介(13)幻世狂想楽隊

中国メタル名曲紹介(14)Raging Mob

中国メタル名曲紹介(15)暗月冥楽隊

中国メタル名曲紹介(16)紫冥楽隊

どんぱす今日の御膳003

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Bobby Rock「Roundabout」(『OUT OF BODY』1996)

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 Vinnie Vincent InvasionNitro、あるいはHardlineで叩いたドラマーBobby Rockのソロアルバム。名手Brett Garsed(Gt)のプレイを全面的にフィーチュアしてるアルバム(インストゥルメンタル)の中に、Yesのカヴァー有り。

 あの名曲がインストにアレンジされてまして、ボビーのドラムがBruford風というよりはWhite風なのは想定の範囲内ですが、ギターとキーボードと歌とをギターで表現しちゃうブレットさんが凄い。このアルバムには、多数のオリジナルソングのほかにこれや「Frankenstein(Edgar Winter)」、「Walk This Way(Aerosmith)」といったカヴァーもあって面白し。

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 「Frankenstein」は、同じくドラマーGregg Bissonetteもソロアルバムでやってましたね。(第48回「Pat Boone」(4)