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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第47回「Osibisa」(4)

 お得意の(?)関連作品枠で一つ。私とOsibisaとの出会いとなったUriah Heep『LOOK AT YOURSELF』であります。彼らのサード・アルバム。

 

 最近買いました本にROLLYさん著『ROLLYのロック・ギター異人館』(シンコーミュージック、2019年)てのがありまして、楽しませてもらったんですが、その中にもこの作品のことが出てきましたですね。“知られざる名ギタリスト”としての「ミック・ボックス」を取り上げた第21章なんですが……話が逸れて“Lucifer’s Friendが最高”とか言う展開になったり、『LOOK AT YOURSELF』の“ジャケットの「鏡」が映らんわ”っていう思い出話に花を咲かせたりするあたりが著者らしさで微笑ましくはあるのですが、この作品におけるMick Boxの具体的な貢献を――プロのギタリストの解説で――もっと聞きたい感じもしますねえ。

 

 それはともかく、ユーライア・ヒープの主要メンバーは、Mick Box・David ByronそしてKen Hensleyですが、この三作目までは他のパート(ドラム)が安定しませんでした。これはドラムファンのハードロック野郎(小生)には見過ごせないポイントでしてね。頼まれてもないけど聴き所を挙げましょうや。

 

 ファーストアルバム『VERY ‘EAVY VERY ‘UMBLE』(1970)ではNigel OlssonとAlex Napierが叩いてました。前者(ナイジェル)はその後Elton Johnバンドのメンバーとして活躍します。エルトン・ジョンのヒット曲「Goodbye Yellow Brick Road」と「Saturday Night’s Alright For Fighting」なんかを叩いてるのももちろん彼。「Goodbye~」の端正な雰囲気も「Saturday~」のロッキングルーヴもお手の物。

 

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 ヒープのセカンド『SALISBURY』(1971)ではドラマーはKeith Bakerに交替。この人は英国ブルーズ・ロックの名盤『BAKERLOO』(後にHumble Pieに入るClem Clempsonがギターを弾いて歌ってた)でプレイしてました。Bakerlooっていうのはね、そうですね、Gary Mooreの居たSkid RowとかGary Moore Band『GRINDING STONE』)あたりが好きな人だったらいけると思います。Gary Mooreよりも派手さはないけど、ツボをおさえたブルージー・ハードロックが聴けますぞ。アルバムも一枚しかないから集めやすいし。ヴォーカルがやや弱い(Clemさんは声の線が細め……)けど、インストの密度は素晴らしい。冒頭の「Big Bear Folly」のジャジーな弾きまくりを聴いてほしいですな。Ten Years AfterのAlvin Leeと同系統の、“ジャズを通過したハードロック・ギター”がお腹一杯満喫できます。あとは、バッハ(クラシックのね)をモチーフにした「Drivin’ Bachwards」(Backwardsをもじっているんでしょう)なんかも面白い。バッハは70年代前後のロッカーのインスピレーション源ですよねホント。Jon LordやIan Andersonもネタにしてた。そうそう忘れてた、Keith Bakerさんの手数多く細やかなドラミングもナイスですよ。

 

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 で、この『LOOK AT YOURSELF』ではまたメンバーが替わりましてIain Clarkがドラマーに。こちらは英国プログレの名バンドCressidaでプレイした人。クレシダの『CRESSIDA』『ASYLUM』は鍵盤メインのジャズ・ロックとしてはとっても楽しめますよ。まず前者(ファースト)の「To Play Your Little Game」を聴いてみますか。Angus Cullenというシンガーはきっちり歌える人で、聴いてて心地よいね。器楽パートは、クルクル変わるリズムチェンジと、Pete Jenningsの巧みな鍵盤捌きが楽しい。後者(セカンド)は、ちょっと「ギョッ?」とさせられるキーフ(Keef)のジャケットアートが目を引きますが、音楽的には前作の延長上。冒頭の「Asylum」のこなれ具合、意欲的な大作「Let Them Come When They Will」など、これまたプログレファンには嬉しい作品。あんまり気に入ったんで、2010年代に出た発掘音源『TRAPPED IN TIME : The Lost Tapes』にまで手を出した筆者は彼ら(誰?)の思う壺。

 

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 そういうわけで、ヒープドラマー列伝(周辺)を追っかけるだけで英国ロック史の側面が照らし出されるようなもんなんですが(誇張)、Iainさんも本作限りの参加だったの。その次に入ったのが、ROLLYさんがご著書でも(若い人向けに?)「あのオジー・オズボーン『BLIZZARD OF OZZ』で叩いていた人ですよ」と紹介されていたLee Kerslakeで、この人とGary Thain(Ba)の加入を以てようやくラインナップは安定を見たのであります。(Gary ThainはKeef Hartley Bandで……っていう話にいくと戻ってこられなくなりそうなのでパス。)兎に角!ライヴバンドとしてはメンバーの固定は重要ですよね。リーさんはその後基本的にはバンドに在籍を続け、リーダーのミック・ボックスに次ぐ古参メンバーとして2007年までバンドを支えました。(Uriah Heepは後任を入れてさらに継続中!)

<続く>