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"But holy men and kings would die in the year Twenty Twenty-five......"<Satan>

時代の産物を追う?〔続〕(5)

(4)Ronnie Montrose『10 × 10』(USA)*[フィーチュアされた(ゲスト)アーティスト]

  1. Heavy Traffic *[Dave Meniketti, Eric Martin]
  2. Love Is An Art *[Edgar Winter, Rick Derringer]
  3. Color Blind *[Sammy Hagar, Steve Lukather]
  4. Still Singin' With The Band *[Glenn Hughes, Jimmy "Z" Zavala*, Phil Collen]
  5. Strong Enough *[Tommy Shaw]
  6. Any Minute *[Mark Farner, Ricky Phillips]
  7. The Kingdom's Come Undone *[Joe Bonamassa, Ricky Phillips]
  8. One Good Reason *[Brad Whitford, Bruce Turgon]
  9. Head On Straight *[Davey Pattison, Marc Bonilla]
  10. I'm Not Lying *[Gregg Rolie, Lawrence Gowan, Tom Gimbel]

<メンバー>

  Ronnie Montrose(Gt)

  Ricky Phillips(Ba)

  Eric Singer(Dr)

 

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 わたくしがMontrose派であることはとっくにお示ししていたかと思いますが、ロニーさんのソロ最新作。ロニーは亡くなってしまったので最終作ですが、厳密に言うと本人が完成しきれなかったものを、友人たちが仕上げたものです。(ロニーの交遊関係や後続への影響は、『CONCERT FOR RONNIE MONTROSE』をご覧になるとよくわかります。第14回「Montrose」(2

 

 アルバムは、カヴァーに“featuring Ricky Phillips and Eric Singer”とあるように、生前ロニーと作業を進めていたリッキーとエリックが中心となっています。ロニーが亡くなったのは2012年ですから、完成までにだいぶ時間が掛かったことになりますが、待っただけのことはあった。

 

 エリック・マーティンはやっぱり歌うまいや。「Heavy Traffic」の溌剌とした感じが良いのはまず彼のお陰。粘っこいギターソロはデイヴ・メニケッティですか。いきなりアメリカン・ハードロックの王道を聴かされた感じ。あ、鍵盤弾いてるのはEd Roth(むかしインペリテリでも弾いてた人)だ。次の「Love Is an Art」は、サックスや鍵盤も入るブルージーなシャッフル。エドガー・ウィンター(ロニーのかつての仲間/上司)とリック・デリンジャーですからね、重みが違います。70年代選手の参加はやっぱりうれしいね。二人のソロ(サックス、ギター)もたっぷりフィーチュア。

 

 「Color Blind」の“Hey…….yeah……!”のシャウトはもちろんサミーのもの、この人も衰えを知らないなあ。Montroseのファーストの頃と変わらない……どころか、緩急のつけ方がより見事になっちゃってて今の方が“うまい”のかも。その存在感でギターは背景に、ってことになりそうだが、そこはもう一人のゲストたるスティーヴ・ルカサーも百戦錬磨、メロディアスなソロを中心にきっちり主張。コーラスにJeff Scott Sotoが参加してたりするね。Montroseのセカンド『PAPER MONEY』辺りを彷彿とさせる楽曲になりましたなあ、と余韻に浸ってると、今度はグレン・ヒューズが歌う「Still Singin’ with the Band」が「Rock Candy」バリのビッグ・ビートで迫ってきます。グレンも苦労人だけど、近年は活動が充実してるようで、喉も絶好調。フィル・コリン(Def Leppard)の全開ギターも爽快だし、ジミ・ザヴァラさんのハーモニカもナイス。

 

 なお、これまでのトラックも含め基本的に全曲、Ronnie Montroseのギタープレイは活かされて(音源に入って)いるそうです。

 

 「Strong Enough」は、StyxDamn Yankeesで知られるTommy Shawが歌にスライド・ギターにと大活躍する、ミドルテンポのロッキングソング。コーラスの厚みが心地好い。あと、ここで初めて言及しますが、エリック・シンガーの出しゃばらないけど気の利いたドラミングが、最高です。楽曲にライヴ感を与えてくれてますしね。続く「Any Minute」は歌とリード・ギターにマーク・ファーナー(元Grand Funk Railroad)、ハーモニカにジミー・ザルヴァをフィーチュアした弾む弾む楽曲。ソロのところで加速するのなんかも最高、マークの剛腕ギターが堪能出来ます。この曲でもエリックの太鼓が特にいい感じ。

 

 そのエリックの短いドラムソロからアグレッシヴに始まる疾走ナンバーが、「The Kingdom’s Come Undone」。従来のMontrose/Ronnie Montrose作品にはあんまりなかったタイプの曲じゃないかなあ。これを歌うのはベースのリッキー・フィリップス。中間で静かになるところをはさんで、ジョー・ボナマサのギターソロが繰り出されます。ジョーも近年、ブルーズとロックの双方に跨って大活躍ですね。本曲でもなかなか気合の入ったプレイを披露。

 

 明るくファンキーなテイストの「One Good Reason」も従来作にはあまりなかった感じかもしれない。ゲストは、ブルース・ターゴン(Vo)とブラッド・ウィットフォード(Gt)。Turgonさんはベーシスト/ギタリストでもあるようで、Lou GrammForeignerでの仕事もあるみたいですが、ここではなかなかに粋な歌いっぷり。ブラッドさんは御存じAerosmithのギタリスト、エアロスミスではリズム・ギタリストですがここでは味のあるソロを披露。あと、クレジットからは判然としませんが、このカッティングをまじえたナイス・リズムもブラッド先生のものかも、ね。

 

 「Matriarch」か「Four Horsemen」かっていう緊張感あるイントロ――エリックのうまいこと!――からパワフルに押していく「Head on Straight」のゲストは、デイヴィ・パティソン(Vo)+マーク・ボニーラ(Gt)。彼らもいなきゃロニーへの贈り物にならないよね。元GammaのヴォーカリストDaveyはいまもあのブルージーヴォイス健在だし、Marcの目も眩むようなテクニカル・ギター技には脱帽。二人とも、そもそもメインストリームに引っ張り出したのはロニーだったんですよね……。リッチー・ブラックモアとかもそうだけど、一流の人は有望な若手の発掘が実に見事です。

 

 さて本作を締めくくるのは、グレッグ・ローリー(Vo, Key)とトム・ギンベル(Sax)を迎えての叙情的な「I’m Not Lying」。サックス・ソロを聴かせるGimbelさんはAerosmithForeignerでの仕事もあるようです。Gregg Rolieさんは、元Santana、元Journey……なんて肩書もう要らないかな。落ち着いたテンポの壮大な曲をしっとり聴かせる歌声は流石。終盤でピアノソロを聴かせるのはローレンス・ゴーワンさん。Styxなどでもプレイしているようです。

 

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 大袈裟でなく、アメリカン・ロックのハート(心、中心)がまとめて味わえる作品となっていましたね。ゲスト諸氏の入魂のプレイも素晴らしいですが、ロニーの居なくなってしまったあと、これだけきちんとした作品にまとめ上げたリッキーとエリックの力量と(ロニーへの)敬愛の念には、心から敬服します。なお、アルバム・カヴァーはロニーの妻Leighsa Montroseさん(デザイナー/アーティスト)によるもので、ブックレットの中には彼女の提供によるという、若き日の“レスポールを弾いてる”Ronnie Montroseの写真が載ってます(↑)。カッコいい。やはり私はMontrose派でいきます。

<続く>