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Agent Steel「Agents Of Steel」(『SKEPTICS APOCALYPSE』1985)
“スラッシュ・メタル”にいまさらかぶれ出した旨、第237回で申しました。今回のこの人たちも、その一環で接するに至ったものです。ただし、名前だけは20年前から意識していたのであった。私が史上最高に好きなHMバンドRiotが、2000年初頭のヨーロッパ・ツアーを一緒に回ったのが、AnvilとこのAgent Steelだったからであります。(別にそのライヴを観たというわけじゃありません。当時Riot関連の情報は少なかったんで、こんな“海外事情”みたいなニュースも気にしてた、というだけ。)
Anvilは1・2枚アルバムを持っていましたが、Agent Steelの方は全く知らず、「Riotと回るくらいだから、正統派メタルなんですかね」くらいの認識。その後特に注意することもないまま二十年もたってしまいました。
例のBurrn!叢書経由で80年代の古参スラッシュ・バンドに興味が湧いたので、85年のこのファーストアルバムに手を出してみました。で、こっちの想定以上に良かったと。イントロに続くこの「Agent Of Steel」は、“♪Masters of metal, agents of steel……”を繰り返すコーラス、NWOBHMのAvenger辺りをさらに極端にしたかのようなリフワークと歌唱は好感度高し。ギター2本を効果的に使っているところもあって、「ああ、だから後年Riotと一緒にやるのか」と妙に納得したり。時期的にもRiotの『FIRE DOWN UNDER』と『THUNDERSTEEL』のちょうど中間だしね。まあ、私の好みに合致したってことです。
で、ここからは別件になりますが、この曲を好きこのんでカヴァーする妙なバンドあったんですな。Shadows Of Steelなるイタリアのメタルバンドの二作目『TWILIGHT』(1998)にそれは入っております。このバンド、ヴォーカリスト“Wild Steel氏”がナゼかCrimson Gloryバリのハーフ仮面を纏っているのね。(このアルバムでもCrimson Gloryの「Painted Skies」をカヴァーしていたり、Wild Steelのソロアルバムでは全編クリムゾン・グローリー曲ばかりカヴァーしていたりする。Crimson GloryとMidnightが、イタリアの善良な(?)青年の心を鷲掴みにしちゃったんだと考えると微笑まし過ぎますね。)
で、そんな彼らが「Agents Of Steel」を割とオリジナルに忠実にカヴァーしているのだ。キーは変えているみたいですがね。原作と同じくイントロに当たるSE風の「The Calling」から含めて2曲分収録しているあたりに妙なマニアぶりを感じますね。(Crimson Gloryのカヴァーよりも、私の聴くところでは、うまくできているみたい。)