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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳200

200

Harvey Mandel「Ode To The Owl」(『THE SNAKE』1972)

youtu.be

 The Rolling Stones『BLACK AND BLUE』への参加が有名なギタリストHarvey Mandel先生。私にとっては“Canned Heatのリード・ギタリスト”(Henry Vestineと交互で)というイメージなんですが、この人の70年代のソロ・アルバムはなかなかスゴイ。

 

 といっても私は自分で発見したのではなく、ブルーズ・ロックについてのディスクガイドで知ったのですが。ある本の中でマッド矢野氏がかなりマニアックかつ熱量のある解説を書かれていたんで、「じゃあ何とか聴いてみないと」という風に思った次第です。

 最初はたしか『RIGHTEOUS』(1969)・『GAMES GUITARS PLAY』(1969)の2in1CDを見つけて聴きました。Hunble Pieが好んで演った「I Don't Need No Doctor」をこの人もやってるなあ、などとは思いましたが、実は当初はこの人の凄さ・面白さはわかっていませんでしたね。

 

 そんなわけでだいぶたってから、『THE SNAKE』(1972)にたどり着いたのでした。the snakeっていうのはキャンド・ヒート時代の彼の“ニックネーム”なんですけど、何だろう、うねうねしたギターフレーズを使いこなすからなんですかね?因みに、Bob Hiteさんは巨漢で“the bear”、ベースのLarry Taylorさん(前回ふれたメル・テイラーさんの弟ぎみ)は“the mole(もぐら)”ってな具合で、ヒートの面々は可愛いやら怖いやら。

                     

 ブルーズ・スワンプロック・フォーク・ジャズのどれにも似ていない(ORどの要素も少しずつある)個性的なアルバム『THE SNAKE』の中に、今回の「Ode To The Owl」というインストゥルメンタルが入っています。カントリー・フォーク風味のあるギター独奏で、リズム感のキレが凄いグルーヴィな曲なんですが、これは“ode(オード、頌歌)”で、「フクロウのための頌歌」だというんですね。

 

 “the owl”というのは、キャンド・ヒート創立者でありギタリスト・ハーピスト・ヴォーカリストであったAlan Wilson(こちらはあのベンチャーズのDon Wilsonの弟さん)の“ニックネーム”。つまり、数年前に亡くなったかつてのバンドメイト、アラン・ウィルソンに捧げられた楽曲と思しいわけです。歌詞もありませんし、しみじみとした追悼の曲でもないのですが、米国音楽(ルーツ・ミュージックっていうんですか?)にきわめて造詣の深かったウィルソン氏に同格の名工マンデル氏が捧げた曲と考えると納得の、ディープな一曲。あっさり短いけどね。

 

 最近読んだジーン・シモンズ著(森田義信訳)『才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?』星海社新書)という本の中に、アラン・ウィルソンのことも取り上げられていたので、この曲のこともふと思い出しました。なお、ハーヴィー・マンデルさんはまだまだご健在で、Canned Heatでもプレイしておられるようです。