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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳291

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Little Richard & 高中正義Tutti Frutti」(『RICHARD MEETS TAKANAKA』1992)

little-richard.com

 リトル・リチャードの映画(『LITTLE RICHARD: I AM EVERYTHING』)が日本公開されるってんで公式サイトを覗いたら、高中さんが長めのエピソードを語っておられるのがあって、「あ、こんな作品があったな!」と思い出したやつです。全10曲入りのアルバム。このジャケットの「裏面」も面白いので、ぜひ探して見てくださいね。

 「Tutti Frutti」をはじめそもそもLittle Richardのヒットナンバーばっかりなので曲がイイのは言うまでもないんですが、パフォーマンスもスゴイ。高中さんの弾きまくりにあおられてなのか、リトル・リチャードのノドも絶好調!?年齢のことを言うのもなんですけど、このころもう60歳近かったはずで、そんでこんなシャウトしまくりですよ。

 

 オリジナル・ヴァージョンが出てから実に35年後*に、同じかそれ以上のテンションで「歌う」のって、かなりすごい。

*〔注〕厳密には、シングルは1955年に出ており、それを含むアルバム『HERE'S LITTLE RICHARD』が1957年発表です。

これって、

ポール・マッカートニーが「I’m Down」を2000年に歌う(⇐1965年)

イアン・ギランが「Speed King」を2005年に歌う(⇐1970年)

ゲディ・リーが「Bastille Day」を2010年に歌う(⇐1975年)

ポール・ディアノが「Prowler」を2015年に歌う(⇐1980年)

デーモン閣下が「地獄の皇太子」を2020年に歌う(⇐1985年)

……という様なもので、相当レアであることは確かでありましょう。まずアーティスト(又はバンド)が“長寿”でなければ無理だしね。

youtu.be

 この92年版「Tutti Frutti」は、アレンジがオリジナルから変わっていて、冒頭にソロギター入りのインストセクションがつけられてから始まります。「あのシャウト」から始まらない……ので、最初は違和感があるのですが、兎に角主役の二人が無茶苦茶元気で“ノリノリ”(最早死語っぽいがこの言い方でないと表せぬ)なので、だんだんどうでもよくなります。リトル・リチャードは60年代も70年代もこの曲を歌い継ぎリメイクもしてきていますけど、「歌」に関してはこれを超える熱さのはあんまりないんじゃないかな。

 

 それと、やっぱりギターですね。リトル・リチャードのバックは伝統的に「ギター・バンドじゃなかった」わけで――リード楽器はサックスが多いよね?――、ごく一時期Jimi Hendrixがバックバンドに居たなんていうのを除けば、“ギターとリトル・リチャードの組み合わせ”は珍しい筈。でもここでの相性は良好で、2分49秒あたりでリトル・リチャード“Take it, Takanaka!”と煽ると突入する高中正義さんのソロは楽しい。一聴の価値ありです。

 

 本作、リズム部分は時代を感じるというか、80年代以降っぽさそのものなので、Earl Palmerのバックビートを尊崇(勝手に)している私からするとちょっと淡白すぎますけど、その分主役は光ってます。何度も言いますが、還暦ミュージシャンの熱い心意気を感じ取れるか。むしろこっちが試される気さえしますね。

 最後にアルバムのクロージング・ナンバーもどーぞ。“♪Ready Teddy!”

youtu.be

*あ、最後に。映画(『LITTLE RICHARD: I AM EVERYTHING』)も観に行きましたが、良かったですね。さっき名前を挙げたEarl PalmerやCharles Connorといった「リトル・リチャードのバックで叩いていた」人たちのほか、彼の60年代初期英国ツアーでバックにいたSounds IncorporatedのTony Newman(やはり名手の中の名手ドラマー!)まで登場して、ドラムファン的にも大満足!?Little Richardはロックンロールのオリジネイターであり、パンクの祖でありハードロックの親であり、グラムの姉でありファンクの兄である……というようなことがよーっくわかりました。