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このドラミングがすごい“mini”(7)

(7)Danny Kortchmar

【曲】Danny Kortchmar「Up Jumped The Devil」(『KOOTCH』1973)

 本業“非ドラマー”シリーズ、ダニー・コーチマーさんです。James TaylorCarol Kingとの仕事も名高い名ギタリスト・名プロデューサーですが、私が氏を知ったのはBilly Joel『RIVER OF DREAMS』。それも、アルバムを聴いてすぐ気が付いたんじゃなくて、ビリーのドキュメンタリー『シェイズ・オブ・グレイ』(テレビでやった)がきっかけでした。『RIVER OF DREAMS』プロデューサーとしてビリーについて語るスマートな人、そしてビリーからは「彼はバンド全体を包みこむような、John Lennonみたいなリズム・ギターを弾くやつなんだ」と評される人、として。ビリーの評を聴いてからアルバムのタイトルトラック「The River Of Dreams」を聴きなおすと、確かに絶妙なバッキングを奏でてまして、感服した次第。

 

 そのDanny Kortchmarさんのソロ・アルバムがあるっていうので、CDショップで探したのが今は昔。日本盤アルバム帯には「ファンキーからメロウまで今的キーワード嵌まりまくりの心地よさ!」とありましたが、なるほどねというサウンド。実はその頃は私はハードロック愛好者になりかかっておりまして、作品の味がよくわからなかったというのが正直なところ。いま聴くと無茶苦茶イイけど、当時の俺は馬鹿で、楽しみ方がわからなかったのだね。

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 それでも、その当時でさえおもしろい・楽しいと思えたのがこの「Up Jumped The Devil」でありました。ボンボンいうベース、ぴーひゃら鳴るフルート、クールなのにファンキーなヴォーカル、そして、カラフルなドラミング。管楽器と鍵盤に助っ人がいるほかは全部自分でやってるというのはたいした才人だと驚きましたが、特にこの多彩なパターンを繰り出すドラム――リムの使い方とタム・フィルのドンツク振りがいい!――には参りました。やはりリズムというものへのこだわりが半端でない。

 

 そういえば、Billy Joelのドキュメンタリーでも、「Blond Over Blue」のリズム・パターンなどをめぐってビリーとダニーが熱く論じ合う場面がありましたね。こういう点にポイントを置くプロデューサーならば、「ハード・ロッカー!」なLiberty DeVittoとは違うタイプの人をドラムに起用するのも頷ける……と妙に感心したものでした。(『RIVER OF DREAMS』ではLiberty DeVittoのほかにZachary AlfordとSteve Jordanが参加してますが、特にザックの貢献は大きい。)

 

 「Up Jumped The Devil」は、タイトルもなんか気になっちゃったんだよねそういえば。どこかで見たと思ったら、Robert Johnson「Preachin’ Blues」の副題でしたわ。当然無関係であり、曲調も全然違うんですが、「悪魔が飛び上がったよ」ってのはどういうイメージなんでしょね。

 “♪Didn’t know right from wrong……”

 

 さきほど、ハードロック馬鹿だったので初めはピンとこなかった、と申し上げておきながらナンですが、なんだかんだでクーチの関わった作品て手に取っちゃう率が高い。The CityCarole KingJames TaylorJo MamaThe SectionAttitudesThe Flying Machineとか。近年も旺盛に活動されてるようで、The Immidiate Familyというバンドの一員としても作品を発表されています(こちらは未チェック……ごめんなさい)。