(17)Mountain『SHEPHERDS BUSH EMPIRE, LONDON 1997』(2004)版
オフィシャル・ライヴ・ブートレグのシリーズの一枚、そのラス曲が「YouReally Got Me」でした。(なお私はこの曲をLeslie West/Mountain名義の『MAN & THE MOUNTAIN』という編集盤で聴きました。)
Leslie West/Mountain『MAN & THE MOUNTAIN』(2013)
Disc 1
1.Respect
2.I Can’t Make A Friend
3.Intro/Never In My Life
4.Don’t Look Around
5.Mississippi Queen
6.Baby I’m Down
7.Nantucket Sleighride
8.Blood Of the Sun
9.Get Out My Life Woman
10.Roll Over Beethoven
11.Whole Lotta Shakin’ Going On
12.Whiskey Train
13.Crossroads
14.You Really Got Me
7分20秒ほどの長尺。メンバーの調べがいまついてない(CDが手元にないため)んですが、Leslie West(Gt)・Corky Laing(Dr)の他にThe WhoのJohn Entwistleが参加してる、とネット上のインフォにある。確かに中間部分のベースの動きまくりラインはJohnっぽい……と思っていたら、間奏後半(5分30秒以降)にThe Who『TOMMY』収録の「Sparks」のフレーズをLeslie West(Gt)が繰り返し弾くので、Johnをゲストに迎えていることは確定してよさそう。6分過ぎから「You Really Got Me」に戻って大騒ぎして幕。
The KinksとThe Whoには因縁というか若干のわだかまりがありまして……というか専らRay DaviesがThe Whoの主要作曲者Pete Townshendに対しあまりよく思っていないというのは、有名な話。コンセプト・アルバムとかのアイディアを自分の方が先に発明していたのに、よりうまいこと(例えば『TOMMY』)やったTownshendの方が成功してもてはやされてるのが面白くない、とかそういうことのようです。私のようなThe KinksとThe Whoと両方とも無茶苦茶好きな節操無しからすれば「二倍美味しい」豊穣なる英国ロックの世界、ですが、音楽を作っている当人からすればいろいろ思うところがあるのですね。ただ、バンドの他のメンバーにはそういうこだわりはないみたい。Dave Daviesに至っては、『WHO ARE YOU:AN ALL-STAR TRIBUTE TO THE WHO』(2012)というトリビュートアルバムに参加し、元The DamnedのRat Scabiesなんかと一緒に楽しそうに「My Generation」をカヴァーしてたりね。
「〔ピート・〕クウェイフはレイと違ってザ・フーの存在をいやがらず、グランド・フィナーレではジョン・エントウィッスルのほうに向き直り、そのベース・ギターを見て、「そいつを本物のベースプレイヤーに貸してみろよ」などと偉そうに叫んでいた。クウェイフが言うには、「あれは彼を本気で怒らせちまった」【ジョニー・ローガン著『ザ・キンクス ひねくれ者たちの肖像』、495頁】
ジョンが「本気で怒った」かはさておき(英国人同士ユーモアと解したのではとも思う)、ずっと現役ロッカーとしてやってきていたJohnに、1970年4月のキンクス脱退後はミュージシャンから足を洗っていたPeteがそういう軽口を叩けるのがよいですね。ちなみに、ピートさんは2010年に亡くなっております。
<続く>