DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳 其の一六〔391~ 〕

1アーティストにつき1曲ずつ、「これいい!」「おもしろい!」曲を紹介してまわるコーナーです。毎週水曜更新YouTubeSpotifyの力も借りて「音」への誘導もあります。

〔この「目次」は記事の追加ごとに順次増えていきます〕

どんぱす今日の御膳391 Roy Brown [Roy Brown]

どんぱす今日の御膳392 Demon [Demon]

どんぱす今日の御膳393 The Damned [The Damned]

どんぱす今日の御膳394 Jethro Tull [Jethro Tull]

どんぱす今日の御膳395 Eloy[Eloy]

どんぱす今日の御膳396 Wild Horses [Wild Horses]

どんぱす今日の御膳397 Argent [Argent]

どんぱす今日の御膳398 Phoenix [Phoenix]

どんぱす今日の御膳399 Johansson [Johansson]

どんぱす今日の御膳400 Motörhead [Motörhead]

どんぱす今日の御膳401 Mike Terrana [Mike Terrana]New!!!

どんぱす今日の御膳401 Mike Terrana

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Mike Terrana「More Coffee」『SHADOWS OF THE PAST』(1999)

 たまにはドラマー主役のインスト作品でも紹介しますか。イングヴェイ・マルムスティーンのドラマーだった(『THE SEVENTH SIGN』のころ)、というのがわかりやすいのかな、マイク・テラーナのソロアルバム『SHADOWS OF THE PAST』の曲です。このアルバム、4曲はMike Terranaの作曲、4曲がMike TerranaとKevin Chownの共作、残る1曲がBilly Cobhamのカヴァー(「Anteres」)なんですが、More Coffeeはマイク1人の作曲となっています。

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<↑YouTubeにあるのは“教則ヴィデオ?”のでした……>

 More Coffeeは、イントロとアウトロになんかセリフが入りますが、楽曲本編はテクニカルなフュージョン・インスト。まず耳が行くのはマイクのフットワークで、この人はバスドラムの音の「圧」が尋常じゃないんですよね。速いフレーズをツーバスで演奏するドラマーはたくさんいますし、ジャズ・フュージョン系には「うまい」人はいくらでもいるんですけども、この「強い」アタックを出せる人はごく稀。イングヴェイでもアクセル・ルディ・ペルでもレイジでもアーテンションでもそうだったので、この人の個性といって差し支えないでしょう。そういう意味では唯一無二。「手」のほうもパワフルで、抜けの良いスネアとキメにビシバシ入ってくるクラッシュシンバルが気持ちよい。あ、他のプレイヤーはキーボードにMike Hilland、ベース(シンセベース・プログラミング)にKevin Chownです。ヒランド氏によるテクニカルなソロが見せ場にあるんですけど、その「裏」とか、鍵盤ソロ明けが「ドラム叩きまくりング」なのでもう笑っちゃうほど。

Shadows Of The Past, プライマリ, 1/1

 このアルバムは、マイクとケヴィンが2人でプロデュースに当たっているようで(さっきも述べましたが半数は曲も共作)、ケヴィン・チャウンの貢献も大きいとみた。って、そしたらもうArtensionの半分じゃないですか!ちょうど彼らがアーテンションを離れてた時期の作品で、この後彼らはバンドに復帰、名作『SACRED PATHWAYS』(2001)を作るわけですね。実際、ケヴィンの快活で技巧的なベースプレイが満喫できるという意味でも『SHADOWS OF THE PAST』は美味しいです。それから、ドラマーのソロ作なんですけど管楽器の使い方がよくて、Dave Reinsteinのサックスは「Pleasure Cube」や「Shadows Of The Past」あるいは「Anteres」でエレガントな響きをもたらしています。数曲でSteve Lukatherがギターソロでゲスト参加してるのも好事家にはたまらんかも。

 

