DON'T PASS MUSIC BY

"Secrets are fun to a certain degree, but......"<Jake Holmes>

第47回「Osibisa」(6)

 『LOOK AT YOURSELF』は次の曲から後もおもしろい。

そこはかとなくThe Whoっぽいギターコード掻き鳴らしから始まり、繊細なコーラスワークに移って(全編ほぼダブルヴォーカル)、Gt+Orgのリフが乗っかるという、これまた十八番のパターン「I Wanna Be Free」。

 

 David Byronの歌唱を堪能したければ次の「July Morning」ですよ。10分30秒を超える大作。とはいえ、プログレ的複雑さはあまりなく、バイロンさんの変幻自在の歌いっぷりを楽しめるのであります。爽やかに幕を開けながらも、やや物悲しいトーンに移っていき、コーラスで再び晴れ間を見せるという構成が見事。3分40秒辺りからはKenのオルガンソロ。コーラスに戻った後は4分50秒辺りから“♪La……la……”というDavidの絶唱でまずひと山きます。5分30秒あたりから仕切り直して進みますが、前半以上に神懸ったバイロン歌唱が凄い。

 

 6分30秒以後は、器楽パートが同一コード進行を繰り返しつつ小技を投入していくのですが、7分30秒辺りからピコピコいう不思議なサウンドが乗ってきますが、これはゲストのManfred Mannによるミニ・ムーグ(シンセサイザー)とのこと。マンフレッドの鍵盤捌きとこの不思議な音色(ホラー映画?SF?みたいなのよ)にはえもいわれぬ魅力がありまして、私はどうにも気になって仕方なかった。この人が率いるManfred Mann’s Earth Bandにまで後年手を出す羽目に陥ったのですが……アース・バンドの「Blinded By The Light」(オリジナルはBruce Springsteen)を聴いたとき、「追っかけて正解だった!」と思いましたね。マンフレッド・マンさんのセンスは抜群でしたよ。鍵盤奏者としてもっと注目に値する名人であります。

 

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 それにしてもねえ、オシビサもそうだったけど、まったく罪深いアルバムでしたよ。Uriah Heep以外の色んな方向にアンテナが伸びてるんだ。

 

 さあ、戻って。全編でスライド・ギターがギュルンギュルン言ってる「Tears In My Eyes」は軽快なロックンロール……と思いきや、中間部分にアコースティックパートを設け、“♪Nananana……”というヴォイスを乗せてくるあたりは一筋縄でいかない。3分17秒で「終わった?」と思わせる無音のあと、スライド・ギターのリードをガンガンにぶち込んで来るところもやってくれますわ。

 

 重苦しいオルガンのコードから始まる「Shadows Of Grief」は、ハードさでいうと本作中随一かもしれぬ。Aメロにあたる部分、なんだかリズムがちょっとヨレているような気がいしないでもない……じーっと聞いていると少し(車酔いじゃないが)酔うような。3分辺りからはお得意の三連を絡めたギターやオルガンの独奏がけっこうな圧で迫る。8分40秒ほどもあって、「飽きさせない!」とはちょっと言いにくいんですが、これだけ圧力を感じさせる曲はなかなかない。ここだけは、Black Sabbathあたりにも引けを取らない鬱トーン。

 

 で、そういうのの後に、しっとり歌を聴かせるようなソフトナンバー(?)「What Should Be Done」を配してきたりするから油断できない。この曲でもデイヴィッド・バイロンというヴォーカリストの、前時代までのポップ・ロックを吸収した巧みな歌唱を聴くことができます。

 

 本作最後が「Love Machine」、これまた必殺のローリング・シャッフルでございます。だいたいにおいてこの人たちは、8ビート的な疾走曲は少ないのよね。名曲「Easy Livin’」もシャッフルですしねえ。さてこの7曲目ではスライド・ギターも大フィーチュア、コードだけでなくオブリもスライドで入れてくる(この辺はミックとケンのどっちが主導したんだろうね?)のですが、2分03秒のところのフレーズがすんごい印象的で、私は忘れらんないの。後半にはガンガンのオルガン・ソロが入ります。エンディングは、なんのサウンドかどよーんと終わるのがドゥーミーでいいね。

 

 というわけでした。このあと先ほど挙げました固定メンバーを得て、ステージを積み重ねていくことによって、バンドは本作の曲を真のロック・クラシックとしていったわけですね。ハードロックなのかプログレなのかジャズ・ロックなのか名状しがたい――あえて言えば「不安定だった」――三枚目までの作風は、それはそれで捨てがたいところもありますけれども、バンドとして見た場合には「ロック」としてのコアが定まったこれ以降の時期がやはり黄金期なんでしょう。

 

 Uriah Heepはどうにも――ある意味、Led ZeppelinDeep PurpleBlack Sabbathより――気になるバンドでして、わたくし断続的に追跡をしているのであります。デビュー前のSpice時代のジャズ・ロック(「Magic Lantern」て曲が好き)、「Easy Livin’」や「Rainbow Demon」で聴ける黄金期バンドの一体感、John Lawtonがヴォーカルとなった時代のタフな作風(「Hanging Tree」「Free’n’Easy」とか)、最新にして最長在籍ヴォーカリストBernie Shawの明るいテイスト、どれも私には魅力的なんですわ。Leeさんが抜けた後の『WAKE THE SLEEPER』(2008)もリアルタイムで聴いて“とてもおじいちゃんバンドと思えない若々しさ”に脱帽したところでしたしね。今後も折を見つけて聴いて書いていきたいものであります。

<完>