DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳089

089

Joe Louis Walker「Mile-Hi Club」(『GREAT GUITARS』1997)

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 Joe Louis Walkerさんの名は、私は冨山房『ブルーズの世界』第19回「Robert Johnson」(4))で知りました。Robert Crayと並ぶ新世代ブルーズマン、というような扱いだったかな。

 

 こちらは、ジョー・ルイス・ウォーカー版「ブルース・サミット」(B.B.キング)といった趣のアルバム。Bonnie RaittIke TurnerOtis RushBuddy GuyRobert Lockwood Jr.など錚々たるメンバーが個別に共演。

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 スライドも巧みなボニー・レイットとの「Low Down Dirty Blues」、大御所ロバート・ロックウッドを迎えた重厚な「High Blood Pressure」など聴き所いっぱいですが、ここでとり上げた「Mile-High Club」も豪華。

 

 Scotty Moore・Little Charlie Baty・Steve Cropper・Clarence Gatemouth Brownが次々にギターソロをとるのです。“チャック・ベリーお得意のイントロ・フレーズ”をスウィンギーに崩したような始まり方をする、軽快なシャッフルナンバー。スコッティさんは御存じElvis Presleyの右腕だったこともある名手。チャーリーさんはThe Nightcatsというバンドを率いて活躍してきた人(ジョーよりは若い)。スティーヴさんはBooker T & The MG’sなどでプレイしてきた職人で、クラレンスさんは1940年代からブルーズ界に足跡を残してきたリヴィング・レジェンド。ソロは四者四様ですが、一聴それとわかるスコッティ・ムーア御大のプレイに特に感銘を受けましたね。

ロックンロール青果店(21)

(21)Leaf Hound「Growers of Mushroom」『GROWERS OF MUSHROOM』(1971)

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 知る人ぞ知るスーパー・ヴォーカリストPeter Frenchが居たバンドLeaf Hound。英国ロック界の名人が数多く関わったバンドでしたが、70年代にはアルバム一枚残して解散。2000年代にピーターがまったく別の面子によるバンド再編を企て、若干の作品を送り出してきて現在に至ります。

 

 1971年のアルバム『GROWERS OF MUSHROOM』はハードロックの(裏?)名盤としてカルト的人気を誇ってきたんだそうです(なんでもLPにはいっときすごいプレミアがついたとか……)が、私は1994年リイシュー盤CDで手軽に聴かせていただいております。

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 たとえば冒頭の「Freelance Fiend」や3曲目の「Drowned My Life In Fear」を聴きますと、強靭なリフのヘヴィ・グルーヴsongにホットでタフなヴォーカルがかぶさる彼らのハードな面がいやというほど味わえます(全然いやじゃないけど)。ブルーズ・ベースのところがわかり易く、ピーターの声も「陰」というより「陽」なので、Black Sabbathとは異なる感触……ですが、ドゥーム・ストーナーのルーツに数えられるのもわかる気はします。

 

 で、タイトルトラックの「Growers OMushroom」です。そもそも比較的コンパクトなナンバーで締められたアルバムの中でも一番短い、2分18秒。どんどこドラム、妙にキャッチーなところ、開放弦を利用したギターフレーズ……どことなくThe Who「Happy Jack」っぽいイメージも(って、いま気づいたのであった)。

 続く「Stagnant Pool」がハードな疾走ナンバーなので対比で可愛らしい曲に思えちゃいますが、ジャケットなどから察するになんかヤバいキノコのことみたい……あくまでお野菜ソングのつもりで「マッシュルーム」入りを選んだつもりだったんだがなあ。

<続く>

どんぱす今日の御膳088

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Joe Bonamassa「High Water Everywhere」(『YOU & ME』2006)

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 この人のことも、もともとはよく知りませんでした。タワーレコード(渋谷だったかな?)のブルース・コーナーを見てるときに、「新譜」の棚に出てたので説明文を見たら、‟気鋭のスーパーギタリストがジェイソン・ボーナムと組んでどうの”、とあったので気になったの。試聴できたのでちょっと聴いたら、ハードロックファン(わたし)の趣味に合致したので買って帰った、という流れでした。

 Kevin Shirleyプロデュース、Jason Bonham(Dr)全面参加は伊達じゃなく、楽しめます。

 

 デルタ・ブルーズの父Charley Patton作の楽曲「High Water Everywhere」をフックあるリフを軸にしたヘヴィ・ロックにしたのが今回の曲。このアレンジには舌を巻いた。いいよ、有りですよ。艶やかなトーンのソロも流石。より最近のライヴではジョーがアコギを弾く形でやってるみたいですが、『YOU & ME』ヴァージョンも捨てがたいよ!

