DON'T PASS MUSIC BY

"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

Riot特集:時系列全作品紹介(5)『BORN IN AMERICA』

Riot『BORN IN AMERICA』1983

  1. Born in America
  2. You Burn in Me
  3. Vigilante Killer
  4. Heavy Metal Machine
  5. Devil Woman
  6. Wings of Fire
  7. Running from the Law
  8. Where Soldiers Rule
  9. Gunfighter
  10. Promised Land

<メンバー>

Mark Reale(Gt)

Rick Ventura(Gt)

Sandy Slavin(Dr)

Kip Leming(Ba)

Rhett Forrester(Vo)

 

          f:id:yes_outsiders:20190921222039j:plain

 バンド史上初、前作と同一ラインナップで作られた5thアルバム。ただしこの間に彼らはメジャーレーベルとの契約を失っておりまして、制作の予算は限られていたようです。音質は、だからでしょうか、若干よろしくない。ただし、それは楽曲の出来とは無関係で、米国ヘヴィメタルの作物としては上々なのでありました。Mark Realeが元気になって(?)手掛ける曲数が増えたということもあるでしょうな。あと、そのMarkのギター・プレイのテクニカル度は本作あたりからピークを迎えます。

 

 冒頭はタイトルトラックの「Born in America」。ほのかにかかるSEは、後年の『THE PRIVILEGE OF POWER』を先取りしていた……わけではないでしょうね、たぶん。この曲はPVが作られていまして、バンドの演奏場面と“大人に反抗するキッズ”のお芝居がサンドイッチで出てくる「いかにも80年代」な映像作品。サンディのバスドラにバカでっかくバンドのマスコットキャラの(タテゴトアザラシの)“Johnny君”が書かれてるのが怖い(笑)。PVはTwisted Sisterの「We’re Not Gonna Take It」みたいだし、曲名もBruce Springsteen「Born in the U.S.A.」と似てる。しかもこのどれもが1984年作っていうね。84年はVan Halen1984を出した年でしたね……意外にロック史において重要なポイントなのかもしれないな。

 

 次の「You Burn in Me」はもうMark Reale節全開と言って差し支えない、硬質なリフと哀感漂う美旋律が組み合わされた名曲。この曲のソロも前作の「Restless Breed」バリの名演だ。この感じを学んだDon Van Stavern(『THUNDERSTEEL』期のベーシスト、いまはRiot Vで活動)は後に、「Land of the Rising Sun」(『UNLEASH THE FIRE』所収)を作るわけですね。

 

 レット作の「Vigilante Killer」は、彼自身がギャングだかマフィアだかに襲われた経験をもとに書かれたとか。レットって人は、Riot関連人士の中では珍しくワイルドなロックンロールライフを送っていたらしく、ドラッグがらみかなんかでトラブルになることもあったとか……で、そういうのを「一人称」的に曲にしちゃうわけですよね。楽曲は、Judas Priest以降のリフ武装ハードロックの味わいを前面に出してます。

 

 速い曲は無いの?という人にはこれをあげましょう。必殺のお車ソングから、ブッ飛ばしまくる「Heavy Metal Machine」。決して難しいわけじゃないのに疾走感を感じさせるこのリフ、最高。以前当ブログでも坂本英三さんによるカヴァーヴァージョンを紹介しましたね。あちらでは太田カツさんというテクニカルギタリストが物凄い速弾きを披露していましたが、本家Mark Realeもここではかなり頑張ってますぞ。ソロ入りのところでは(たぶんバンド史上初)ライトハンド・タッピングを決め、得意の指癖を絡めながらの速弾きを繰り出し、派手なアーミングも織り交ぜる、と。レットのムチャなシャウトも結構結構。これで音質がもっとしっかりしてたら、凄いインパクトだったでしょうねえ。

 

 5曲目はCliff Richardのカヴァー「Devil Woman」。ミドルテンポのロックになってます私の調べ通りならば、1976年のクリフさんの曲で、ちょっとディスコ調のキャッチーな曲。というか、Youtubeで観たらオリジナルのクリフ先生かっけえ。が……いったい、誰のセンスでカヴァー曲選んでんのかなあ。Riotがやる必然性がわかりにくい、けど、ライヴではやってるんですよねえ。謎。

 

 折り返しの「Wings of Fire」は、アコースティックギターと静かなレットの歌で始まる。冒頭部分の雰囲気は、後年の「Inishmore」あたりを彷彿とさせます……っていうか、マーク・リアリって人はこっちが思うよりもっと強固な芯のある人なんだろうね。時代を隔てても、大切にするものは全然変わらない。さてこの曲、「Altar of the King」なんかと同様、ドラマティックな本編がラウドに始まる……とギターのリフとそれに呼応するドラムの刻みが炸裂。コーラス部分はメロディアスに攻めます。『THUNDERSTEEL』までもう一歩というところまで、すでに来ているみたい。

 

 続く「Running from the Law」もマーク作。力感あるミドルテンポ・ソングとしては後に「Sign of the Crimson Storm」なども生まれていきますが、ここでのヘヴィでありながらかすかにバウンドするかのような感覚のものは珍しい。たた単調・地味なところもありますが、ギターソロはリアリ印。

 

 「Where Soldiers Rule」はRick Venturaが手掛けたものですが、彼にしては珍しくマイナー調のハードナンバーで、実にRiotっぽい。それにしても、このアルバムでのリズムセクション(特にサンディのドラム)は細かさと力強さを両立してて良いなあ。レットの歌も、他と少し毛色が違うかな。

 

 「Gunfighter」もマークによる曲。16分のリフ刻みとフィル多用のドラム、っていうところは他の本アルバムB面曲と同じ。やはりお得意のフレーズを繰り込みながら弾き倒すリアリ・ギターソロと、終盤のツインギターが美しい。

 

 締めくくりはリックお得意の明るいリフ満載の「Promised Land」。コード進行は「Loved by You」あたりとさほど変わらない感じもあるけどね。本作のマークがテクニカルに攻めたのに対し、リックは変わらずフィーリング一本鎗のギターソロ、っていうのも潔い(?)。ああ、聴いてて分かった、本作の楽曲に不思議と備わる浮遊感は、サンディのハイハットワークのせいじゃないかな。そう、このアルバムは(たぶん)低予算制作だけど、機械っぽいドラムに堕してないのはまったくもって素晴らしい。ライヴ音源と同じ音だから、サンディ・スレイヴィンのドラムが「こう」なのであって、それをそのまま出してきてるのが良いのだわ。