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CCS「Lola」(『THE BEST BAND IN THE LAND』1973)
例の、専門店で中身を知らずに買っちゃったシリーズですが、ジャケ買いどころかタイトル買いでしたよ。こんなエライタイトルをアルバムにつけるのはどこの誰なんだ?……
あとでブックレットも見ながら調べて、ちょっと納得しました。CCS(Collective Consciousness Society)の仕掛人はAlexis Korner御大だったんですね。じゃあしょうがないや。この人は確かに英国ロック/ブルーズ界の立役者ですからね。プロデュースはMickie Most。ブラス・セクションを派手にフィーチュアしているほか、ベースにHerbie Flowersら、ドラムにTony Carrなどを起用。バンドの中心はもちろんAlexisと、Peter Thorup(Vo)。
AlexisとPeterといえば、本作と同じ1973年リリースで『ACCIDENTALLY BORNE IN NEW ORLEANS』を出していますね。この作品は、プログレ・ファンがどうしてもスルー出来ないブルーズ・ロックでした。というのも、直前までKing Crimsonに居たIan Wallace(Dr)・Mel Collins(Sax)・Boz Burrell(Ba, Vo)があっという間に(?)移籍した先だったからね。(彼らがRobert Frippと一緒にプログレしてたという方が、後から考えると不思議だ。)
CCSに戻りますが、ロックの名曲カヴァーを中心とするビック・バンド、という認識でよいのかなと思います。オリジナル・ナンバーもあるようですが、本アルバムでも目立つのは「Sunshine Of Your Love」(Cream)・「Shakin’ All Over」(Johnny Kidd & The Pirates)や「Lola」(The Kinks)ですので。
さあ、じゃあその「Lola」を聴きましょう。いきなり華々しい管楽器が入って幕開けとなると、タイトなドラムが推進力となって前奏が続きます(1分30秒からはテンポが上がって、大仰な映画音楽みたいにもなる)。歌が入るのは2分10秒過ぎからで、しかもメロディ・ラインがオリジナルとは些か異なるので、詞をよく聞かないとソレとわからない。うむ、これくらい徹底的にアレンジし尽くしてしまうというのもアリか。Ray Davies(The Kinks)はコレを聴いたのかな、どう思ったのかな?
本作にはNicky Chinn & Mike Chapmanのペンによる「Primitive Love」なるナンバーが含まれていますが、これはのちに彼ら自身がプロデュースを務める『SUZI QUATRO』(1973)にてSuzi Quatroがカヴァーすることになります。(って、今調べて知りました。CCS版はゴージャスなブラス・ロックでしたが、スージー・クアトロ版はベーシックなバンド仕様。そっちはそっちでドンドコ・ドンツク鳴りまくるドラムが呪術的で良いけどね。)