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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第52回「Tycoon」(2)

 さて、Tycoonのセカンドアルバムはこれ。

 

Tycoon『TURN OUT THE LIGHTS』(1981)

  1. This Island Earth
  2. One More Try
  3. Turn Out The Lights
  4. Walkin’ The Line
  5. Let It Down
  6. Hang On In
  7. Can’t Take That Away
  8. Love You Till It Hurts
  9. C’mon Over
  10. Call The Police

<メンバー>

 Norman Mershon(Vo)

 John Gordon(Gt)

 Bobby Messano(Gt, Vo)

 Mark Kreider(Ba, Vo)

 Mark Rivera(Sax)

 Mike Braun(Dr)

 Keith Taylor(Key)

 Ed Walsh(Synth)

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 テンポチェンジ(レゲエ風?→8ビート)のある「This Island Earth」でスタート。軽やかなところとハードアタックなところの対比が面白い。ドラマーは前作から交替してMike Braunさんです。「One More Try」は前作の路線の、ハード・ポップというかAORの王道。ノーマンさんの歌を聴かせようという意を感ずる演出で、過剰なコーラスは控え目。クリーダーさんのベースが地味にいい仕事してる。

 

 わざとなのかたどたどしく弾かれるピアノで始まるタイトルトラック「Turn Out the Lights」は、ゆったりスウィングするシャッフル。こちらは得意の多重コーラスを配しております。

 

 ギターリフ主導のややハードな「Walkin’ the Line」も、Normanヴォイスを聴かせる系。“♪(I’m)Walkin’ the line……”etc.の歌詞が聴きやすいようになっています。雰囲気変わってピアノ・バラード風に始まるのが「Let It Down」。「Let It Be」っぽくなくもないですが、あちらほど劇的ではありませんかね。落ち着いた明るさは味。

 

 後半へ。「Hang On In」はやや緩めの8ビート、リズムの感じだけだとRiot「You Burn in Me」系……ってわかりにくいですか。間奏の“♪Hang on!(へんごん)”×n回→ギター独奏、終盤のストップ&ゴーなど、ロックっぽさ増量。そこから一転、明るく弾む「Can’t Take That Away」に切り換わるあたりは巧妙。この辺は一貫してノーマンVoをプッシュ。

 

 「Love You Till It Hurts」はゆったりと。ハイハットのダイナミズムなど人力ドラムの味わいはしっかりありますが、本作はドラムの音像が前作より軽めですかな。それもあってポップ寄りな印象になっているように思えます。続く「C’mon Over」は疾走的8ビートで、クリーダーさんのよく動くベースの上に巧みなギターが重ねられて躍動的。それに続くラストの「Call the Police」も、細かく刻むリフが推進する疾走曲。このコード進行の感じ、何かと近いんだけどなんだっけ……?思い出したら書きますけど……彼らにはちょっと珍しい、緊迫感を煽るメロディとコード。

 

 本アルバムではぜんたいに、Mark Riveraさんの出番は少なくなっていましたね。多重ヴォーカルも控え目でしたし、サックスもあまりフィーチュアされませんでした。

 

 ちなみに、私が持っている再発二枚組CD『TYCOON/TURN OUT THE LIGHTS』(1997)は、ディスク1は『TYCOON』そのものですが、ディスク2の曲順が上記とは異なっている上に、「Yes Men」と「Over My Head」という二曲が追加されている謎仕様(未発表曲でしょうか)。「Yes Men」は3分弱で終わるコンパクトなロックソング。「Over My Head」は開放的なメロディが心地好いナンバー。終盤疾走する元気なくだりもなかなかよろしい。

 

 さて、2枚目についても参加人士についておまけ情報。Mike Braunさんは、Graham Parker『ANOTHER GREY AREA』(1982)に参加する人。同アルバムにはビリー・ジョエル・バンドに在籍した名ギタリストDavid Brownさんも顔を出してます。

 

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 Bobby Messanoさんは、ハードロック周辺では、Joe Lynn Turner『RESCUE YOU』(1985)などでプレイ。Fiona『FIONA』(1985)でも弾いてるね。2000年以降はソロ・アルバムも出しているようです。

 

 シンセサイザー弾きのEd Walshさんは、セッション仕事がたくさんあるようです。有名どころだとBob James『HEADS』(1977)だとかJohn Lennon & Yoko Ono『DOUBLE FANTASY』(1980)だとかね。

<続く>