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どんぱす今日の御膳255

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Jack Bruce「You Burned The Tables On Me」(『HARMONY ROW』1973)

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 「それさあ、気が滅入るほど暗いよ!」

 レコード店員だったAndy Partridge(当時Pre-XTC)が、お客だったDave Gregory(同じく当時Pre-XTC)にこう声をかけたといういわくつき(笑)の作品が、Jack Bruceのソロアルバム『HARMONY ROW』。Dave Gregory氏いわく、「確かにジャック・ブルースのアルバムは暗かった(笑)。」【シンコーミュージックムックCROSSBEAT Presents from PUNK to POST-PUNK』(2018年11月)。荒野正寿氏によるデイヴ・グレゴリーのインタビュー(通訳は湯山惠子氏)】

 

 この話が大好きで仕方ない私。二人ともなんだかんだ言ってジャックのソロアルバムを買って聴いてるわけっしょ?(んで、「暗いわあ」と文句言ってる。)英国スウィンドンの決して広くない音楽シーン(音楽バカの青年たち)の様子が微笑まし過ぎる。しかも両者はその後斯界を背負って立つ名作曲家と名演奏者になるわけだからもうね。

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 さて、肝心のジャックの作品ですが、私にはお二人が言うほど「暗い」とは思われませんでした。(歌詞の深いところまでこっちは理解できていないせいもあるでしょうけど。)確かに冒頭の「Can You Follow」はジャックによるピアノの弾き語りで暗いっちゃあ暗いけど。同じくピアノメインの「There’s A Forest」なんかもね。

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 でも、バンド形式の奇妙なロックンロール曲は、けっこう元気だったりする。「Post War」や「A Letter Of Thanks」、そして今回の「You Burned The Table On Me」ね。Cream時代にはなかった疾走感があって、これはのちのWest, Bruce & Laingの先駆けといってもよかろうね。本作のバンドはJack Bruce(Vo, Ba, Key)+Chris Spedding(Gt)+John Marshall(Dr)、そう、プログレ大好物の吾輩にとっては黄金のラインナップなのだ!West, Bruce & Laingよりも好きかも。奇妙なリフをロールさせてダンサブルなノリを出すなんて芸当、この組み合わせじゃなきゃ無理よ。最高最高。