DON'T PASS MUSIC BY

"There is no wrong or right, and nobody's talking to anyone......"<Love Sculpture>

第24回「連載再開します――並びにある小発見について」(3)

紹介作品:
聖飢魔Ⅱ『舞踏歌劇 怒羅吸裸DRACULA A KABUKI AND ROCK OPERATHE LIVE BLACK MASS B.D.4DVD2005
“花柳鳴介氏の、日本舞踊を少しでも多くの若い人に見て欲しいという、強い情熱の元、故郷美唄聖飢魔Ⅱを迎え「自然と人間」をテーマにコラボレーションを続けること、10余年。通算7回目その集大成として今までに無い大掛かりな『交わりあい』が魔暦B.D.4'95)年に実現。その名も「舞踊歌劇・怒羅吸裸(ドラキュラ)」。かつて世の中でこれ程ロックと日本舞踊が本格的に融合したエンターテインメントは存在しない。美唄市東明公園のすべてを舞台として美しく焔で照らし上げた『日本史上最も絢爛豪華な野外ショー』。”【パッケージの記載より】
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1.前説・諸注意
2.序曲・怒羅吸裸のテーマ
3.害獣達の墓場〔5thアルバム*THE OUTER MISSION』収録曲〕
4.吸血鬼の増殖〔7thアルバム『恐怖のレストラン』収録曲〕
5.迷い道
6.鬼〔7thアルバム『恐怖のレストラン』収録曲〕
7.壊れた純真“Breakdown Innocence”〔7thアルバム『恐怖のレストラン』収録曲〕
8.鬼〔7thアルバム『恐怖のレストラン』収録曲〕
9.誘惑されて
10.自問自答
11.友情
12.美那を救え!(器楽協奏曲 死の舞踏・前編)
13.いざ、怒羅吸裸城へ!(器楽協奏曲 死の舞踏・後編)
14.因果応報
15.魔界舞曲〔3rdアルバム『地獄より愛をこめて』収録曲〕
16.吸血鬼外伝〔6thアルバム『有害』収録曲「シンデレラ外伝」のアレンジ〕
17.ある決断
18.人間狩り〔7thアルバム『恐怖のレストラン』収録曲〕
19.呪われた歴史を想い返して
20.怒りと決断
21.悪夢の叫び〔3rdアルバム『地獄より愛をこめて』収録曲〕
22.戦い“The End of the Century”〔2ndアルバム『THE END OF THE CENTURY』収録曲〕
23.終曲
24.Lunatic Party(カーテンコールBGM)〔5thアルバム*THE OUTER MISSION』収録曲〕
25.Winner!5thアルバム*THE OUTER MISSION』収録曲〕
26.Refrain of Love(エンドロールBGM)〔デーモン小暮2ndアルバム『DEMON AS BAD MAN』収録曲〕
*正確には「大教典」であって、ナンバリングも異なる(編集盤も本来カウントする)が、ここではいわゆる「オリジナルアルバム」の出典を示してある。
 
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<音楽部門の構成員>
ライデン湯澤(Dr
ルーク篁Gt, Cho
エース清水Gt, Cho
 
 最初にお断りしておくと、本作は必ずしも「聖飢魔Ⅱの入門編に」鑑賞するものではありません。はじめはやはりオリジナルアルバム(「大教典」)を何作か聴いてもらうのが良いとは思うのですが……。


 ただ、「シアトリカル」なロックバンドとしての本領を味わうのであれば、数ある映像作品(「活動絵巻教典」)の中でも本作がベストであろうと思う次第です。芝居の部分は専らデーモン閣下が花柳鳴介氏及び御一門と担当し、劇中歌をバンドがライブで演奏する形で進行していきます。

