268
Cream「Tales Of Brave Ulysses」(『DISRAELI GEARS』1967)
コンテンポラリーな作品をつづけたので、今度は古典に戻りましょう。Creamの曲なんですが……実は昔からこの曲が不思議に気になりましてね。「英雄ユリシーズ」っていう邦題が思わせぶりなせいもあるかもしれんけど。
下降するコードはのちの「White Room」っぽくもあるけど……作曲者は全然違うんだな。「White Room」はJack Bruce+Pete Brownのお馴染みコンビだけど、「Tales Of Brave Ulysses」はEric Claptonが作曲で、作詞はMartin Sharp。シャープさんて誰?
というこういうとき、Webの百科事典は使えるなあ、オーストラリア出身の漫画家で当時イギリスに渡って来てて、クラブ「スピークイージー」でエリック・クラプトンで出会って新曲の詞を提供したと。はあー。
いわゆるブルーズのフォーマットから外れた曲だと思うんで、エリックじゃなくてジャックあたりの趣味かと思ったらハズレ、ジャック・ブルースは作曲には関わっていなかったんですね。録音作品ではヴォーカルとベースで凄い存在感だからジャックっぽい感じを勝手に受けていましたわ。
エリックのワウ遣いも強力なインパクトを残すナンバーで、『LIVE CREAM VOLUME Ⅱ』に入ってるライヴ版もイイ。クリームは強力なインプロヴィゼーションも武器でしたけど、こういうストラクチャーのしっかりした曲をガチっと仕上げるのもお手の物だったんですなあ。