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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第40回「“HEAVEN & HELL”」(26)

9Sir Lord BaltimoreKINGDOM COMESIR LORD BALTIMORE1970/71USA
 アメリカンハードロックのディスクガイドを読んでいたら、とにかくこのバンドはスゴイって書いてあったのです。ドラマーがリードヴォーカルを兼任するトリオだが、あまりにブッ飛んだ歌唱だ、云々と。アメリカンハードというと、MontroseとかBlue Öyster Cultとか、精々Grand Funk RailroadとかBlue Cheerくらいしか知らなかった私は気になりましてな。でも、ふつうの店には全然置いてないの。こういう時頼りになる(?)のがあのお店。
 
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 1970年のデビュー作KINGDOM COMEと翌年のSIR LORD BALTIMOREカップリングCD。変な編集で、両作品の全曲を収めているのですが、どちらもアルバムB面→A面の順に並べてある。(ファーストのB5曲→A5曲→セカンドのB2曲→A4曲。)ファーストのプロデュースはEddie KramerKissの仕事などで有名ですね。
 
 ファーストの1曲目だった本作6曲目の(ややこしいわ!)「Master Heartache」は、繰り出されるリフの数々、キメにおける全パートの斉一、パワフルを通り越して(確かに)ブッ飛んでる歌……こりゃすげえや。やり過ぎ、やり過ぎ♪。


 「Hard Rain Fallin’」なんかは、ベースのリフとドラムパターンが初期Grand Funk Railroadを思わせるんですが、あちらよりもっと不健康な感じ(笑)がすごい。不健康、でいえば、続く「Lady Of Fire」のヴォーカルはヤバ過ぎる。これをOKテイクにしたEddie Kramerはハードロックというものをよくお分かりだったという他ない。これまで本サイトでご紹介してきたもので例えると、かのScreaming Lord Sucthのような。こっちの方が技量はあるけど。
 
 おうおう、アコースティック伴奏で始まり、ふつうに朗々と歌う曲もあるじゃないの。「Lake Isle Of Innersfree」……と思っていると、その後の落差がひどいな、「Pumped Up」はさっきの「Lady Of Fire」に劣らぬブチ切れ歌唱です。ここまででオリジナルアルバムの半分だからね、フルで聴いたらたいへんだね。
 
 念のため本作15曲目(オリジナル・ファーストアルバムの後半)も聴き直したけど、すこしだけ(「だけ」、ね)聴きやすい感じもした。気のせいかもしれんが。リフの豊富さは変わらず楽しめるし、歌も正気を保って……と思えたのは「Kingdom Come」と「I Got A Woman」くらいで、「Helium Head」とかはやっぱ危険。アルバムの結びとなっていたはずの「Ain’t Got Hung On You」は割合(彼らにしては)端正に終わったね。
 
 さあ、セカンドアルバムはどうかな。セカンドの冒頭だった「Man From Manhattan」は“四幕もの”の組曲のようです(全10分半)。わかりやすい激しさは鳴りを潜めているけど、妙にメランコリックだったりして、もはやドゥームの領域に入っている気が。そのあとの「Where Are We Going?」は疑似ライヴの軽快(彼らにしてはね)な一曲。と思ったらサックスが入って来るね。オリジナルB面の「Chicago Lives」も、一筋縄でいきません。途中でシャッフルにリズムが変化したりとかね。ちなみにセカンドアルバムはギター2本体制になったそうです。
 
ファースト的なわかりやすいヤバさを感じさせるのは「Woman Tamer」で、ヴォーカルもさることながら、ツインになったギターが分厚く劇的に迫ります。ラストの「Caesar LXXI」まで聴いてきて少し感じたのは、セカンドアルバムは結構実験的だったんではないかということ。ハードロックの枠内(“プログレ”にならない範囲)でいろいろやってコワい感じになっているあたり、SteamhammerSPEECHあたりを彷彿させるなと。(おっと、こっちが先か。)