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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

第36回「You Really Got Me大特集」(3)

Ⅱご本家ライヴ・ヴァージョン
 当然、ヒット曲を本人たちは何度となく演奏することになります。ここではオフィシャル実況盤で聴けるものを挙げてみましょう。
 
2The KinksLIVE AT KELVIN HALL1967)版
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The KinksLIVE AT KELVIN HALL1967
  1.Till The End Of The Day
  2.A Well Respected Man
  3.You’re Looking Fine
  4.Sunny Afternoon
  5.Dandy
  6.I’m On An Island
  7.Come On Now
  8.You Really Got Me
  9.Medley: Milk Cow Blues-Batman Theme-Tired Of Waiting-Milk Cow Blues
 
 RayDavePeteMickのオリジナル・メンバーのプレイが聴けるライヴ盤は長いコトこの作品しかありませんでした。音がわるいので有名な作品……その代わり、オーディエンス(若い女性が多そう)の黄色い歓声が物凄い、時代のドキュメント。本作の聴き所は、「Sunny Afternoon」のオーディエンス大合唱とか、ラストの「Milk Cow Blues――Bat Man Theme――Tired Of Waiting For You――Milk Cow Blues」のメドレーとかなんですが、ちゃんと「You Really Got Me」もやってます。ミックによるドラムプレイが聴けるわけですが、スタジオ版を叩いたボビーさんに比べると軽やかな感じ。(映像を観ると、ミックさんはこの時期レギュラーグリップで演奏。パワーヒッター・タイプではなかったようです。)レイの歌も気合横溢で素晴らしく、弦楽隊のリフの嵐もテンションを途切れさせませんが、録音の都合で「ギター・ソロ」がほとんど聴こえないのだけが難点。
【2023年10月7日追記】
 LIVE AT KELVIN HALLのモノラル(Mono)ヴァージョンが手に入ったんで聴きましたところ、件のギターソロが――すごくクリアに、ではないですが――聴きとれました。オリジナル(スタジオ)ヴァージョンの様なブチ切れ速弾き……ではすでになく、ペンタトニックのスケールを広く使った様な、円熟味ある(!?)ソロになっていましたね。収録されたのは1967年ということですので、「You Really Got Me」が世に出てから2-3年というところですが、デイヴ(Dave Davies)はすでにその時点でギターソロをアレンジしていたことになりますかね。
 
3The KinksAT THE BBC201219649月版
 一体、Dave Daviesはライヴでもあの(オリジナルと同じ)ソロを弾いていたのか否か?それは私にとって謎であったのですが、疑問を解消してくれたのがAT THE BBCというコレクションボックスでした。この中に、「Saturday Club」という番組に出演した際(19649月)の「You Really Got Me」が入っていたのです。
 
 こちらで聴くと、スタジオ版に相当忠実な演奏の様子、念の入ったコーラスパート、そしてデイヴの必殺ギター・ソロがよくわかります。デイヴがソロをとってるときうしろはレイのリズムギターとなりますが、これも結構いい仕事してる。レイはギタリストとしてはあんまり評価されてない気がしますが、いやいやお見事。
 
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4The KinksAT THE BBC2012196410月版
 こちらは196410月「Top Gear」出演時の音源。ごくわずかにテンポを落としている?音作りの関係がギターの音が少々ペナペナに聴こえる……一方ドラムの安定感は上々で、特に後半にかけての盛り上がりはミックの手柄ではないかな。
 
5The KinksAT THE BBC20121974年版
 少し時代は飛びますが、1974年のコンサート音源。当時The Kinksは、コンセプトアルバムを作り舞台でも再現するっていうのにレイが意識を向けていたこともあって、このヴァージョンは従来のビート・バンド流のモノとは異なっております。メインリフも、ギターだけでなく、オルガン(!)が重ねていますし、コーラスになるところからはホーン・セクションも加わってやたら分厚い演奏に。しかもこのヴァージョンは「All Day and All of the Night」とのメドレーになってますわ。かなり珍しいテイクといえましょう。それでも、曲の冒頭でレイが「この曲が無かったら、僕らはいまここにはいないね。初めてのヒット曲だったんだよ。」と言っているのは感慨深い。
<続く>