DON'T PASS MUSIC BY

"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

時代の産物を追う?(18)

10Chris SpeddingJOYLANDUK)
 Chrisは名セッションマンとして有名で彼の参加した作品を列挙するだけでものすごいことになりそうですが……本作ご紹介に先立ちましてちょっとだけのぞいてみますか。
 
Chris Speddingのお仕事>
 クリスのオフィシャルHPには、詳細なディスコグラフィがありまして、本人のソロの経歴は「なるほど」というところなんですが、「sessiongraphy」のページをみると仰天。参加した対象アーティストのアルファベット順に並んでるんですが、それだけで300以上。複数作に参加したケースもあるから実参加数はそれより多いはず。セッション参加はクレジットが無いこともあるそうで――ってことはクリス本人もいちいち覚えてない!?――もはや正確に何作に登場したのか誰にもわからない世界。
 
 私が音源に接したことのあるもの(且つ、アルバム全体に彼が参加してるやつ)だけ挙げますと……
Jack BruceSONGS FOR A TAILOR1969
 Creamのベーシスト・ヴォーカリストのソロ・アルバム。ジャズ・ロック風味と歌モノの魅力が見事にブレンドされた名盤。冒頭の快活な「Never Tell Your Mother She’s Out Of Tune」、Mountainに提供された「Theme From Imaginary Western」、Colosseumに提供された「Rope Ladder To The Moon」など名曲多し。
 
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Pete Brown & His Battered OrnamentsA MEAL YOU CAN SHAKE HANDS WITH IN THE DARK1969
 Creamにも詞を提供し、Jack Bruceとの長い共作でも知られる詩人Pete Brownのバンド。クリスのギターワークも絶妙のグルーヴィーなロック「Dark Lady」、クリームの「Politician」(JackPeteの作品)のアヴァンギャルドなセルフ・カヴァー、フルート乱舞の「Sandcastle」など、やりたい放題の作品。
 
Battered OrnamentsMANTLE-PIECE1969
 ピートのバックバンドだった面々がピート抜きで作ったアルバム(楽曲はピートとクリスの共作を多く含む)。歌はクリスが担当。冒頭の落ちついた「Sunshade」、アコースティックギターとフルート、オルガンによる「Staggered」、ピート単独作だがクリス入魂の歌唱が迫る「The Crosswords and the Safety Pins」……アヴァンギャルド色は抑えめですが、やっぱりかなり捻りがきいてる。
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 NucleusELASTIC ROCK1970
 英国ジャズの名手Ian Carrが率いたジャズロックバンドのデビュー作。「Elastic Rock」は全然ロック調じゃないですけど、中間でクリスのジャジーなソロが味わえる。「1916-The Battle Of Boogaloo」は細かい刻みのリズム隊の上でIan得意のロング・トーン・トランペットが響き渡る曲。後期Soft Machineみたい……と思ったらそれもその筈、作曲者は後にSoft Machineに入りバンドの音楽面を牽引したKarl Jenkinsでした。
 
NucleusWE'LL TALK ABOUT IT LATER1971
 Karl Jenkinsといやあこれね。本作収録の「Song For Bearded Lady」、これが後にSoft MachineBUNDLES冒頭の「Hazard Profile Pt.1」に改作されるのでした。というか、私はさきに「Hazard Profile」を聴いて(Allan Holdsworthのギターが聴きたかったから)、ライナーノーツかなんかで「これは元はニュークリアスの曲なのだ」とあったんで頑張って探したら、そっちはクリスがギターだったというわけで。(私はこの手のものばかり漁ったので、Chris Speddingっていうのはジャズ畑の人だと思ってた。ソロキャリアを拝見するに、彼自身が好んでやりたいのはロカビリーみたいなやつらしいんですが、何でも弾けちゃったので引っ張りだこ状態。)あ、本作は他にも名演たくさんの好アルバムです。久し振りに聴いたら歌入りの「Ballad Of Joe Pimp」のあやしい雰囲気もイイねえ。
 
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Ian Carr with NucleusSOLAR PLEXUS1971
 もういっちょうイアン先生。名義が変わってますが、コア・メンバーは同じ。ジョン・マーシャルJohn Marshall)のドラムがあって、クリスがギターを弾いて、ブライアン・スミス(Brian Smith)の管があって、カール・ジェンキンスが音楽番頭。「Changing Times」で聴けるように、ロック的な躍動感をジャズの話法でどうやるか、ってことを突き詰めたユニットだったんじゃないですかね。オーボエの導きで静謐に始まり、だんだん盛り上がる「Bedrock Deadlock」とかね。
 
<つづく>