その後数年して、Rayは今度は「パンクの時代」を先取りするかのように、「ロックバンド」のフォーマットへの回帰を果たします。やはりキーボーディストが居てメインリフをオルガン弾きしてますが、ギターソロになると、ほとんどヘヴィメタルみたいな歪んだ音をデイヴが繰り出します。
(7)The Kinks『ONE FOR THE ROAD』(1980)版
The Kinks『ONE FOR THE ROAD』(1980)
1. Opening
2.The Hard Way
3.Catch Me Now I’m Falling
4.Where Have All The Good Times Gone
5.Lola
6.Pressure
7.All Day And All Of The Night
8.20th Century Man
9.Misfits
10.Prince Of The Punks
11.Stop Your Sobbing
12.Low Budget
13.Attitude
14.(Wish I Could Fly Like) Superman
15.National Health
16.Till The End Of The Day
17.Celluloid Heroes
18.You Really Got Me
19.Victoria
20.David Watts
The Kinksがリアルタイムで出したライヴアルバム第2弾。この時は、レイ・デイヴ・ミックの他は、Jim Rodford(Ba)・Ian Gibbons(Key)というラインナップ。ジム・ロッドフォードはかつてArgentに居たベーシストで、80年代以降のThe Kinksを支えました。大変残念なことに、ジムさんは今年1月に亡くなってしまったとのことです……
このアルバムは、77年版でも垣間見えたバンド様式への回帰を完成させたアルバム『LOW BUDGET』のリリースに続いて行われたもので、相当充実した内容。1曲目「Opening」は、実は「You Really Got Me」のインストゥルメンタル・ヴァージョン。その音像でわかりますが、この時の彼らはヘヴィ・メタル時代の音を理解し取り入れていました。(特にデイヴのギター。)
後にThe Knack(「My Sharona」が有名)もカヴァーする「The Hard Way」、Van Halenが取り上げる「Where Have All The Good Times Gone」、ロンドン・パンクの大御所The Stranglersがカヴァーする「All Day and All Of The Night」、The Pretendersがデビュー作とした「Stop Your Sobbing」、The Jamが好んで演った「David Watts」など、後続に影響与えまくりの名曲群がずらり。
もちろん、「You Really Got Me」もですが、Van Halen版に触発されたわけでもないのでしょうか、かなりメタリックなトーンになっています。デイヴとミックというオリジナルメンバーズは、いわゆるセッションプレイヤー的な器用さはないのですが、こういう気合い一発の曲だとものすごいパワーを発揮しますね。テンポも走り気味で、「15年前のヒット曲をやってるおじさんバンド」にはとても聴こえない。本作は映像版もあるのですが、それで観るデイヴの若々しいこと。ミックはこの曲はマッチド・グリップで叩いている、ように見えますね。レイも元気一杯で、これは天晴れなテイク。
<続く>