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どんぱす今日の御膳302

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Korpiklaani「Journey Man」『VOICE OF WILDERNESS』(2005)

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 じゃあ先週からの流れでさらにKorpiklaaniに進もうか。2000年代前半は割と“同時代の新作”もチェックしてたんだなあ、私……

 

 ご存じKorpiklaaniフィンランドのフォークメタル・バンド。本格的民俗ミュージック理解に基づくその音楽的個性はもちろん、妙に笑えるミュージックヴィデオ、日本のレコード会社が調子に乗って(褒めてます)付けたぶっ飛び邦題の数々……唯一無二の森メタルであります。

 

 おそらく日本で火が付いたのはファーストアルバムの曲「Wooden Pints」の面白MVのためでしょうね。私の乏しい語彙じゃ説明しきれないのですが、山賊か木こりがなぜかロックバンドをやっている…みたいな態の演奏場面で始まるのですが、途中から酒盛りとか乱闘(?)の場面になっていきます。そして秘密兵器Hittavainen(Fiddle)の謎めいたたたずまい。私は『VOICE OF WILDERNESS』を買った後からこれを観たんですが、やっぱり笑えました。

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 『VOICE OF WILDERNESS』については、やはり伊藤政則のRock Cityというテレビ番組で「Hunting Song」のMVを観て知りました。(それにしても、なんだかんだで政則先生には世話になっていますなあ。)これまた傑作で、山賊or木こりのメンバーが「♪アヤーヤヤーヤー」言いながら森の楽団をやるのよ。メンバー以外にもキャストがあって、村人たち(?)がなんか輪になって踊ってたりする。で、妙に目を引くのはやっぱりヒッタヴァイネン氏だったりする。まあ、楽しい曲で、メタル的パワーもあり、気に入った私はアルバムを買いに向かうのでありました。

 あ、問題の邦題ですが、アルバム『VOICE OF WILDERNESS』は『荒野のコルピクラーニ』。これはまあいいよ。「Hunting Song」」は「「狩り」こそ漢の宿命」と来て、今回の「Journey Man」は「旅行けば」。ここまではぎりぎり原題の痕跡がありますが、「Beer, Beer」が「吐くまで飲もうぜ」、「Cottages And Saunas」が「サウナでひとっ風呂」、になってくるともうあやしい、「Spirit Of The Forest」が「森の中でハッスルハッスル」はいくらなんでもねえだろー(笑)。

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 さて肝心の楽曲「Journey Man」ですが、2分半もなく終わる本作中最短の一曲ですが、そのスピード感は爽快そのもの。“♪Free, free as a journey man……”のコーラスの後のツナギ部分で繰り出される高速フィドルが無茶苦茶気持ちいい。1分50秒あたりからは笛――クレジットによるとtorupillというバグパイプの一種(?)――が入って完全に“村祭りサウンド”に。つまり主役はやっぱりヒッタヴァイネン先生なのでありました。彼はホンモノの民俗楽器を操れる名手だったようで、その後もしばらくの間コルピクラーニに貢献し続けます(2011年まで在籍)。

 

 Korpiklaani自体は今も活躍してますし、CDもずっと日本盤が出続けていますね。近年の作品はチェックできてない私ですが、また聴いてみましょうかね。