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"Secrets are fun to a certain degree, but......"<Jake Holmes>

温故知新旧稿再録(13)「プログレッシヴ・ロック特集」(8)

 前回から続いて、「その他いろいろ」。

 これを書いてから数年後に、XTCCaptain Beefheartの「Ella Guru」をカヴァーしてたっていう音源を聴いて、驚きながらも納得したのを思い出します。Andy Partridgeはビーフハートとかフランク・ザッパとか好きだったようですし、Dave Gregoryもいまや英国プログレ界の名ギタリストですからね(Big Big Train等)。

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PROGRESSIVE ROCK Vol.4 various approach

7.Frownland*1970Captain BeefheartHis Magic BandTrout Mask Replica
 
8.Ella Guru*1970Captain BeefheartHis Magic BandTrout Mask Replica
 
9.Muffin Man*1975Zappa/Beefheart/MothersBongo Fury
 
10.I’m the Slime*1973Frank ZappaOver-Nite Sensation
 
11.Freedom Fighters*1974UtopiaTodd Rundgren’s Utopia

 「プログレ」「ロック」に対する様々なアプローチを見るのが狙いの本編集において、最も異彩を放っているのがTrout Mask Replicaから7.8.を採用したCaptain Beefheartであろう。場合によってはプログレの範疇でさえ語られることのない、ジャンルを超越した「音楽」である。どうやったらこういう音がイメージできるのか。
 
 とりわけ7.は、アルバム一曲目ということもあり、そのインパクトは強烈である。かくいう筆者も最初に聴いたときは針飛びでもしているのかと(CDだからそれはありえないのだが)疑った。なにしろ、各楽器のリズムがバラバラで、個別に耳をやると好き勝手やっているようにしか聴こえない。しかもヴォーカルは「歌」という感じではないのだ。ところが、通して聴いてみると、このわずか2分足らずの中でこれが綺麗に完結している(辻褄が合ってしまっている)のである。どうやら、デルタブルーズをベースに、フロージャズやロック、フォークなどをごった煮的に取り入れたものだということだが、この音の前にはそうした解説も意味を持たないだろう。

 8.は、これにくらべるとずいぶん聴きやすい(!?)。因みにこのアルバムのプロデュースは、ヴォーカルのCaptain Beefheartとハイスクールの友人だったというFrank Zappa。成る程。

 Frank Zappaの奇才ぶりというか、変態ぶりは、筆者ごときに語れる小さなものではない。とりあえずここでは、CaptainBeefheartとの共演ライヴを紹介しておこう。アルバムBongo Furyでは、二人の共演がポイントであるためか、楽曲はR&Bよりの比較的聴きやすいものが多い(いわゆるポップにくらべれば相当へんちくりんだが)。9.はアルバムの終曲で、Zappaがギタリストとしても非凡であったことがわかる好演。ドラムのTerry Bozzioも素晴らしいサポート振りである。
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 もう一つZappaのものを挙げておきたい。ギターやドラムは「鬼」といいたくなるくらいテクニカルなのだが、10.Zappaとしてはかなりポップな作品である。筆者はかつてこの曲のプロモーションヴィデオを見たことがあるのだが、サイケな色彩の中に当人が出てきて演奏&演技するようなものだったと記憶する(何しろ5年以上前なので、あまり正確にはわからない)。PVをつくるほど一般向けなのに、「俺はスライム」……当時はただヘンな人だと思っていたが、最近ようやくその面白さ、凄さがわかるようになってきた。この曲はライヴ盤Zappa in New Yorkでも聴くことができる。
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 最後は、ポップフィールドからの挑戦状ということで、Todd Rundgrenを取り上げた。Utopiaは、Rundgrenがソロ活動中に組んだ別働ユニットで、特に初期はテクニカルな演奏と一風変わった曲展開を――つまりプログレ風味を売りにしていた。Rundgrenはポップもハードロックもパンクもプロデュースしてしまうし、楽器もたいていこなしてしまう才人であるが、彼がバンドメンバーという立ち位置だとどうなるかを示したのがUtopiaなのだろう。
 
 Utopiaは後期になると、ソロとの区別がつきにくくなるが、初期(11.Utopiaのデビューアルバムからである)は、ロックっぽい音を出していた。新しいことをやろうとする精神こそが「プログレ」であるとするなら、Utopiaにも充分その資格はあろう。
<完>