(4)Comma『FREE AS GOD』(2004、Turkey)
専門店に行く楽しみはいろいろありますが、大手の店には無いようなものを求めるのがその一部。Heavenは地域ごとにバンドが並べられているので、「おお、こんな国から出たメタルが聴けるのか!」となることも多かった。
Commaはトルコのバンド。煽り文句は“トルコのドリーム・シアター”とかじゃなかったかなあ。冒頭がタイトルトラック「Free As God」。妙に“モダン”な始まり方をするので少々不安に感じたりもしましたが、フルバンドになった部分以降は、確かにDT風プログ・メタル。3分半あたりからのテンポチェンジ・加速が良い感じ。歌も、頑張っているなあ。(歌い上げ方が些か一本調子な気がしなくもないですが。)
本作中では短い方ながら、各パートの見せ場がある4曲目の「Edge」や、中間部のパーカッションと笛――それぞれDarboukaという打楽器とNeyという葦笛で、トルコ古典音楽で用いられる楽器だそうです――が独特の雰囲気を醸し出す「Remain Silent」が気に入りました。プログレッシヴ・メタルというスタイルも広がっているなあと思ったもんでした。
(5)Dark Moor『SHADOWLAND』(1999、Spain)
これは、後述するハロウィン・トリビュートものに参加していたので気付いたバンド。長尺の「Halloween」をカヴァーしていたので印象に残ったのです。スペインのバンドということで、店にいって探したら、確かファーストとセカンドがあって……どっちにしようか迷ったんだけど「まずはファーストかな、ファンタジー風味のジャケも良いし」くらいの感じでこっちにしたんじゃなかったかな。
後でネット上の世評を見ると、「ファーストからセカンドへの成長が著しい」とか言われていて、「うェ?」って感じになりましたが。いやいや、見方を変えれば、彼らの原点がわかるのだと言い聞かせて再生すると……なんだ、けっこういいじゃないの。Enrik Garciaのギターは大したもんだし、Elisa Martinの歌も(この頃はまだ少々青い感じはあれど)標準は充分上回っていますよと。2曲目の「Walhalla」なんか、ちょっと構成的に引っ張り過ぎな感じもありますが、雰囲気はよく出てるしね。「Dragon Into The Fire」その他の疾走曲なんかも悪くない。「The King’s Sword」のようなテンポを落とした曲だと、Elisaの歌の危なっかしさが出ちゃうけど。(彼女の名誉のために申し添えると、Dark Moorのサードアルバム『THE GATES OF OBLIVION』の頃にはそういう隙の無い堂々たる歌い手になっております。念のため。)
(6)Destiny’s End『TRANSITION』(2001、USA)
かと思うとこのようなマイナー・バンドもね。今回の特集、危険なのは私のものを見る目が問われてしまうところじゃな。いやいやいや、このバンドも悪くない内容ですよ?アメリカの棚をあさっているときに「正統派」って書いてあったし、ドラマーが「Brian Craig」だったから、「おお、Seven Witchesで叩いてるひとじゃん」と思ったから買った、というだけだけど。このバンドは日本盤は出てない筈。
とっくに解散してしまったバンドですが、時々聴きたくなる良いアルバム。ちょっとCrimson Gloryに雰囲気が似てるのかなあ。ほんのりSF風味+パワーメタル、1曲目の「Transition」なんか美味しいと思います。3曲目の「A Passing Phase」あたりもCGっぽいかも。ヴォーカルのJames RiveraはSeven Witchesにも参加したことあり、米国パワーメタル界で頑張ってる。
<続く>