(20)G3『RUSSIA 2012』版
Joe Satrianiが主催するG3(ジョー+強力なギタープレイヤー2人がそれぞれのバンドで演奏し、最後にみんなでジャムるというプロジェクト)の2012年ロシア公演を収めたとされる作品(非公式か)。当時のG3=Joe+Steve Vai+Steve Morse。Steve Morse大好きの私は彼の「Cruise Control」とかを大いに楽しんだものですが、最後の総出演ジャム・パートの楽曲が「You Really Got Me」(と、Cream「White Room」・Neil Young「Rockin’ In The FreeWorld」)。バックバンドは誰かな。ドラムのパターンからして完全にヴァン・ヘイレン版がベースになっている。モーズ先生、ヴァイ先生、サトリアーニ先生のギターソロ回しでお腹一杯。
(21)The Larry Page Orchestra『KINKY MUSIC』(1965)版
The Larry Page Orchestra『KINKY MUSIC』(1965)
1.Tired Of Waiting For You
2.Come On Now
3.Something Better Beginning
4.You Really Got Me
5.Don’t Ever Change
6.Got My Feet On The Ground
7.All Day And All Of The Night
8.One Fine Day
9.Just Can’t Go To Sleep
10.Revenge
11.I Took My Baby Home
12.Ev’rybody’s Gonna Be Happy
これは珍品。キンクスのマネージャーであったLarry Pageが制作した、キンクス楽曲のインスト・ヴァージョンを集めた作品。ラリーが集めたセッションミュージシャンが演奏してます。室内楽や吹奏楽のパートもある。なお、セッションマン時代のJimmy PageやJon Paul Jonesが参加しているようです。
ある種のイージー・リスニングとして機能しなくもない……が、ロック的なエキサイトメントは希薄。3曲目の「Something Better Beginning」なんかは、元曲のメロディの美しさが際立つように感じられ、秀逸。概して、元がジェントルな曲はアレンジに成功しているみたいですね、「Don’t Ever Change」とかね。もともとラリー・ペイジ作でアルバム『KINKS』にも収められていたインストの「Revenge」もセルフ・カヴァー(?)。ただしこちらは、原曲の単調さが強調されてしまっている気がしますが。
そして問題は「You Really Got Me」。原曲通りの始まり方。リードヴォーカルのところを管楽器、コーラスのところを弦楽器で代用。ちゃんとギター・ソロも入ってまして、Daveのフレーズをなぞってます。2分20秒強であっさり終わり。
ロックファンからすると制作意図の見えないこの作品ですが、ペイジ氏自身はこう考えていたそうです。
「ぼくはレイを作曲家として売り出そうとしていた。それが『キンキー・ミュージック』の目的だったんだ。レイのメロディを売り出すためのね。ぼくは、<ユー・リアリー・ガット・ミー>以外にも美しいメロディが書けるってことをみんなに知らせるために、このアルバム作りに莫大な金を費やした。レイに支払われるべき金は、全部本人が受け取ってるさ」【ジョニー・ローガン著『ザ・キンクス ひねくれ者たちの肖像』、138-139頁】
レイ・デイヴィスは無断でこういう作品が出たことに不満を抱き、両者の関係は悪化したと言われていますが。
<続く>