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"There is no wrong or right, and nobody's talking to anyone......"<Love Sculpture>

このドラミングがすごい“mini”(3)

(3)Ted McKenna

【曲】The Sensational Alex Harvey Band「Midnight Moses」(『FRAMED』1972)

 残念ながら2019年に亡くなってしまったTed McKennaさん。私のようなブリティッシュHR好きはこの方のドラミングに何度も何度も楽しませていただきました。たぶん一番最初に知ったのは、Greg Lakeのバックバンドでのプレイ(『KING BISCUIT FLOWER HOUR』のライヴ盤ね)、それからMichael Schenker Group『ROCK WILL NEVER DIE』他、忘れちゃいけないRory Gallagher『STAGE STRUCK』……。

 

 出会った多くがライヴ作品であったせいもあるかもしれませんが、「ハードヒッター」のイメージが強かったのですが、遡ってTear GasとこのThe Sensational Alex Harvey Bandを聴いて認識を改めました。この方、決して力技ばかりでなく、軽快なスウィング・ジャズからアーシーなブルーズまでこなせる名匠だったのであると。キックとスネアが明瞭なので――私の好きなタイプ!――「ハードロックマン」に聴こえますが、実はかなりversatile。マイケル・シェンカーが何度も彼を起用したのもそうしたあたりがポイントだったのかも、ね。

 

 で、テッドのドラミングで「コレ、コレ!」って思った最初の曲が「Midnight Moses」だったの。The Sensational Alex Harvey BandSAHB)のファーストアルバム『FRAMED』に入ってますが、私ははじめ『ALL SENSATIONS』っていうベスト盤で聴きました。1曲目だったので何といっても印象に残ったのねえ。

 

 むろん、SAHBのギタリスト、名人ピエロZal Cleminsonのリフワークが素晴らしいせいもあるんですけど、ベースのChris Glen(彼もMSGに度々参画)とのリズム隊の“タメ”具合が絶妙でしてね。ちょっとでも走ったら台無し、これ以上タメ過ぎるともっさりしちゃうっていうギリギリの線を保って、座長Alex Harveyの怪演歌唱を完璧に盛り立てるのである。こういうドラムが叩けるようになりたい(いつもこればっかり言ってる気がするが……)。

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 「Midnight Moses」っていう曲自体は、SAHB結成前のアレックス・ハーヴェイのソロアルバム『ROMAN WALL BLUES』でも聴けるのですが、代名詞のリフがホーンであるためもあって、全体に軽妙な仕上がり。Peter Wolfeさんのドラミングもやはりテッドのような重グルーヴ演出は無いので、そうねえ、60年代末キンクスみたいな感じなんですよ。英国ロックファンは両方聴くべし……

 

 最近だとThe Dead Daisies(John CorabiやBrian TichyMarco Mendoza、Doug Aldrichのバンド)がヘヴィにカヴァーしてて「オッ!」と思わせてくれましたが、まずはSAHB版(これは歴史に残るテイクである!)をチェックしてみてほしいですかね。“♪Hey, hey, hey, hey……”