DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

第31回「Bruce Springsteen」(2)

さて、Bruce Springsteenさんのライヴをどうやって聴くか。繰り返しますが当時は1990年代後半、まだ私も生徒・学生だった頃でして、何を聴いたらよいかというインフォメーションも少なかった。そんな折、ある駅の近くのカメラ店(個人経営の小さなお店……いまはもうなくなってしまいましたが)になぜかCDが数十枚置かれるのに気が付きまして、何の気なしに見てみたのです。当時を御記憶の方はおわかりでしょうが、当時はディスカウント・ショップや鉄道の駅のワゴン・セールで「輸入盤CD」っていうのをよく売っていたんですよね。知識を得たいまでこそ、それらの多くがどうやら正規盤ではないのだとわかりますが、その頃の中高生にはそんなことは知る由もなく。輸入盤ですがきちんとオビがついていて、「熱狂のライヴ」とか「最高のコンサート」とか書いてあるんですからね。Bruce SpringsteenBOOM BOOMには「第2の“ボブ・ディラン”ストリート・ロックのヒーロー!!」という(謎の)煽り文句がついてました。当時の私はボブ・ディランもあんまりピンと来なかったが……とにかく「The River」が入っていたので思い切って買ったんです。
 
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記載が正しければ――正規盤でないばあいクレジットも信用できなかったりするんですけどねえ――、1988年ニューヨークでのライヴ、だそうです。演奏や音質には問題なし。単なる偶然と思いますが“Novelaの「気まぐれ天使」イントロの鐘と同一フレーズ”のシンセサイザーで始まる「Tunnel Of Love」が、厚みのあるサウンドで繰り広げられた後に“表題曲”の「Boom Boom」になだれ込み。(この曲については後述。)ミドルテンポでややヘヴィな「Adam Raised a Cain」を経て、お目当ての「The River」に。最初のハーモニカが鳴り響いただけで、観客がウォー!って盛り上がるのが凄い。ブルース気合いの歌唱も感動的だけど、バックのピアノがいいなあ。その後も快活なロックンロール「Seeds」や、熱い疾走曲「Roulette」などが続きます。単純極まりない感想になりますが、全編に気合いが漲っているブルースのステージは素晴らしいなと思いました。
 
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Bruce Springsteenについては、Billy Joelほどは入れ込まなかったので、正直に言いますとオリジナルアルバムはTHE RIVER1980)とTHE GHOST OF TOM JOAD1995)くらいしか持っておりませんが、もう一つ個人的感想が。いつだったかさだかにおぼえていないのですが、たしか彼が日本のテレビ番組「ニュース・ステーション」に出たのです。久米宏氏が顔をつとめていた「ニュース・ステーション」は、時々外国のバンドに生演奏をさせたりしてくれたので、ありがたかった。記憶にある限りでは他に、Aerosmith(「Janie’s Got A Gun」だったかな?)やVan HalenGary Cherone時代の「Josephina」)なんかを観ました。で、Bruceはですね「Two Hearts」っていう曲をやったのですよ。ギタリストのStevenvan Zandtとマイクを分け合って“Two hearts are better than one…”と歌うブルースが無茶苦茶カッコよく見えましてねえ。この曲もライヴで聴きたい!ってな具合に。BOOM BOOMには入っていませんし、もう確実な正規盤を探すべきだろうということで、Bruce Springsteen & The E Street BandLIVE 1975-85を思い切って購入するに至りました。やはり、アーティストは「動いてるところ」をみちゃうとやられますね。さほど興味なかった人でも……そういうこともあるので、“フェスティヴァル形式”は大事なんでしょうね。お目当て「以外」のナイス・アーティストに巡り合えるという意味では。
 
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 私はブルース・スプリングスティーンの熱心なファンとはいえません(そんな資格はないでしょう)けども、さいぜんより触れておるGREATEST HITSのライナーノーツに載せられた彼の次の言葉は素晴らしいと思います。ロックというポピュラー(大衆)音楽の本質を踏まえながら、自分の仕事に信念と誇りを持っている人ならではのセリフだと感じますね。
「俺達の音楽を人生の一部としてくれたファンのみんなへ。君達なくしては俺達の音楽なんてこれっぽっちも意味をなさないんだよ。ありがとう。」
 
<作品紹介>
1Bruce SpringsteenGREATEST HITS1995
 1975年から1995年までのヒット曲+未発表・新曲。極初期の2枚のアルバムからは収録がない、ということは日本語ライナーノーツでも触れられていますが、私の如き初心者にはたいへんわかりやすくBruceの魅力を伝えてくれました。
 
これはまた別のテーマになりそうですが、初期ブルース作品に「Blinded By The Light」や「Spirit In TheNight」、「For You」といった名曲のあることを気付かせてくれたのはManfred Mann’s Earth Bandという英国のプログレッシヴ・ロック・バンドでありました。シンセサイザーと楽曲アレンジの達人マンフレッド・マンの仕事はホントに素晴らしい。
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GREATEST HITSにはこれまで触れた曲の他に、「Badlands」・「Hungry Heart」・「My Hometown」・「Better Days」・「Streets Of Philadelphia」・「Murder Incorporated」などが入っております。
<続く>