DON'T PASS MUSIC BY

"Secrets are fun to a certain degree, but......"<Jake Holmes>

第29回「ロックンロール動物園・十二支編」(1)

 A to Zが一回りしましたね。二周目に行く前にちょっとスペシャルでも挟むか……と思っていたこの頃、ニュースでは上野のパンダの話題で持ち切り。はあ、みなさんホントにパンダがお好きですなあ。で、ふと思いついた「パンダについての歌ってあったかな?」

 残念ながら、手持ちの楽曲の中にそういうのはほとんどなくて、特集にはできなかったんですが、じゃあ上野動物園からの連想でこういうのはどうかと、些か強引に……
 
「ロックンロール動物園:十二支編」
 
如何でしょう。うまくいったら今後も「ロックンロール水族館」「ロックンロール植物園」……なんぞというのもできるかな?ま、ものは試しでやってみましょう。ちなみにお断りが二つありまして。(1)今回は、楽曲名に動物を含むものを採ること(2)「ロックンロール」というのは“わが好みの音楽”を総称する便宜的なもので、ジャズでもメタルでもなんでも入ること。とします。
 
(子)The KinksRatsLOLA VS. POWERMAN and the MONEY-GO-ROUND Pt.1』(1970
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 The Kinksのリーダー・ライター・シンガーはRay Daviesですが、時どき弟のDave Daviesも曲を書いて歌ったりします。この曲もそういう一つで、彼のハードロック趣味が全開に。強力なる硬質のギターリフ、歪みの効いたオブリ、ランニング・ベースのもたらす疾走感……最高です。甲高いデイヴ・ヴォイスもフィットしておりますね。「ネズミどもは憤怒と悪意を撒き散らし、君や俺のようなひとの為になることは何もせぬ」という歌詞から察するに、これはどうぶつの歌というより、当代社会に対する痛烈な皮肉と見るべきでしょうか。

 ちなみにこれはシングルB面曲でもあったのですが、A面はレイ作「Apeman」。ものすごいのどかで楽しい曲調なのに、「こんな世の中安心できないよ、核戦争なんかで死にたくないよ、どっか遠くの島に漕ぎ出してって、エイプマン(猿人)みたいに生きたいな」っていう歌。まあ揃いもそろって毒々しい兄弟よな。大好き。

 「Apeman」はキンクスのステージでもしばしば取り上げていて、ライヴ盤THE ROAD1988)やTO THE BONE1994)でも聴ける――特に後者のアコーディオンをフィーチュアした牧歌的ヴァージョンは秀逸!――のですが、「Rats」の方はどうやらライヴ演奏はされたことがない模様。デイヴのソロ・ライヴも何作もチェックしましたが、収録されたものはありませんでした。残念。
 
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(丑)The WhoThe OxMY GENERATION1965
 お次もやはり英国ロックの大立者、The Whoでございます。「The Ox」はインストゥルメンタルで、彼らのファーストアルバムMY GENERATION1965)のラストに収められております。Pete TownshendJohn EntwistleKeith MoonNicky Hopkinsの共作。このクレジットからするに、Roger DaltreyVo)を除く楽器メンバーがサポートのニッキー・ホプキンス(名セッションマン!)とスタジオに入った時にセッション的に出来たのではなかったでしょうか。
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 初期The Whoの、他に類を見ない“攻撃性”が凝縮されているこのトラック、まず全編にわたりキースのノンストップ・ドラミング(タム乱打)が繰り広げられます。その上でニッキーの必殺高速ローリングピアノが炸裂、ジョンの歪みまくり極太ベースが展開の骨格をなし、ピートの十八番たるパワー・コード&フィードバックetc.の暴虐ギターが耳をつんざく……“ox”の突進さながらであります。

 名曲「The Kids Are Alright」のシングルB面曲でもあったわけですが、ちなみに申し上げますと、“The Ox”というのはベーシストJohn Entwistleのニックネームでもありました。(命名がこの曲の前か後かは調べきれてないのですけど。)ジョンのソロ・アルバムのうちMAD DOG1975)は“John Entwistle’s Ox”という名義で発表されていたりします。
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The Ox」は一時ライヴで演奏されたこともある、という記録がみられますが、私は聴いたことがありません。
 
(寅)Louis ArmstrongTiger Rag」(1930s
 お次はルイ・アームストロングによるジャズのスタンダードナンバー。曲自体はOriginal Dixieland Jazz Band1917年に吹き込んだのが最初だということです。動画サイトで聴ける彼らのヴァージョンも賑やかなこと甚だしきものがありますが、私の所蔵するアームストロング版――THE GOLDEN BIG BANDなる怪しげなコンピレーションに入っているもの。クレジットが無いので何年の録音かわからない……――は、スピード感が半端でない。
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GOLDENコンピ内でも明らかにこの曲は異色で、Glenn MillerMoonlight Serenade」やDuke EllingtonCaravan」、Woody HermanEarly Autumn」などといったミドルからスロウ気味のムーディな曲が並ぶ中で、一曲だけいきなりスラッシュ・メタルみたいなので仰天するのですよ。
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あとで別に探せば、高速ビッグバンド曲っていうのは伝統的にきちんとあって、近年ではBATTLE JAZZ ビッグバンド・アルティメット高速チューン』とかいうコンピも出てる――買っちゃった……――ほどではあったのですが。何しろ初心者だったもので、この「Tiger Rag」の「吹きまくり、弾きまくり、叩きまくり」には衝撃を受けました。歓声が入っているからライヴ・ヴァージョンだと思うんですが、まあ目の前でこんなのを繰り広げられたらいやでも盛り上がるでしょうねえ。
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<続く>