 花柳氏の元へ通って舞踊の訓練を受けたというデーモン閣下の八面六臂の活躍も見事なものですが、音楽部分も実に力が入っております。聖飢魔Ⅱの既発曲から劇に合うものがチョイスされているのみならず、音楽監督を務めたエース長官をはじめ構成員諸氏の作になるオリジナル挿入歌(主としてインスト)も多数。エース長官は、中期聖飢魔Ⅱで時折披露していたギター・シンセサイザーによるプレイも積極的に取り入れ、舞台の幻想的な雰囲気を演出しておられます。のちに長官曰く“聖飢魔Ⅱで、自分が積極的にバンドを引っ張った最初で最後の機会だったと思う”とのことであります。


 映像作品が商品化されたのは2005年のことで、実演から10年が経っています。上演当日は雨が降ってしまったようで、舞台上の配置や撮影が思うようにいかなかったと見えます。いかにも「野外」という感じがあって味があって素敵なのですが、制作している側の人たちはたいへんだったみたいですね。(商品化に時間がかかったのもその辺が理由でしょうか?)


 聖飢魔Ⅱの楽曲では、ダークな世界観を表現するのに『恐怖のレストラン』の楽曲が効果的に使われているのが印象的です。6曲目から8曲目の、ヘヴィな「鬼」から疾走する「Breakdown Innocence」へ行ってまた「鬼」に戻るあたりとか、18曲目の「人間狩り」の妖しい雰囲気とかは唸らされます。その一方で、合間合間に「爽」な感じの曲(「魔界舞曲」等)も挟んでくるのが巧妙。終曲後に明るい「Lunatic Party」と「Winner!」を畳みかけるのもよい(客席もノリノリです)。


最後に、何度も聖飢魔Ⅱと舞台を共にされた花柳鳴介師匠のご感想も引用しときましょう。【美唄ファンポータル2009.3.27記事より】

(インタビュアー):昭和63年からは「VIVA逢フェスタNEXT-ONE」と題して、聖飢魔Ⅱや札幌交響楽団などジャンルを超えたコラボレーションも。
(花柳鳴介氏):ありがたいことに(デーモン)小暮君をはじめ、「一緒にやりましょう」という人との縁がつながりました。あちらはロックでこちらは舞踊で…と最初はとまどうこともありましたが、お客様にはひと味違った舞台をお届けできたのではないでしょうか。〔以下略〕


  氏は1939年生まれとのことですので、「怒羅吸裸」当時は56歳くらい。そう考える
 と、イベントに賭けるデーモン閣下の意気込みもさることながら、花柳氏の柔軟さ・
 懐の深さにも恐れ入ります。ポール・オニールがどういうものを思い描いていたか
 はわかりませんが、「演劇的なこと」をやるにはやはりエネルギーが要ったことでし
 ょう。

  ちなみに、本作のライヴ映像としての――おそらく結果的な――バランスの良さ
 も、指摘しておいた方がよいでしょうね。フロントマンたるデーモン閣下だけでなく、(今回の)バンマス・エース長官にもよくスポットが当たっているうえ、ステージの配置の都合だと思うのですが、ゼノン和尚もよく映っています。(わたくしの所有する 他のミサ映像(VHSDVD)では、ゼノン和尚があまりよく撮られていないことが多 く、いつも物足りなさをおぼえていたのですよ。)

という具合に、楽しみ方がややマニアックになってしまうのもどうかと思いますが……機会があれば一度はご覧下さい。他に「シアトリカル」聖飢魔Ⅱを楽しみたい方には、19991229日のThe Black MassFinal初日「シアトリカル・デイ」をお薦めします。かつてはVHS八本セットで出ていたうちの第1巻・第2巻。現在はTHE ULTIMATE BLACK MASS COMPLETEのタイトルでBlu-rayが出ています。ちょっと値は張りますが。妖しい雰囲気の「怪奇植物」、会場から“生け贄”を選び“磔”にする「人間狩り」、花柳鳴介師匠登場の「NEVER ENDING DARKNESS」、劇団☆新感線が登場して乱舞する「Kimigayoは千代に八千代の物語」と、見どころいっぱい。ぜひどうぞ。<完>