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Mel Taylor And The Magics「Bongo Rock」(『IN ACTION』1966)
今年(2022年)は、The Venturesのオリジナル・メンバーDon Wilsonが亡くなりましたね。私はリアルタイムでベンチャーズの衝撃を受けた世代ではありませんが、日本の地方都市にまめに公演に来てくれた彼らを実際に観たこともありましたし、ローカル・コピーバンドでベンチャーズの楽曲を相当数演奏したこともありまして、馴染みはある方だと思っています。
地元の市民会館(?)にやってきたベンチャーズを観たのが、たぶん“(バンドの)ライヴ”鑑賞初体験であったと思います。1990年代後半。当時のメンバーは、Don Wilson+Bob Bogle+Gerry McGee+Mel Taylorでした。ドンさんやメルさんが、後に私がハマりまくるブルーズ・バンドCanned HeatのAlan Wilson・Larry Taylorのそれぞれお兄さんだとはもちろん知らぬころ。
ドン・ウィルソンさんはとにかくニコニコしていて、歌も歌ったり(「Runaway(悲しき街角)」だったかな)してましたね。例のいわゆる“テケテケ”もライヴだと大盤振る舞いだったように記憶します。
それと、やはり印象に残ったのはメル・テイラーさんですね。中学でバンドの真似事をはじめていた私(ドラム)からすると、あらゆるプレイがお手本でしたが、当時はやはり派手な演出に心惹かれました。定位置(ドラムスツール)から徐々に離れ、ベースと協業で打弦する「Caravan」の拡張版……ドラムって自由でもあるんだなあと思ったはず。
当時の彼らの最新作『WILD AGAIN』(1997)もCDを買って(厳密には親に頼んで買ってもらって)愛聴しました。たしかステージでもやっていた「Ajoen, Ajoen」(邦題:心のときめき)なんかが好きでしたね。
その後しばらくしてメルさんは亡くなりましたので、ほぼ最晩年のステージを観たことになりますか。で、つい最近までほとんど注意していなかったのですが、メル・テイラーにはソロ名義の音源もあったのですね。中古店でMel Taylor & The Magics『IN ACTION』なる作品を見かけ、気になってチェックしてみると、1966年の作品であると。「Drums A-Go-Go」「Watermelon Man」「A Taste Of Honey」などといった興味深い楽曲の中に、The Ventures『WILD AGAIN』にも入っていた――というか、後に再演することになる、というべきでしょうか――「Bongo Rock」も含まれておりました。
オリジナルは1959年にリリースされたPreston Eppsの曲。そして、The Surfaris「Wipe Out」の元ネタにもなったのだそうですね。(私はベンチャーズ経由で「ワイプ・アウト」を見聴きした人間ですが。)ボンゴの乱打がよい感じ。