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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

Riot特集:時系列全作品紹介(2)『NARITA』

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Riot『NARITA』1979

  1. Waiting for the Taking
  2. 49er
  3. Kick Down the Wall
  4. Born To Be Wild
  5. Narita
  6. Here We Come Again
  7. Do It Up
  8. Hot for Love
  9. White Rock
  10. Road Racin’

<メンバー>

Mark Reale(Gt)

Guy Speranza(Vo)

Peter Bitelli(Dr)

Jimmy Iommi(Ba)

Rick Ventura(Gt)

 

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 以前ご紹介したデンマークのバンドNaritaのネタ元ともなった名盤。Rollyさん曰く「変なジャケットのチャンピオン」(『ROLLYのロック・ギター異人館』)ですが、中身は最高。なお、メンバーはマークの相棒ギタリストがRick Venturaに交替。リックはバンドが第一次の活動休止に至る1984年頃まで在籍します。また、最近のRiot Vの面々とも関係は良好みたいで、マーク没後の来日公演にはゲスト参加してたりします。(これは『ROCK CITY』でギターを弾いてたL.A.Kouvarisも同様。)

 

 さて内容。いきなりGuyの歌が飛び出す「Waiting for the Taking」で聴き手を揺さぶってくるなんてのは粋だね。Aメロのコード進行はMontrose「I Got the Fire」に似てなくもない……のですが、まあそれはそれとして、ギターソロのを中心に二人のギター・ワークが一層力強くなっています。ギターソロのバックのリフは、The Kinks「Attitude」の中間部分みたい……って、割とよく思いつかれる流れなんですかね。後奏でもツインギターが炸裂、最後まで聴き逃しちゃだめだよ。終盤フェイドアウトの直前で転調したりして油断できないしね。

 

 続くハード・ローリング・シャッフルの「49er」も名曲。ゴールドラッシュに夢を賭けた者たちをモチーフにしたと思しき歌詞を、Guy Speranzaが歌い上げます。両ギタリストがそれぞれソロを取った後、ツインでソロ・リフを決めるあたりも完璧。メインリフをギターとユニゾンで決めるベースや、ラウドなドラムもいいねえ。

 

 ミドル・ヘヴィでアグレッシヴに迫る「Kick Down the Wall」は、ギターもいいけどドラム+ベースのリズム隊が生み出すヘヴィネスがイイ。初期ライヴではよくやられていた曲。ベーシストJimmy Iommiについて本特集ではほとんど言及してきませんでしたが、なかなか躍動的なプレイをする人です。

 

 ちなみにRiotのオリジナル・ベーシスト(デビュー前まで在籍、ジミー・アイオミの前任者)はPhil Feitという人で、このバンドの曲では「Desperation」「Overdrive」「Angel」にクレジットがあります。こうしてみると、アグレッシヴな方面の曲に関与しているね。ジミーのさらに後任に当たるキップ・レミングやドン・ヴァン・スタヴァンもそうでしたが、このバンドはベーシストが作曲に関わると強烈な曲ができるのかな。これってちょっとした発見じゃない?……フィルさんはRiotのあとは、Billy IdolAdam Bombのところでプレイしていきます。

 

 さて『NARITA』に戻りまして。「Born to Be Wild」は言うまでもなくSteppenwolfの名曲のカヴァー。1.5倍速くらいの疾走ナンバーになっていますが、ちょっとせかせかした感じに聴こえるかな。ただ、原曲はオルガン入りだったのを、ギター二本バンドで強引にカヴァーするっていう心意気は買う。彼らは後に、Deep Purple「Burn」もギター二本でカヴァーすることになるのであった。(『NIGHTBREAKER』をお聴きください。)

 

 Guy Speranzaという当代屈指のヴォーカリストを擁していながら、「Narita」なんていうこんな最強インストもあるっていうのがまた、やってくれます。メインリフがRainbow「A Light in the Black」の間奏ソロと似てる、とかっていう人もいますが、まあ別ものでしょう。ツインギターの威力を最大限に発揮するリフ・メロ。「え?これ16分を打ってンの?」なPeterドラムのライド・シンバルワーク。ドラマティックな展開。一時期はこの曲をステージのオープニングにしていたこともありました。

 

 比較的前作路線っぽい、ハード・シャッフル「Here We Come Again」。いかにもアメリカンロックンロール。なんですが、粘っこいヴィブラートを核としたギターワークが独特の味わいも醸し出します。

 

 お次は、「Rock City」的なキメのリフをさらに研ぎ澄まして楽曲に投じた、やはりステージ・フェイヴァリットだった「Do It Up」。やはりこのアルバムにおけるリズム隊のはたらきはなかなかいいね。‟重い疾走感”を演出。

 

 フレットノイズも生々しい「Hot for Love」は、ヘヴィなリフとリズムで弾むやや異色のナンバー。ベースがゴリゴリ言ってんなあ。後半無理やり疾走するパートが出てくるのはいいんだけど、その裏で女性の喘ぎ声みたいなのがダビングされてるのは疑問符。新機軸かもわからんが、こういうのはRiotには合いません。まあ、この後こういうのは一度も出てこなくなるんで、本人たちも拙さに気付いたんでしょうね。

 

 「White Rock」もライヴでは取り上げられてました。Riotの個性が感じられるかっていうと、そうでもないんですが。元気なGuyの歌が聴き所かな。2分30秒で潔く終わり。

 

 で、このアルバムは最後の「Road Racin’」が素晴らしいのである。Rollyさんも大好きだったという(『ロック・ギター異人館』)エピソードも嬉しいが、確かにこのリフはシンプルなのに耳に残る。歌詞の内容は、(たぶん)前作の「Overdrive」同様の“自動車”ソングで、いわばDeep Purple「Highway Star」の系譜を継ぐもの。ギターソロのフレーズの見事さはちょっと筆舌に尽くしがたい。別に物凄い速弾きとかではないのに、確かに“クルマをぶっ飛ばしてるような”疾走感にあふれているのです。Peterさんの細かい刻みドラミングも好き。これまたライヴでは尺が拡張されるのがお約束でした。

<『NARITA』完、特集は続く>