続き。作品の後半二枚に触れてまいります。
田中公平『GRAVITY DAZE 2 重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択 オリジナルサウンドトラック』
1-1 Gravity Daze 2 1-2 災禍 1-3 憂心 1-4 帰港 1-5 バンガ 1-6 凶兆 1-7 パラレルフェイタル 1-8 出帆 1-9 採掘場 – 労働歌 1-10 強襲と凱旋 1-11 安息 1-12 魔境の域 1-13 重圧への抗戦 1-14 寂寥 1-15 石火の獅子 1-16 拭えぬ疑念 1-17 好敵手 1-18 拭えぬ疑念 (Additional 1) 1-19 拭えぬ疑念 (Additional 2) 1-20 拭えぬ疑念 (Additional 3) |
2-1 やがて船が見える 2-2 レイ・コルモスナ 2-3 ポートゥラオの朝市 2-4 焦燥 2-5 採掘場 – 静謐 2-6 レイ・エルゴーナ 2-7 黒き疾風 2-8 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Accordion Ver.) 2-9 燭光の域 2-10 レイ・ハビーナ 2-11 作戦指令 2-12 潜入 2-13 フォート・ビスマレア 2-14 亡霊都市 2-15 やがて船が見える (Additional 1) 2-16 やがて船が見える (Additional 2) 2-17 やがて船が見える (Additional 3) |
3-1 オルドノワ (Revisit Ver.) 3-2 プレジューヌ (Revisit Ver.) 3-3 インダストリエ (Abandoned Ver.) 3-4 ヴァン・ダ・センタリアレ (Revisit Ver.) 3-5 追跡 3-6 死者の行進 3-7 レベル4 3-8 採掘場 – 深淵 3-9 侵襲 3-10 アンジェ 3-11 パラレルフェイタル (Failed Ver.) 3-12 幾何の域 3-13 因果の螺旋 3-14 Gravity Daze 2 (Harmonica Ver.) 3-15 Faster And Higher 3-16 Qualify 3-17 Mission Clear 3-18 New Record 3-19 Game Over |
4-1 世界の果て 4-2 エト 4-3 閉ざされし日々 4-4 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Orgel Ver.) 4-5 狭間の記憶 4-6 電磁力の女王 4-7 世界の半分を統べる力 4-8 絶望 4-9 灰燼に帰す 4-10 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Chant Ver.) 4-11 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ 4-12 Gravity Daze/重力的眩暈 (Ending Ver.) 4-13 万有引力の崩壊 4-14 記憶の迷宮 4-15 陰陽 4-16 白紙に戻す怪物 4-17 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Instrumental Ver.) |
三枚目は冒頭に、やはり舞台となる「街」のテーマソングが連続。3-1「オルドノワ」は前作の主舞台のテーマでしたが、本作用にアレンジを変え再録したんだそうです。ストリングスと笛をメインにしたこのテーマを聴くと、「ああ、帰ってきたなあ」とか感じちゃうっていうのは、ゲームのやり過ぎですかねやっぱり。3-2「プレジューヌ」のジャジーなテイスト、3-3「インダストリエ」の物憂げな感じ、3-4「ヴァン・ダ・センタリアレ」の上品な華麗さ、いずれも街の風景を思い起こさせてくれます。
アクション的な印象でいうと、高速4ビート・ジャズの3-5「追跡」が、“何かを追っかける”または“何かから逃げる”ミッションでよく聴けました。けっこうこういうアクションが苦手で、何度もやり直した気が……。バトル系の3-9「侵襲」は、例によってレコーディングバンドの素晴らしい力量を堪能出来ます。個人的にはやはりドラムに耳が行きますけど、16分の刻みを美味しく入れてくれるのが心地好いです。あとは粘っこいギターソロと、強烈なホーンのブロウもね。こんなふうに、人力音楽のすばらしさを教えてくれるサウンドトラックではありますが、時々違った作風のも混じる。3-15「Faster and Higher」は打ち込みのデジタルなサウンド+エレクトリック・ギターの疾走ナンバー。“タイムアタック”みたいなミッションで流れました。
あとは十秒程度と短いですが、3-16「QUALIFY」・3-17「MISSION CLEAR」なんかも単なる効果音以上の「音楽」でした。そんなに無茶苦茶難しいゲームじゃないですけど、まれにはしくじって3-19「GAME OVER」が流れると悲しくなったしね。
四枚目はゲームがさらに進んで舞台が移ってからの楽曲群。ゲーム内で接する時間は短めになるので、三枚目までのように刷り込まれては正直いませんが……シリアスな展開になっていくので、そういう雰囲気の曲が多めになりますかね。
4-3「閉ざされし日々」なんていうのは、ゲームをやればわかりますが、「これ、どうすりゃいいんだろう?」と若干途方に暮れながら聴くことになるので、(音楽が悪いわけじゃ全然ないんですが)何となく暗い気分になっちゃいますね。4-7「世界の半分を総べる力」は、全編張り詰めた緊張感を備えて進みまして、中間に「MISSION CLEAR」や「強襲と凱旋」のワンフレーズが顔を出しますが、それもアレンジの関係で「明るい」気分になりきれない感じなのですね。
歌入りの曲は基本的に無いサウンドトラックですが、4-11「ア・クゥ オーン トゥ ワ / 赤いリンゴ」は歌が付きます。ただしその歌詞は「グラヴィティ語」という人造言語――ゲーム内の登場人物が話す――でして、日本語とか英語とかではありません。ゲームの作者・ディレクターの外山圭一郎さんが‟作詞”。(人造言語といえば我々プログレ消費者にはコバイア語(Magma)という偉大な先達がありますが……)
で、この曲は作品中ある場面で主人公により歌われることになるのですが、そのヴァージョンがまず良いのです。ジャズ・ヴォーカル風というのかな。たしか、ゲームのストーリー・トレーラー映像にも使われていたと思います。さらにこれはアレンジを加えられた「チャント・ヴァージョン」(4-10)が――“chant”をどこかで使いたいというのは外山氏の企てだったそうですが――ある場面で流れ、プレイヤーに強い印象を残します。
あとは、メインテーマのバリエーション4-12「GRAVITY DAZE / 重力的眩暈 (Ending Ver. )」で大団円。エンドロール見ながら聴いたのがこれ(の筈)。いいゲームほど、達成感と同じくらいクリアしてしまった後の喪失感(?)て大きいですよね。なお、4-13以降は本編外の楽曲群です。(ゲームをやると、どこかで流れます。)
なんて偉そうに言ってますが、私はこのゲームを2019年に入ってから知ってプレイしましたので、後追いもいいところ。サントラもその後入手ですから、「リアルタイム」でフォローしていたわけではないのであった。(これまた、例のデュープリズムんときと同じパターンです。)でも、あんまり良かったんで、このタイミングで書きつけとくことに致しました。本作についてはここまで。
<続く>