 なぜか私、次のソロアルバム『MAN OF THE WORLD』(2005)も持ってるんですが。そちらは作曲は他のメンバーに任せてますけども、相変わらずの超強力ドラムが炸裂。仲良しケヴィンも数曲でベース参加。

 

 マイク・テラーナは実にいろんなアーティストと共演してきてるのでとてもここには挙げきれませんが、どこでもあのトレードマークの「音圧タイコ」を奏でているのである意味安心感がありますな。ライヴでも(例えばRage『FROM CRADLE TO THE STAGE』とか)そのパワーが落ちることがありませんしね。

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<↑YouTuberとしてのマイク。ELP(Emerson, Lake &Powell)のThe Scoreをプレイ>

 あと、彼は近年では“YouTuberとして(?)”頑張っていますね。短めの動画を中心に(たぶん、コロナ禍の時期に発信を強化したんじゃないかと思うんですが――いち時期は“#IWONTSTOPTHEMUSIC(俺は音楽をやめないぜ)”というタグをつけてましたし)、ドラムをたたきまくる動画を次々アップするというある意味「王道な」映像集なわけですが、なんだか見てるとスカッとするのよね。やはり彼の音の「パワー」が尋常でないからでしょうか。見たことない方はチェックしてみてね。

どんぱす今日の御膳400 Motörhead

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Motörhead「Back At The Funny Farm」『ANOTHER PERFECT DAY』(1983)

 わたくし、割と音楽の本(アーティストの評伝とか)を読むのが好きなんですが、今年に入って最初に手に入れて読んだ2冊がこれ↓でした。

  • 『シン・リジィ ジェイルブレイク・サーガ~フィルとジョンの魂に捧ぐ』(シンコーミュージック、2026年)
  • 長谷川修平『モーターヘッド全曲ガイド』(シンコーミュージック、2026年)

 Thin Lizzyは何年かぶりに個人的ブームが来てまして、歴史を振り返りりながらちゃんと聴きなおしたいなと思いましてね。メンバーの個性の詳細、ディスコグラフィーとツアー記録、インタビューなど少しずつ拾い読みしているところ。

 もう1冊は、熱狂的な(といっていいですよね?)モーターヘッドファンの方が書き上げた「全曲ガイド」。ディスクガイドはよくあるんですが、「モーターヘッドだけ!全曲!」をお一人で纏めているのがスゴイ。Motörheadも、当方はいくつかの代表作を持ってるくらいなので、この際きちんとフォローしとこうかと思いまして手に取った次第です。

 

 で、両著をぽつぽつ読むうちに、「そういえば、元Thin LizzyのBrian Robertsonがモーターヘッドに入った(そして、賛否両論の作品に関わった)と読んだことがあるなー」と思いだしました。昔読んだ(90年代末かな)メタルのディスクガイドのモーターヘッドのコーナーで「『アナザー・パーフェクト・デイ』は、ブライアンの泣きのソロをフィーチャーした異色作となった。当時ある評論に“ロボは殺すしかない”と書かれていたものだ」(大意)などと記されていたのだ。なんとも物騒なことをいう(そして失礼なことをぬかす)評論家もいたものですが――出典は示されていなかったので、その評論家がドコの何者かは私は知りませんが――、「そんなに?」と気にはなっていました。ただ、こちらはまだモーターヘッドの駆け出しファン、“問題作”に手を出すのはハードルが高いな。また今度……と思っているうちに二十年以上経ってしまったのでした。

Another Perfect Day, セカンダリ, 4/8

 この度の読書体験(?)を機に、ちゃんと聴いてみようではないか!となったと。こういうわけであります。毎度ながら前段の話が長い当ブログ。

 

