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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第36回「You Really Got Me大特集」(14)

Ⅳデイヴィス兄弟のセルフ・カヴァー
セルフ・カヴァーということなら当然デイヴィス兄弟のそれぞれもいろいろやっています。順次ご紹介と行きますが、まずは……ここにとり出したるはSOLO LIVEと銘打ったDave Daviesの作品。これは単なるソロライヴではございませぬ。いずれ触れますRay兄貴のSTORYTELLER同様、弾き語りとトークが織り交ぜられた珍しい品でござい。
 
Billy Joelのところでも話した気がしますが、私はこういう「アーティスト自身による、楽曲解説音源」が大大大好き。実演をまじえての講義が聴けるなんて、最高じゃないですか。
 
24Dave DaviesSOLO LIVE2000
  1. Michael Kraus Presents
  2. You Really Got Me
  3. Green Amp + Influences
  4. Long Tall Shorty
  5. 1st U.S. Tour/Book Extract #1
  6. Intro:Death Of A Clown
  7. Death Of A Clown
  8. Susannah's Still Alive
  9. This Man He Weeps Tonight
  10.Misery Tour/Book Extract #2
  11.Intro:Strangers
  12.Strangers
  13.Breakdown/Book Extract #3/Spirituality
  14.Love Gets You
  15.Living On A Thin Line
  16.Spiritual Planet
  17.Intro Young And Innocent Days
  18.Young And Innocent Days
  19.Thanks/I'm Not Like Everybody Else
 
イメージ 1

 

 1999年の実況録音。まず貴重なのは、Daveが本当に「Solo」でGt+Vo弾き語りをやっていること。ただし、最初彼の相棒はエレクトリックギターなので、挨拶がわりの2曲目「You Really Got Me」ではギンギンの弾きまくりが楽しめちゃう。後述するRay兄貴が見事なアコースティック・ヴァージョンを披露するのとは対照的に、Daveは「自分のギターフレーズをそのまま弾いて、自分で歌う」ストレートな演奏をぶちかましてくれます。
 
 で、その直後にトーク・パートが入りまして、思い出話へ。タイトルにあるように“Green Amp”があの「You Really Got Meサウンドのカギだったっていうはなしなんですが……兄Rayの回想とちょっと違っているのは、「あの頃のアンプのナチュラルなトーンにうんざりしていた俺は、カミソリでグリーン・アンプのコーンを切り裂いたんだよね」って言っているところ。「編み棒」じゃなかったのか……。どちらの記憶が正しいのかな?
 
 “Influences”っていうところでは、「俺が影響を受けたのは、エディ・コクランとかだね。あとは、マディ・ウォーターズとかのブルーズ。リトル・リチャードも大好きだった」云々と。本作は“Live Solo Performance At The Martin College Todd Wehr Alumni Center”という副題にあるように、若干数の聴衆の前で演じているのですが、聴き手がけっこう若い人中心のようで、Daveの語り口も、「古老が語るロック草創期」みたいになってます。勉強になる!
 
 例の、Shindig! TVショーでもやっていた「Long Tall Shorty」をやっぱりエレクトリック弾き語りで短く披露した後、アメリカ・ツアーの思い出を語って……という風に進みます。その豊富な内容はここでは紹介しきれませんけど。デイヴは1997年に『KINKS: An Autobiography』という本を出してまして――兄への悪口満載という説もありますが、私は未読のため評すことが出来ません……――、おそらくそれを踏まえてのものではないかと。(後述するSTORYTELLERがやはりレイ自身の本『X-RAY』をベースにしているのと相似形かもしれない。性格もミュージシャンとしてのタイプも異なるデイヴィス兄弟ですが、この辺の「歴史語り」に入った時期は期せずして一致。)
 
 他にこのアルバムで披露されている曲はDaveヒッツとして有名な「Death Of A Clown」(ここからはアコースティック・ギターに持ち替えて……)や、「This Man He Weeps Tonight」、「Strangers」(アコースティック渋いなあ、名曲!)、後期の名作「Living On A Thin Line」等々。締めくくりが「I’m Not Like Everybody Else」(エレクトリック伴奏)っていうのも最高。The KinksTO THE BONEでもレイが「この曲はシングルB面だったけど、とくべつ好きなんだよね」っていってたけど、デイヴも好きなのね。(もともとのヴァージョンはデイヴがリード・ヴォーカルでした。歌詞の内容もひねくれソングを書かせたら世界一のRay Davies印、「俺は他のやつらみたいに生きたくない、俺は他のやつらみたいに仕事なんかしたくない、俺は他のやつらみたいに“いい気分でございますね”なんていいたくない、俺は他の誰とも違うんだから。」っていう、パンクみたいな内容。これをワガママなヤンチャ少年の(イメージのあった)デイヴが歌うんだから、インパクトありましたよね。
 
(ついでに、後年、英国の至宝職人ギタリストChris Speddingがカヴァーしているのも聴きもの。どんなセッションにも適応してカメレオン的才覚を示し続けた彼が、自作では「俺は他人とは違うのさ」と歌ってるのがおもしろい。鋭い目つきでこっちを睨みつけてるジャケットも怖くていい感じだし。)
 
 レイやデイヴ、そしてキンクスの影響というのは相当広く及んでいるのだなあと感じる次第であります。
<続く>