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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第40回「“HEAVEN & HELL”」(21)

4Dick Heckstall-Smith & FriendsBLUES AND BEYOND2001UK
 これを見かけた時も驚いた。渋い、渋すぎるよ。英国プログレの名バンドColosseumでサックスを担当していた人のソロアルバム。70年代の作品があることは聞いていましたが(A STORY ENDED1972)、2000年代に新作を出していたとはね。「へえ?」と思って手に取ると、ジャケットにDickさんの近影と、「Peter Brown/Jack Bruce/Clem Clempson/Peter Green/Jon Hiseman/Gary Husband/Paul Jones/John Mayall/Mick Taylor」という“friends”の名前が。うおおおお、豪華すぎる。こんなの、Dickさんの人徳じゃなきゃ無理だろ。少々お値段は張ったんですが、頑張って購入しました。
 
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 まあそれでも聴き始めるまでは、「往年の名人たちの渋く枯れた味わい」、とかを想像してたんですが、おろかものめ、皆さま現役なんだからそんなもんじゃなかったよ。冒頭の軽快な「Rollin' And Tumblin’」(マディ・ウォーターズ)はColosseumの同僚Jon Hisemanがドラム、ヴォーカルとハープがPaul Jones(元Manfred Mann)で、Dickさんのサックス・ソロも絶好調。次のヘヴィ・ブルーズ「Millennium Blues」はGary Husbandがドラム、Clem Clempson(元BakerlooHumble Pie他)がギター。この曲と次の「Watching Your Every Move」、あと「Angie Baby」(5曲目)で歌ってるRab McCulloughさんはよく存じませんでしたが、イイ喉してる。
 
 4曲目「Cruel Contradictions」は少し雰囲気が変わりまして、浮遊的なギターに枯れたヴォイス……Peter Greenの登場ですよ。Dickさんもジェントルにプレイ。6曲目はリードヴォーカルがPete BrownCreamの作詞などで有名かな)となって、不思議な跳ねの曲「Grind, Glitch And Snit」。間奏のジャジーなサックスが好い感じ。次のインスト「Spooky But Nice」では、Dickのサックスと共にClemのリードプレイ、Mick Taylorのスライドが堪能できます。
 
 本作中最長の「Hidden Agenda」は、Jack Bruce(元Cream他)がリードヴォーカルをとります。Colosseumや初期Jack Bruceがやっていた風なプログレッシヴ・ブルーズ。ジャックの声の説得力は別格。Paul Williams(元Juicy LucyTempest他)の歌う「Twilight Shuffle」、Dick自身歌唱の「(Dix WWW SWAMP」もいいけどね。
 
 決して派手派手しい作品ではないのだが、といって地味だとか面白味がないとかいうことはないのですな。ちょっとしたリズムの遊びとか、ありきたりに走らないソロ・プレイとか、さっきの言葉を繰り返すと、たぶん「プログレッシヴ・ブルーズ」っていうのがいいと思う。Creamなんていうのも元はハードロックというより「プログ・ブルーズ」だったと見ればしっくりくるんじゃないかな。ブリティッシュ・ロック進化の原点、それを21世紀の始まりに際して英国紳士が示してくれた、っていうことでどうでしょう。