 『ANOTHER PERFECT DAY』の基本情報を先に確認しますか(『全曲ガイド』を参考にさせていただきます)。邦題は「悪魔の化身」!モーターヘッドも“悪魔”イメージのときがあったんだなあ。Lemmy(Ba, Vo)+Brian Robertson(Gt)+Phil Taylor(Dr)のトリオ。全曲3人の作詞作曲になっています。チャートアクションなんですが、最高位が英20位・米153位・独24位とのこと。『ACE OF SPADES』あたりのモンスター級アルバムに比べると“振るわない”ように見えますが、80年代中盤以降の作品の中では「だいたいこんなところ」。というか、モーターヘッドの凄さは「英米のチャートで〇〇位だから」ではもはや測れない次元に達してる気が。彼らの精力的なツアーと強力なステージが生命線なわけで、実際本作制作直前にはロボ(Brian Robertson)入りのラインナップで来日もしてました(と、本に書いてあります。当然、そのころ私は幼児ですのでモーターヘッドなんて存在も知りませんでした……)

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 さて、アルバムを半ばおっかなびっくり再生しますと……1曲目がこのBack At The Funny Farmなのであります。冒頭に何らかのチャット(レミーが何かしゃべっている?)が入り、そこからAce Of Spadesバリのゴリゴリベースがスタートします。フィルのドラムがハイハットだけ、っていうのも期待と不安をあおって良いね。そこに、ロボのギターが短いフレーズを載せるんですが、これだけでもう「異質!」ですね。少し奥まった音像ですが、こういう粘り気は新機軸だったろうと思います。(私はかなり好き。)

フィル・テイラーが本格的にビートを刻みだして、歌へ突入です。なんだ、あの「モーターヘッドの圧」は十分すぎるくらいあるじゃないの?1:35くらいからがギターソロですが、ちゃんと楽曲に溶け込んでると思うなあ。2:50あたりから2回目のギターソロか。こっちは泣きというか粘り気多めではあるけど、全然悪くないじゃないかあ。評論家の言葉とかを鵜呑みにしちゃいけないな。良い!(『全曲ガイド』の長谷川さんも「本作(*アルバム)は力強いビートとメロウなギター・フレーズによるコントラストを活かした、革新的な暴走ロックンロールである」と評していますね。)

なお、『全曲ガイド』によると「タイトルの“funny farm”とは精神科病院の意だが、ここでは“俺たちはイカれたロックンロールの世界に戻ってきたぜ”というメッセージであろう」とのこと。

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<オマケ:MotörheadのI Got Mine。ロボ入りラインナップのMV>

 アルバムリリース後のライヴもテンション高くなかなか良かったようなのですが、ロボのファッションやアルコールが問題となって、結局彼は解雇されることになったんだそうで。惜しかったような、無理もないような。少なくとも、残された『ANOTHER PERFECT DAY』は問題作やまして駄作なんかではなく、バンドのエネルギーの詰まった良作・佳作と言えると思います。あと、ドラマー的には、フィル・アニマル・テイラーのバタバタした突進ドラムが全編で楽しめるのが嬉しいですね。レミーのベースとの相性はやっぱり彼が最高。BPMはそれほどでなくても聴覚上(聴感上)の“ハヤさ”が独特で緊張感があります。この時期のライヴ音源も探して聴きたくなりますね。

どんぱす今日の御膳399 Johansson

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Johansson「Valhall Scuffle」『THE LAST VIKING』(1999)

 いまや一般の我々の生活にまで“生成AI”が入ってくるようになりましたね。

 先日、特に深い考えなく、某AI君に「そういえばさ、イェンスとアンダースのヨハンソン・ブラザーズのお父さんって、有名な音楽家だったんですって?」と訊いてみたんですよ。あくまで雑談のつもりで。そうしたら某君は予想以上に張り切ってですね、「その通りです!両氏のお父さんJan Johanssonはスウェーデンの伝説的なジャズピアニストで、北欧ジャズの偉人、郷土の英雄なのです。1968年に悲劇的な事故で亡くなるまで、祖国の音楽界に多大な貢献をされました。代表作はですね……」と畳みかけてきたので、こちらはちょっと面食らって、「あ、ありがとう。ジャズのすごい人の息子だったんだね」と辛うじて返すと、「その通りです!イェンスとアンダースの両氏には、父親譲りの音楽家スピリットが息づいていることでしょう!それでですね、ヤン・ヨハンソンを語るなら、北欧音楽とジャズを融合させた傑作『Jazz på svenska』はゼッタイにチェックしてください!それからそれから……」と一層高い圧力(笑)をかけてきました。

