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このドラミングがすごい“mini”(6)

(6)Sean Taylor

【曲】Blitzkrieg「Unholy Trinity」(『UNHOLY TRINITY』1995)

 NWOBHM勢力中最高のバンドの一つSatan。その名盤『COURT IN THE ACT』で叩いているドラマーがSean Taylorさんであります。SatanBlind Furyと名を変えたり、元に戻したり、またもPariahと名乗ったりといろいろありましたが、近年またSatanとして旺盛な活動を行っているのはご存じのとおりです。彼らの作品の質の高さは、Russ TippinsとSteve Ramseyのギター隊のリフ・アイディアの豊富さに負うところが大きいですが、個性的なヴォーカリストと強靭なリズムセクション(Graeme English+Sean Taylor)の存在も忘れてはいけませんな。

 

 ショーン・テイラーさんのドラミングは、スタイルとしてはオーソドックスだと思いますが、バンドを押し出すドライヴ感が凄い。ライヴを聴くと走り気味な時もありますが……。グレアム・イングリッシュさん(Ba)との相性は絶妙で、スピードナンバーでも“スラッシュ的”にならず、ヘヴィナンバーでも“ドゥーム的”にならない、古き良き「ハードロック」の味わいを感じさせてくれます。『COURT IN THE ACT』で聴ける、多彩なリフに対応するドラミングは、当時のNWOBHM界隈でも抜きんでていたのではないかと思います。

 

 そういうわけで、まずはSatanでの仕事を聴けばよいのですが、ここでご紹介したいのはBlitzkriegでのプレイ。Blitzkriegは80年代に活動した、Brian Rossが率いた(Satanとは兄弟のような?)バンドで、85年にアルバム『A TIME OF CHANGES』を出しています。「Blitzkrieg」という曲はMetallicaがカヴァーしたので有名になりましたね。

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 実はファーストアルバムでもドラムはショーンさんが務めていたのですが、十年後に作られたセカンド『UNHOLY TRINITY』――Brian以外のメンバーは一新――でも彼がプレイしていたのには少々驚きました。(むろん、リアルタイムで知っていたのではなく、後でたどって認識したわけですが。)ブライアン御大と仲良しなのでしょうね、やはり。

 

 『UNHOLY TRINITY』の1曲目は「Hair Trigger(Pull The Trigger Pt.2)」という曲なのですが、これはSatan及びBlitzkriegがかつて取り上げた(『COURT IN THE ACT』『A TIME OF CHANGES』の双方に入っております)「Pull The Trigger」という曲の“続編”。こういった曲をBrianが歌ってSeanが叩くんだから、もうSatan/Blitzkriegお家芸の世界。スネアの細かいロールと必殺の頭打ちが心地よいメタル・ソング……

 

 で、今回の対象曲「Unholy Trinity」(歌詞の内容は、“切り裂きジャック”に因んでいるようです)なんですが。不安感をあおりつつ疾走していくリフに合わせてドラムが進むのですが、バスドラムの位置が独特で、“ドッタ、ドッドタッ”のパターンを例にいうと最後の「ド」が16分(一般的なビートより)遅いような、不思議な踏み込み。全般には前ノリ系のショーンさんが、キックの一部だけを微妙な位置に置くことで不思議なグルーヴが生まれています。……意図的なんだと思うんですが。説明が下手ですみませんが、実際聴いていただければおわかりかと。

 

 この曲はバンドのライヴ・セットリストにも残っていきましたので、後任ドラマーのプレイをライヴ盤で聴けるのですが、そこでは通常の8ビートで演奏されていましたね。『ABSOLUTELY LIVE』(2004)におけるPhil Brewisさんのプレイは、“むしろこれが自然だろうなあ”と思わせてくれる好プレイですが、オリジナルを聴き込んでいた耳には“軽く”聴こえてしまうという。おかしなものです。あ、『ABSOLUTELY LIVE』はバンドの新旧佳曲が生々しくい味わえる良作なので、チェックをお願いします。ブライアン・ロス先生もお元気ですぞ。

 

 まさかそこ(『UNHOLY TRINITY』)からさらに二十年弱経って、Brian Ross入りのSatan with Sean Taylorの音源が聴けるようになるとは思いもよりませんでしたが。再集結Satanは活発に活動していますが復活第一弾の『LIFE SENTENCE』(2013)、北米ツアーの記録『TRAIL OF FIRE』(2014)にはとりわけ感銘を受けました。ギター隊のアイディアはまだまだ豊かでしたし、ブライアンはますます盛んだし、ショーンとグレアムは若々しい――この期に及んでライヴでは走り気味なのが微笑ましい――し。

 

 今後の活躍も期待できます、というところで今回は終わり。