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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

温故知新旧稿再録(16)「お薦め押し付けノート」(3)

VOL.1 HR/HM編(続続)

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(09)HeartBarracuda」(『Little Queen1977)USA

  • HRの世界にも女性Voや女性バンドはいるのですが、メジャーに打って出て生き残れた人たちはあまり多くありませんでした。で、例外がこのHeart。Ann(Vo)&Nancy(Gt)のWilson姉妹+男性メンバーからなるのですが、Wilson姉妹のHR精神は半端ではありません(Led Zeppelinの影響大。カヴァーも度々やってます)。売れるのは80年代半ばからですが、初期のこの曲なども凄い。私はラジオで初めて聴いて吃驚致しました。
  • 〈もう1曲〉Heart「Stairway to Heaven[Live]」(オリジナルを紹介しろよと言われそうですが、このZepカヴァーが半端ないのです)

 

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(10)Riot「Warrior」(『Rock City』1977)USA

  • 私をHRワールドに引き摺りこんだ因縁の名曲。市立図書館で「Riot(暴動)なんて名前、結構ロックっぽくていいな」くらいのつもりでベストを借りて、掛けたら一曲目がこれですよ。「速さ」「重さ」+「メロディ」(これが肝だった)と三拍子揃ってるではないですか……以降“こういう音”を漁り出して今日に至るというわけで。そういう個人的な感傷を抜きにしても、HR史上に残る名曲であろうことは間違いございません。しかもこれ、Bon JoviMetallicaはおろか、Iron MaidenVan Halenよりも早く世に出ているのですよ(インディレーベルからですがね)。Riotの話だけで紙幅が尽きるのでやめますが、これほど素晴らしく、また過小評価されているバンドもなかなかない、とだけ申しておきます。
  • 〈もう1曲〉Riot「Thundersteel」(このバンドは、Voの交代するごとに微妙に音楽性を変えるのですが、この第三期“パワーメタル”Riotも捨て難いです)

 

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(11)Judas Priest「Breaking the Law」(British Steel』1980)UK

  • で、英国HRはどうなったのかというと……70年代末からNew Wave of British Heavy Metalと総称されるムーヴメントが起こりまして、ようやく持ち直すのでした(この辺りからHRでなくHM――ヘヴィメタル――と称する音楽が優勢になります)。従来のビッグネーム依存型業界主義への反発(多分にパンクの影響です)から、インディレーベルが乱立。メジャーも有望な若手に触手を伸ばすようになります。それこそ一発屋的なBandも少なくなかったのですが、地力のある連中はここから世界レベルに駆け上がりました。Judas Priestは70年代半ばから活動していた中堅バンドでしたが、このムーヴメントの主力として大活躍します。この曲(PVは笑えるので是非観ていただきたいですが)は、Gtソロもないシンプルなものですが、ソリッドさで押す新時代のHMの典型ともいえるもので、彼らの代表曲となりました。
  • 〈もう1曲〉Judas PriestPainkiller」(彼らの凄いところは、年を取っても音楽的にはむしろ若返りを見せるところです。この曲は「Breaking the Law」の10年後にリリースされたのですが、恐るべきことに、当時の若手が束になっても敵わんようなアグレッションを発しております)

 

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(12)Iron Maiden「Prowler」(『Iron Maiden』1980)UK

  • NWOBHMムーヴメントの中から出てきたBandの最高峰は文句なくIron Maidenでしょう。パンク全盛時代にHRをやりたくて苦労したSteve Harris(Ba)の作る楽曲は、70年代HRにはないスピード感と攻撃性に満ちておりました。初代VoのPaul Di’annoは、寧ろパンク大好き小僧だったらしいのですが、そのミスマッチ――吐き捨てる様なパンク型のVoが、分厚い音色で疾走するメタル曲に乗る――が唯一無二の個性となって当時の英国青少年に支持されたのでした。この「Prowler」という曲があるDJの目(耳?)にとまり、彼がさんざんヘヴィローテーションした結果Iron Maidenの認知度が上がってレコードデビューにつながった、という“美談”もあります。なお、彼らはメンバーを入れ替えつつ活動を継続、現在も第一線で活躍しております。
  • 〈もう1曲〉Iron Maiden「The Number of the Beast」(二代目VoのBruce Dickenson加入後すぐ発表された代表曲です。Bruceは初代Voとはタイプが違いますが、非常にうまいVoであることは間違いありません。尚、the number of the beastというのは「666」のことでして、全世界のメタラーがこの数字を掲げるのはまずこの曲の影響によるものと思われます。)

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<続く>