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David Peel & The Apple Band「I Like Marijuana (Bonus Track)」(『BRING BACK THE BEATLES』1977)
不思議な作品。
David Peel(1942-2017)って人は、かのJohn Lennonとも交流があったというニュー・ヨークのミュージシャン……らしいのですが、どういうふうにとらえたらよいのかな。プロト・パンクと紹介しているものもあれば、フォーク・ロックだのガレージだのに分類しているものもありましたが、ヒッピー風というかストリート感というか、そういうものが軸にあった人みたいです。
それだけだったら、私の守備範囲の外なんですが、このアルバムだけはなぜか興味がありました。ビートルズがネタになってるから……では実はなくて、All Musicという情報サイトに「Mark Realeというギタリストが参加している」とあったからです。Mark Reale?Riotの?たしかに彼もニューヨーカーだけど、接点があったのか?――ずっと謎でした。
で、ついに作品を中古店で見かけ入手できたのですが、どうもあやしい再発盤らしくあまり詳しいインフォメーションが載っておりません。それに、彼らしいエレクトリック・ギターが聴こえるのはボートラ扱いの「I Like Marijuana」なる奇矯な曲のみ(即ち1977年時点では入っていなかった?)。
奇矯なというのは曲のテーマだけでなくて、やたらチープな打ち込みに電気ギターリフを無理に振り掛け、その上でピール氏がラップ(違うか?)する音の組み立てもです。記載がないのでこれはすべて憶測ですが、この曲はSteve Loeb(とGreene Street Recording Studio)あたりが関与したシロモノなのでは?ローブといえば我々の間では初期Riotに関わった人物という認識ですが、ビジネスとしては完全にHip Hopまわりの人ですし、80年代にMark Realeにスタジオ仕事を手伝わせていた(この言い方は語弊があるかな?)ようなのでねえ。
いまYouTubeでこの曲のオリジナル(1968年?)を聴いてみましたが、当然こんなオトじゃなくて、フォーキーな人力ロックでしたよやっぱり。Mark Realeが参加した(させられた?)このテイクは、下手すりゃデヴィッド・ピールのあずかり知らぬものである可能性も出てきましたかな。勝手なミックスがあとから加えられて。
というわけで、マーク・リアリの残した音なら何でも聴きたいわたくしにとっても、「何だこりゃ」の不思議な作品なのでありました。
※☟こちらは「オリジナル」ですかね。マーク・リアリは関係ありません……