 

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 なお、Joe Bonamassaはその後もジェイソンと一緒にGlenn Hughesらと合流してBlack Country Communionをやったりと、ブルーズとロックの境界で大活躍。こないだは、Youtubeで「故Alvin Leeのギターを弾く」ってのも観たな。いい音出してた。映ってないけどそのバックにReese Wynans(Key)やAnton Fig(Dr)がいたってのも凄いけど。

どんぱす今日の御膳087

087

Joan Jett「Dirty Deeds」(『THE HIT LIST』1990)

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 元Runaways組の中では最も愚直にロックンロールしている(ように見える)Joan Jett。氏がこんなカヴァーアルバムを出してたの、最近まで知りませんでした(ただの不勉強)。割といろんな人がやる「Love Hurts」とか、Girslchoolもやってたのでマアありでしょという「Tush」、寛げる名曲「Have You Ever Seen the Rain ?」(Creedence Clearwater Revival)といったあたりは想定の範囲内

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 The Kinksの大作「Celluloid Heroes」をじっくり仕上げ、The Doorsから選りに選って「Love Me Two Times」を演り、Sex Pistols「Pretty Vacant」をロットン風にかますといったあたりが面白いところ。(個人的に。)

 

 日本盤は邦題を『雨をみたかい』としていることからわかるように、(少なくとも日本の売り手さんは)あまりハード/ヘヴィなイメージを出したくなかったようなんですが、やっぱりこの人の本質はガツンと来るロックだろ。本作を象徴するのはむしろ冒頭の「Dirty Deeds」(Dirty Deeds Done Dirt Cheap by AC/DC)ですよ。ボン・スコットやらブライアン・ジョンソンやらといった濁声連中に比べりゃクリアで細い声ですけど、熱はこもってますよ。奇をてらわない演奏もグッド。

ロックンロール青果店(20)

(20)Top Topham「Hot Ginger」

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 ヤードバーズの初代ギタリスト(エリック・クラプトンより前に在籍)であったAnthony “ Top” Tophamさんのソロアルバム『ASCENSION HEIGHTS』(1970)に入っている曲。私は『THE COMPLETE BLUE HORIZON SESSIONS』(2008)というコンピレーションで聴きました。

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 「Hot Ginger」は管楽器や鍵盤も分厚く入るゆったりシャッフルのインスト。メインのリフレインが耳に残る……って、ここ最近とり上げてる数作わりとみんなそうですな。途中まではギターはバックに徹してて、ソロもサックスが取る……奥ゆかしいお人也トップさん。2分30秒辺りからようやくギター・ソロタイムですが、これがなかなか美味しい。本場のブルーズをよく研究・吸収してる人の音ですよ。エリックのような超絶プレイや、ジェフ(・ベック)のような進取精神投映音ではないので、ハード・ロック/アート・ロックの70年には地味ですけど。

 

 バックのメンバーはと……うおおおお、ドラムがJohn Marshall(私はNucleusとかSoft Machineとかでの彼のプレイが好きじゃ)で、プロデューサーはMike Vernon(時代の産物を追う?〔続〕(30))ときたか。あ、Blue Horizonレーベルだからそりゃそうか。

 

 なお「Hot Ginger」はBill Doggettという人(ジャズ・R&Bピアニスト/オルガニスト)の曲。1957年のシングル曲だったようです。『ASCENSION HEIGHTS』はTopham自作曲が多いんですが、数少ないカヴァーの一つということになりますな。ネット上で聴けたオリジナル(ドゲット版)と聴き比べてみましたが、基本的に忠実にカヴァーしているみたいでした。

<続く>