DON'T PASS MUSIC BY

"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第31回「Bruce Springsteen」(1)

 Bruce Springsteenは、私が洋楽初心者であったころに出会ったアーティストの一人でありました。たぶん最初は、中学の時に観せてもらったWE ARE THE WORLDのドキュメンタリーでだった筈。声もそうだが表情がものすごい……入魂の歌唱というのはああいうのかと思いましたな。しかし、何ぶん二十余年前当時のことで、情報も手軽には得られませんでしたから、しばらくは追っかけることもありませんでした。
 
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1995年に出たBruce SpringsteenGREATEST HITSという編集盤に、しばらくしてから手を出したくらいでしたね。ただ当時は、遣り繰りした小遣いをあてましてやっとゲットした一枚ですから、楽曲は繰り返し聴きましたし、ライナーも凄く真剣に読みましたよ。1曲目の元気な「Born To Run」は今でも聴くとテンションが上がりますし、アップテンポの7曲目「Dancing in the Dark」、ヘヴィな8曲目「Born in the U.S.A.」なんかも印象に残ったものでした。曲についてのエピソードも面白く、「Dancing~」はヒットしたものの当時Princeの曲が1位を占めていて抜けなかったとかで、ベスト盤ライナーでブルース本人が冗談交じりに「その昔プリンスと名乗ってたヤツ、恨むぞ!」(笑)とか語っていました。「Born~」の方は、ヴェトナム戦争にまつわるヘヴィな内容(社会的問題提起)にもかかわらず、共和党レーガン(当時)に選挙キャンペーンソングとして利用されたとかも読みました。つい最近も米国大統領とかいう人が、文脈を無視したロックソングの利用・引用を重ねたりしていますが、勝手されちゃうアーティストというのも大変ですね。
 
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当時から私はウルサいロックソングの方が(静謐なバラードなどよりも)だいたい好きなんですが、この編集盤に限っては、一番気に入ったのは「The River」という曲でした。物悲しいハーモニカのフレーズが印象的な、弾き語り調のストーリーテリング・ソング。日本盤で歌詞の内容が手軽にわかったのも大きかったかなと思います――これは「Born in the U.S.A.」も同じで、そのシリアス且つヘヴィな内容には驚きました――が、なんというか一個の楽曲で「物語が完結」している感じが好きなんですよね。Paul McCartneyBilly Joelが割と得意としてる手法で、要するに私のフェイヴァリット様式のひとつなの。
 
そして、ここからが問題ですよ。ふつうならば、「The River」が気に入ったんなら、それの入ってるオリジナルアルバムを探せばよいと思いますよね?ところが、ロック音楽に関して“ライヴ信仰”とでも称しますべきこだわりを有しておりました(もとい、いまでも有しておりますナ)わたくし、この曲の「ライヴ・ヴァージョンを聴いてみたいなー」となったわけです。
 
ちなみにここで“ライヴ信仰”に補足しておきますか。「ライヴ盤が好きだ」というと、賛否の声は結構はっきり分かれます。否定的な人は、「楽曲に(客の声とかノイズとか)余計な音が入っているのがいやだ」、「すでに発表している曲を再演しているだけだから購入に値しない(それならオリジナルアルバムを出してくれ)」、「どうせ手直しして出してるんだから、リアルじゃない」などと仰って、どれもまあ一理あるのですが……。とてもじゃないですがしょっちゅうコンサートを観に行ける立場でないわたくしからしますと、まずやはりその臨場感を体験してみたいというのが大きい。そして、ちゃんとしたアーティストなら、実際の客がいる前できちんとしたパフォーマンスをしているはず、というのもあります。(ライヴがろくでもない方々には興味ありません。)そして、これはややマニアックな楽しみかもしれませんが、同じ曲の「再演」といえどもステージごとに「一期一会」で違っているのであってそこを味わってなんぼ、という気分もあります。とまあ、自己弁護(する必要もない?)してですね、私の所有物にはライヴ盤がやたらと多いのですよ。
<続く>