<関連作品>
(1)Blue Öyster Cult『HEAVEN FORBID』(1998)
Danny Mirandaが参加しているから、と思ってみてみたら、なんだ、これもミルブルック・スタジオ謹製でしたわ。道理でよい音。わたしゃあこの1曲目「See You In Black」が大好きでしてね。この“まがまがしい疾走感”はなかなか若造バンドには出せますまいて。オリジナルメンバーのEric Bloom(Vo, Gt, Key)・Buck Dharma(Gt, Key, Vo)・Allen Lanier(Key, Gt)はもちろん、サポートしているDanny(Ba)やChuck Burgi(Dr)も好プレイ。クールなギターソロ明けの「(停止、無音)→“The wind~”」ってEricの歌うくだりはゾクゾクするね。
Danny参加曲では4曲目「X-Ray Eyes」も好き。こっちはBuck Dharmaが歌ってるんだが、声質の関係かちょっとRay Daviesっぽい感じなのがおもしろい。さわやかな楽曲に底意地の悪い歌詞、っていうのがBÖCの十八番。再びEric歌唱に戻ってのハード・ロック「Hammer Back」も熱いね。
ちなみにDannyではなくJon Rogersがベースを弾いてるなかでも2曲目「Harvest Moon」や10曲目「Still Burning’」は円熟の技が冴える名曲と言えますぞ。Blue Öyster Cultは息の長いバンドですが、出す作品出す作品質が高くて、HR好きな皆さまにおすすめ。
(2)Various Artists『GUITAR'S PRACTICING MUSICIANS』(1989)
いろいろなギタリスト(Jennifer Batten, Buck Dharma,Leslie West, Vinnie Moore, Steve Morse, Paul Gilbert, Randy Coven, BillySheehan, Elliott Randall, Blues Saraceno, Vivian Campbell, Jeff Watson他)をフィーチュアし「ギタープレイ」(一部ベース)に焦点を当てた企画コンピ。エンジニアリングなどでオロフィノさんも関与。
Leslie West(Mountain)が打ち込みっぽい「Born To BeWild」を弾いて歌ってたり、我らがSteve Morse先生が「Southern Steel」をアルバム『SOUTHERN STEEL』(1991)に先駆けてやってたり(ドラマーも別の、ヴァージョン違い)、Paul GilbertがJeff Beck「El Becko」をカヴァーしていたり、Billy Sheehanのベースソロ「NV4 3345」が唐突に入ってたり(Talasですか?)、Jack Bruceとの仕事で印象に残る俊英Blues Saracenoの「The Shakes」が聴けたり……まあマニアックな楽しみも出来るのです。
で、本作の最後に収められている「Rodo Lana / Play That Funky Music」が大変。主役はギタリストJeff WatsonとAllan Holdsworth。どうやらアランはこの辺のロック界隈の面子との協同作業はあんまりうまくいったと思っていないようですが、それはそれとして。ドラマーにJohn O’Reillyがいて、リズム・ギターにMark Reale(Riot)がクレジットされてるのよ。Markのごく数少ない課外活動ですね。(目立ってないけど。スタジオ・ミュージシャン的な仕事でしょうかな。)MarkとJohn O’Reillyとは、約十年を隔ててWestworldで共演……っていうか、ニューヨークのロック人脈としての必然ですかねえ。
ちなみに、本作は続編も作られてましてな、『GUITAR'S PRACTICING MUSICIANS VOL.2』(1991)というのです。こっちはMarc Bonilla(オイオイ、もうKeith Emersonと共演してたのかよ!)、Nuno Bettencourt、Brad Gillis、Steve Lukather(Will Leeのベース、Vinnie Colaiutaのドラムと組んでの超絶技巧)。“またしても”のBilly SheehanにBlues Saraceno、Randy Coven、Steve Morse。電化ヴァイオリンのMark Wood(彼も後にMark RealeのWestworldに参加する!)、Kissにも入ったBruce Kulick、Steve Stevens(サックスでMichael Monroeが参加……)、Jason Becker「Meet Me In The Morning」等々ときて、締めが名曲Eric Johnson「Cliffs Of Dover」(ライヴ)。90年代初頭までは「ギター時代」だったんだね。なお、こちらの制作にはオロフィノさんは関わっていないみたいです。
<完>