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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳283

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Canned Heat「Cherokee Dance」『HISTORIC FIGURES AND ANCIENT HEADS』(1971)

 キャンド・ヒートについては当ブログでいろいろ述べたこともあるのでございますが、最近聴いたコレがあまりに凄かったので。Alan Wilsonが亡くなった後のヒートについてチェックが甘かったことを反省しながら書いてます。

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 まず、聴いてください。ブギーをマスターしていなければ出せぬ味。Adolfo de la Parraのマジック・グルーヴ、一糸乱れぬJoel Scott Hillのリフ、逆に破綻を恐れぬHenry Vestineの狂乱のリード。そしてもっとも特筆すべきはBob ‘The Bear’ Hite Jr.のヴォーカルワーク。この人の歌ももともと好きでしたけど、この曲のはすばらしい。

Primary

 ワンコードのストンピング・ブギーということではJohn Lee Hooker直系なのでしょうけども、ここではその影響下からも遂に脱している(ように思える)のです。ブギーを脱構築してみせた“プログレッシヴ・ブルーズ”としては英国のThe Groundhogsがいますけど、Canned Heatもやっぱり凄かった。なお、『THE BOOGIEHOUSE TAPES』という発掘ライヴ盤でもこの曲(少し短い)が聴けます。

 

 絶対的に個性的なためか、カヴァーする人なんておらん……と思っていたら、あったあった。Can’t Stop To Boogie(Henry Kaiser/Barry Melton/秋山徹次らによるプロジェクト)が唯一作『CAN'T STOP TO BOOGIE』(2011)で割とマジメにカヴァーしてます。尺が倍近くになり、後半特に飛び道具的なギターが炸裂するので、ヤヴぁくなってますが、これこそヒート精神の正しい継承。

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 さて、元に戻って。『HISTORIC FIGURES AND ANCIENT HEADS』にはJoel Scott Hill作の快活なインスト「Hill’s Stomp」や、Little Richardを迎えたロックンロール「Rockin’ With The King」など、バラエティに富んだ佳作がいっぱい。アラン時代ヒートの神秘性(?)は薄れたけど、他の追随を許さない成熟したブルーズをこれでもかと並べる彼らはやっぱり偉かった。