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Charlie Hunter Trio「Lady!」(『MISTICO』2007)
ジャズ、になるんでしょうかね。7弦ギターを操るという個性的ギタリストCharlie Hunter率いるグループの作品。などといいつつ、例によって(このパターン多いですけど)某今は亡きHMVのJazzコーナーでジャケ買いしちゃった代物。7弦ギターがどうとかいうチャーリーについての知識すらなかったのですが、なぜか無根拠にも「ロック好きでも楽しめそう」とか思っちゃったんですわ。
で、本作に関してはその勘は大当たり。ジャンルとしては間違いなくジャズなんでしょうけど、ドラム・ギター・鍵盤のアタック感ある応酬はロック的なエキサイトメントももたらしていて、単純に聴いていて楽しい。
アタマの「Lady!」は、ちょっと妖しいフレーズの反復から始まる。だんだんギターに熱が入ってきてホットなプレイを繰り出したり、ピアノ(類)がテイクオーヴァーしたり、生ドラムならではのダイナミクスをこれでもかと見せつけるドラミングが聴けたり、します。
かと思えば、冒頭に性急なフレーズを提示して直ちにドラム・ソロになだれ込み、テンポチェンジとパーカッション(ドラム)ソロを交互に繰りだす不思議な「Spoken Word」なんて曲もあるし。Jimi Hendrix時代のハードロック的ギターを踏まえてると思しきヘヴィな「Balls」があるかと思えば、妙に明るくポップな(むろん一筋縄ではいかんのだが)「Special Shirt」なんてのもある。つまり、けっこうやりたい放題の一枚なのだ。ロックの側からジャズに接近してる者にとってはむしろとっつきやすいのですがね。
他の作品をチェックできていないので、チャーリー・ハンターって人の全体像はよくわからないのですが、本作から察する限りではなかなかおもしろい音を出している人という印象ですよ。