すみません、本編のはずのABC……シリーズが滞っておりまして。それなりに調べて書いたり、網羅的に音源をチェックしたりするので、(泣き言をいうようですが)なかなか時間がかかるのであります。
で、その埋め合わせなどでは決してないのでございますが、今回はまさしく「時代の産物」を追います。(レビューなどという畏れ多いことではありません……)
------
来ました、来ましたよ!
聖飢魔Ⅱが表紙の『ヤング・ギター』が気になって、買って読んだ私。ふうむ。さすが閣下、「聖飢魔Ⅱらしいギターの曲といえば、やっぱりまずRatsbaneですよね!」。読み応えある内容に大満ぞ……アレ?なんでダミアン浜田陛下のインタビューまで載ってるの?
え、陛下が史上最高齢でデビュー!?d、どういうこと?なんと、Damian Hamada’s Creaturesなるバンドが作品を間もなく送り出すと。そうだったのですか。
ということで、慌ててダミアン浜田陛下(私などは気を付けないとつい習慣でダミアン殿下と呼んでしまう……)のTwitterなんかを拝見すると、ほんとうにもうリリースも間近、力作に仕上がっている様子。今回は演奏を“改臓人間”達に任せたというのも興味深くて、リード・ヴォーカルを除くバックは〔いまや誰よりも頼もしい国産プログレバンドの〕金属恵比須の面々なのだと。おおお、ということは、マスヒロ先生の叩くダミアン楽曲が聴けるの?嬉し過ぎる……
ということで指折り数えて幾日やら、冒頭の感慨に至るわけでございます。
Damian Hamada’s Creatures『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』(2020)
- 聖詠
- Babel
- Heaven To Hell
- Running like a Tiger
- 三枚の照魔鏡
- Lady into Devil
- Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ
- Babel (カラオケ)
- Heaven to Hell (カラオケ)
- Running like a Tiger (カラオケ)
- 三枚の照魔鏡 (カラオケ)
- Lady into Devil (カラオケ)
- Sacrifice of Love ~ 主よ、人の欲望の悲しみよ (カラオケ)
<メンバー>
ダミアン浜田陛下(作詞作曲)
さくら“シエル”伊舎堂(Vo)
大地“ラスプーチン”髙木(Gt)
ケン“アレイスター”宮嶋(Ba, Key)
マスヒロ“バトラー”後藤(Dr)
秀貴“ジル”栗谷(Gt)
宏美“ローズ”稲益(Cho)
三世代のミュージシャンが一個の楽団を形成するってのはロック・バンドではちょっと珍しいのでは……っていうのは不正確かな。陛下は“悪魔”ですから人間年齢の尺度は意味がありませんしね。ただ、『ヤング・ギター』のインタビューでご自身が述べておられるように、ダミアン陛下は「プログレ好き」な方ゆえ、ラスプーチンやアレイスター(改臓人間の方々については文中敬称略させていただきます)とはきっと話が合ったことでしょう。
作品の成立やその内容に関しては、実はすでに陛下御自身の口や御手によって人間界に広く流布されているので、そちらを何卒。
そうそう、上記の『第Ⅰ章』の「初回生産限定版」は、本編CD+ボーナスDVDの仕様なのですが、このDVDがお宝お宝なのだ。リーダートラック「Babel」のミュージック・ヴィデオと、“改臟研究所でのダミアン浜田陛下とメンバーとの対談”が入っているのですが、そこで陛下自ら楽曲のうらばなしを詳しくしてくれているのです。聖飢魔Ⅱ『THE SATAN ALL-STARS』(VHS/DVD)における閣下と殿下の対談を拝見して以来、そして聖飢魔Ⅱ『URAVIDEO』(VHS/DVD)における“もぉちろんイイよおっ!”以来、私はダミアン先生もといダミアン殿下(現陛下)の“トーク”のファンでもあるのです!そんな小生に、シエル+金属恵比須の全員参加の対談とは、ありがたやありがたや……
MVの方も、冒頭のナレーションに聞き覚えのある声が……おお、デーモン閣下ではありませぬか!……というわけで、信者は迷わず「初回生産限定盤」を入手なさるようお勧め、です。
楽曲はもう、どこからとってもダミアン節の、正統派メロディック・メタル。いまやもう、余所じゃこういうの聴けないんだよ。比較的ストレートな「Babel」あたりにまず“安心感”をおぼえたりするものの、数回聴いてかなり気に入った〔僭越ながら……〕のが「Running like a Tiger」や「Lady into Devil」。聖飢魔Ⅱっぽくはないタイプの曲に惹かれましたね。前者は、「野獣」のフィールをどことなく感じさせる、“アニマル好き”(?)ダミアン陛下らしい勇壮な曲。起伏のあるメロディを歌いこなすシエルの歌唱、ツインギターを全面展開するバッキングと、これは美味しい。アコースティックに始まるのかと思いきやビッグでヘヴィに転ずる後者「Lady into Devil」は、キメに次ぐキメのリフ、“バトラー”マスヒロ・ドラミングが堪能できる構成、陛下入魂の歌詞を熱く歌い上げるシエル……とこれまた素晴らしい。ジルとラスプーチンのギターもビシッと決まります。
ほかの曲にまで口出し(感想)してるときりが無いので我慢してここまでにしますが、とにかくよい。ホントにねえ、ダミアン陛下と金属恵比須と伊舎堂さくらを組み合わせてみようというアイディアを出した人は天晴れですよ!有難う御座います。
ダミアン浜田『照魔鏡』のファンならば当然として、聖飢魔Ⅱ『THE END OF THE CENTURY』・『メフィストフェレスの肖像』あるいは『BLACKLIST』・『LIVING LEGEND』あたりの“正統派メタル”好きならばチェックしておかねばなりませんよ。2020年にこういう音が聴けるというのはまったくもって地獄からのクリスマス・プレゼント(?)なんですから。で、そのクリスマス直前には、作品の後編にあたる『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』もリリースされるとのことで、楽しみでございます。
<本記事完>
関連記事へのリンクはこちら‼‼↓
第24回「連載再開します――並びにある小発見について」(1)
第24回「連載再開します――並びにある小発見について」(2)
第24回「連載再開します――並びにある小発見について」(3)
ゾッド星島
金属恵比須
後藤マスヒロ