292
Buck Dharma「Born To Rock」『FLAT OUT』(1982)
米国の偉大なハードロックバンドBlue Öyster CultのリードギタリストBuck Dharma(Donald Roeser)のソロ・アルバム。バック・ダーマっていうのは、BÖC初期のマネージャーSandy Pearlmanが“エキセントリックなステージネームをつけようぜ”っていうアイディアを出したため名乗ることになった芸名だそうですが。
BÖCでもこの人は歌ってますが――ヒット曲「(Don’t Fear)The Reaper」とかで――、このソロ・アルバムでももちろん全面で歌唱。Eric Bloomより少し細くてクール……というか、私には(The Kinksの)Ray Davies的に聴こえる時があるのよ。(Blue Öyster Cult『HEAVEN FORBID』の「Harvest Moon」とか「X-Ray Eyes」とかを聴いてみてね。)
これまで唯一のソロ・アルバム『FLAT OUT』ですが、BÖCよりはややポップさを正直に出したハードロックというところ。「Born To Rock」の他だと、私は「Cold Wind」あたりが好きですな。
ソロ・アルバムだからいろんなミュージシャンが関与してますが、「Born To Rock」でベースを弾いてるのはDennis Dunaway、ドラムをたたいてるのはNeal Smith(ニールに至っては作曲にもクレジットされてる)です。さよう、オリジナルAlice Cooperの面々ですよ(私も今確認して知った)。アメリカン・ハードロックの祖たちの競演!
エンジニアでKen Kessie(Anthem『TIGHTROPE』の仕事で日本では有名?)、リ・ミキシングでTony Bongiovi(Jon Bon Joviの従兄)なんてクレジットも。BÖCもそうですが、「ニューヨーク産」のロックですね。じゃあ、Riotとかとも意外に近かったのかな?どーなんでしょう。
「Born To Rock」はなかなか面白い(いかにもエイティーズな)ミュージックヴィデオが作られてるからそれを御覧なされ(本文冒頭)。ヒットしたからなのか、83年頃のBlue Öyster Cultのライヴでは、「Born To Rock」(BÖCヴァージョン)もやってたりするのだぞ。ロック好きはスルー出来ない一曲。