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Symphony X「Smoke And Mirrors」『TWILIGHT IN OLYMPUS』(1998)
このバンドのことを、当ブログではこれまで正面から取り上げていなかったのか……。いわゆるプログレッシヴ・メタルの中で私が最も好きなグループです。近年は寡作でなかなか待たされますが、出してくる作品の質の高さには毎回唸らされますね。『PARADISE LOST』なんかは気に入りすぎて、出た当初に日本盤を買い、数年後にDVD付き特別版をまた買ってしまったのでした。「Seven」は神々しいまでの名曲。
で、最初に買ったのはこっち『TWILIGHT IN OLYMPUS』でした。ヘヴィメタルのディスクガイドに載ってた、その(本が出た)当時の最新アルバム。買ってきて再生ボタンを押すでしょ、それでいきなり飛び出すギターのこのフレーズよ。素朴だった当時の私はもうそれだけでやられてしまいました。ヴォーカルも熱く、うまいしね。個人的にはドラムにも感銘を受けた……のですが、ドラマーTom Wallingは本作だけの参加でしたね。オリジナルドラマ―のJason Rulloが次作で復帰するからですが、共にテクニカルなタイプでありながら、Jasonはパワーで、Tomは細かさに秀でているようです。(「Smoke And Mirrors」のライヴヴァージョン(played by Jason)は、キックやスネアのアタック感が凄い分、細かなフィルは端折ってる――ように聴こえます。ええ、ええ、私はどっちも好きですともさ。)トム・ウォーリング先生――実際ドラムを教えていたりするようですけど――のプレイをまたどこかで聴きたいもんです。
本作、イントロから即効性のある曲は他には「In The Dragon’s Den」くらいですが、長尺のプログレッシヴな曲(「Through The Looking Glass」)やメロディアスなバラード(「Lady Of The Snow」)にも佳曲があり、気を抜けません。人気曲の密度では前作『THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY』(1997)――アタマ三曲「Of Sins And Shadows」「Sea Of Lies」「Out Of The Ashes」はライヴの常連!――にはかないませんが、味わい深いアルバム。