 

「わかったわかった。じゃあちょっと聴いてみるよ」といったん逃げて、YouTubeでまず『Jazz på svenska』というのを探してみたんですよ。そしたら、確かにユニークで美しい作品集だったので、「AI君の言うことも参考になるな」と思いまして、再度某君に「君が言うので探して聴いてみた、よかったよ。」と伝えますと、先方いたく喜びまして(?)、「そうでしょうそうでしょう!まずは『Jazz på svenska』を手に入れ、姉妹作の『Jazz på ryska』に進むのがおすすめですよ!あと、ヤンさんは北欧に来ていた米国ジャズの大物ともコラボレーションしてますから、スタン・ゲッツとかその辺もチェックするといいですよ!あと、氏は『長くつしたのピッピ』の音楽も手掛けていまして……」とまた止まらなくなっちまいました。どんだけヤン師父を崇敬しているのだ君は。

 

 ヤン・ヨハンソンというミュージシャンに興味が出てきたのは本当なので、『Jazz på svenska』のCDが欲しいなと思って探すのですが、これはなかなか手に入りません。スタン・ゲッツの作品(ヤン参加)だけは何とか見つかったのですが……

 

 というわけで(?)、ヤンお父さんの作品が手に入るまでは、息子たちの作品を聴いて待とう、とこういうわけで。長い前振りでしたね。すいません。

The Last Viking, プライマリ, 1/4

 さ、今回の御膳はJens(Key)とAnders(Dr)のJohansson兄弟によるプロジェクトJohanssonのアルバム『THE LAST VIKING』からです。兄弟のほかは、Göran Edman(Ex.Yngwie Malmsteenほか)がヴォーカル、Michael Romeo(Symphony X)がギターとベースという、ネオクラシカルメタル好きならスルー不可な布陣。勇壮な冒頭曲The Last Viking、アンダースお得意のドラムフィルから始まる疾走曲Burning Eyes、日本盤ボーナストラックのパワーメタルSamurai(歌詞の世界観は、多分に美化された“サムライ”像ですがそれはご愛敬)、EuropeのThe Final Countdown風のファンファーレっぽいフレーズが味わいのForest Songなど、歌ものも聴きどころは多いです。イングウェイとかストラトヴァリウスよりは、Silver Mountainっぽい点が、北欧メタル好きには堪らない、かも。

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じゃあ対象曲のValhall Scuffleはどうなのかといいますと。イントロのドラムフィルと、イェンスの鍵盤サウンドで「あー、これこれ!ヨハンソン兄弟よね」となる、疾走インストなんですな。サウンドプロダクションがちょっとラフというか(チープ、まではいかないけど、生っぽさを残してる感じ?)、そこがこの人らの味なんだなあと。この数年後にホントにシルヴァー・マウンテンの再集結作『BREAKIN’ CHAINS』(2001)が出ますけど(兄弟2人とも参加)、音作りがほとんどこれと同じですからね。あ、私はこういう音がかなり好きです。プレイヤーのタッチがわかりやすいので。これくらいテクニカルなプレイをもっとばんばんやって見せてくれてもよいのですが、ご兄弟はあまり普段はこういうのはやらない、っていうのもレア感があるかな。

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<オマケ:Silver MountainのProphet Of Doom。音作りがJohanssonとほとんど一緒?>

 

お父さん(Jan Johansson)からのつながりで(むりやり)久々に引っ張り出して聴きましたけど、いい作品でしたなあ。