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David Sancious「Suite Cassandra」(『FOREST OF FEELINGS』1975)
この方のことは、最初Stingのバンドにいるのを見て知りました。
宮崎シーガイアというリゾート施設のこけら落としコンサート(1994年)にスティングが呼ばれ、その様子をテレビで放映したので私も観たわけですが、その時のバックがDominic Miller(Gt)+Vinnie Colaiuta(Dr)+David Sancious(Key)だったのです。(おそるべきことに、私もTVを録画したVHSをどっかにやってしまったのに、YouTubeには誰かが上げた映像がまるっと出ているのだな。)
その後注意してみると、DavidはJack Bruceとも一緒に仕事をしていたり、そもそもBruce SpringsteenのE Street Bandにいたり、YesのJon Andersonのソロアルバムでプレイしていたり、Peter Gabrielをサポートしていたり……つまり私の持ち物の中にも彼のプレイの入ったものが多くあったわけです。
ただ、氏のリーダーアルバムをチェックするに至ったのはごく最近のこと。David Sancious名義のアルバム『FOREST OF FEELINGS』(1975)は、ジャケットが美しかったのにひかれて何となく手に取り、「へえ、あのデヴィッドの作品か」、でもって買って聴いてみると、プログレとジャズ・ロックの両方にまたがるような、つまりはわが大好物の逸品でありました。プロデューサーはBilly Conhamだったってのも、買った後で気づいたようないい加減さだったんだけど、「当たる」ときゃあ当たりますね。
1曲目の「Suite Cassandra」からして、70年代プログレの展開とジャズ由来の技術の融合で言うこと無し。サンシャス先生はもちろんピアノもよいけど、シンセサイザーもクラヴィネットも達者で、音像の豊かさを自ら実現。(ピアノのハジケる曲としては「Crystal Image」とかもイイね。)
こんなすげえ人を「スティングのバックの人」としか認識していなかった1994年当時のお前、反省しろ。……まあ、無理だわな、普通の(ネットも無い)環境でフツウの中学生にはわかりませんわ。その分のお返しはいま致しますのでお許しを。