1曲目の「Ready」はビッグなビートの上でTonyが熱唱するヘヴィソング。爽な展開となるコーラス部分では“♪And I’ll stand before you now that I growed up to be President, no matter what it takes.You’ve lost the right to choose; there ain’t no way I can ever lose with these New Knighted Snakes.”云々と歌われますが、何を扱っているのかな。Tony Mooreの作る歌詞はけっこう露骨な社会風刺・皮肉が入っていることも多いので、それこそブッシュ批判とかかもしれない。John Miceliの重すぎず軽すぎずのドラミングが見事。この人はMeatloafとの仕事が有名だそうですが、その辺は未聴。
次の「Villanelle」は、歌詞カードに“apologies to Dylan Thomas”とある。ディラン・トーマス(1914-1953)が得意としたヴィラネル(詩形)あるいはその内容を踏まえているのでしょうか。英文学に詳しい人の解説を待つ。キーボードのうっすらと用いられたヘヴィ・バラード。終盤のMikeのギターソロが雄弁。
3曲目にして初の疾走曲「Everything」。といっても、パワーメタル的な速さには非ず、どちらかというとWestworldに近い雰囲気かなあ。歌のラインのメロディアスさでは本作中随一という感じで。
ファストナンバーというなら次の「Radio Superstar」でしたね。“♪Turn me on, radio superstar~”というサビもキャッチー。鉄壁のリズム隊がビシバシとフレーズを決めてくれる心地よさ。2分30秒からのギターソロもオツ。“♪We rule the waves, controlling all transmissions. Ya don’t hear your favorites, thank your politicians. Will you turn me on?”なんていう歌詞からもTonyの毒が感じられて◎。
冒頭から泣きのギターが奏でられるバラード「Breathe」。Riotで泣きパートは専らMark Realeの担当だった気がしますが、MikeはかなりMarkの境地に近づいているように思える。そしてTony Mooreの声、衰えてないですな。(この数年後にRiot『IMMORTAL SOUL』でも歌うのだった。)“♪Awake for the fear of the dreams that may come, pretending to sleepwhile your counting the beat of the drum, and we breathe and we move withoutcause or direction.”
バンド名の冠された「Faith And Fire」は“♪What’s the matter here? Have we lost our Faith And Fire?”と始まる。なんだろう、コード進行なんかからしてもひじょうにポジティヴな印象を受ける曲。“♪Get up ! There’s a full moon in the sky, and there’s reason that were all alive, for what it’s worth, and flying on this planet Earth.”云々といったコーラス部分が好き。間奏部分の器楽隊の一ひねり(リズム的なちょっとした遊び)もナイス。この曲もミドルテンポなもんで、単調になりかねないところですが、やっぱりリズム隊が温かみを出してくれております。こういうところで名手の力量が活きるね。
パワーメタルというか、Riot風スピードメタル曲「Fallen」がここへきて登場。リズム隊の強靭さはもう言わなくてもよいかな。Tonyお得意のミニ字余り歌唱もハマって、“♪Fallen fallen, far from the one who made everything. Nobody hears and nobody cares in the big blackhole where they bury your prayers.”そして頑張っているMike。もう十分に主役を張れる名人といってよいでしょう!数年後のRiot『IMMORTAL SOUL』が名作となったのは彼の頑張りによるところが大きいことがこのアルバム聴いててもわかりました。
再びのパワー・バラード「Ashes」。“♪If I asked you to wait for me, the wind is all you’d hear. I am nowhere and everywhere and I wait for ever.”この物悲しさと情感の深さ……。
ミドルテンポのヘヴィな「Avenue Z」、長いイントロから始まるタイトル曲「Accelerator」(“♪I’ve looking to find my way home, still looking, keep looking.”)、アコースティックギターとキーボードをフィーチュアしたマイナー調バラード「Angel」、隠しトラックで疾走ナンバーの「America」(『BRETHREN OFTHE LONG HOUSE』か『INISHMORE』でRiotがやったようなスピードナンバー)……と「A」で始まる曲が最後に連続。
と、通して聴くと、Riotらしいところもそうでないところもありましたね。当たり前か。とにかく音がいいので聴いていて疲れない(私だけ?)。良質のHRを聴きたいという人にはおすすめ出来る作品でありました。<続く>