274
Tiger(Big Jim Sullivan)「Lay Me」(『TIGER』1976)
リッチー・ブラックモアやジミー・ペイジにもギターを教えたという逸話の伝わる英国の名セッション・ギタリストBig Jim Sullivan氏。彼がTigerというバンド名義でリリースした1976年作品の冒頭を飾るのが今回の「Lay Me」。
いきなり合唱調の歌で始まるので、「おや?」と思いますが、すぐにハードロック的なリフが登場してミドルなロック本編へ。クレジットによるとLes WalkerとNicky Mooreというダブル・ヴォーカリストをフィーチュアしてる模様。
Nickyさんは2022年に亡くなりましたがこのTigerのほかではHackensackやSamsonでの活動で知られ、LesさんはWarm Dustのメンバーでもあった人(余談ですが伊藤政則先生が「ウォーム・ダストのレス・ウォーカー」のことを高く買っていて、ラジオ番組で紹介してたのを記憶しております)。強力な布陣といってよいでしょう。
それからドラムなんですが、これもクレジットによるとIan Wallaceさんらしいんですね。King CrimsonからBob Dylanまで幅広くサポートした名ドラマーですが、こんなところで名前を見るとは。確かに、無駄のないナイスドラミングです。
この曲、途中まではやや牧歌的な感じさえするのですが、2分34秒からのギターソロが鬼、というか虎?バッキングのテンポも上がるんですが、それにのっけて“ブチ切れたリッチー”っていう感じの鬼速弾きが繰り出されるのですよ。さすが、師匠。そのあと、しれっと元のテンポに戻って終わるのかと思いきや、4分30秒過ぎからはルーズなブルーズに展開して幕。まあ、言葉じゃよくわからないと思うので、だまされたと思って曲をお聴きください。
Les Walkerのペンによる短いハードロック「I’m Not Crying」もあれば、7分を超えるシンフォニックな(と言っていいと思う)大作バラード「Tyger, Tyger」まで、作風の幅の広い。ベテランの作品はやっぱり奥が深いですね。