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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

時代の産物を追う?〔続〕(19)

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 日本が誇るドゥーム・メタル・バンドChurch of Miseryの主宰者三上達人さん(Ba)の新プロジェクト。ドイツのスラッシュ・バンドExhumerのヴォーカリストMem Von Steinさんと組んで送り出したのは、初期モーターヘッド流の爆走ハードロック。

 (9)Skull Pit『SKULL PIT』(Japan)

  1. Double Cross
  2. Roller
  3. Fire Breather
  4. Year Of The Dog
  5. Soul Raiders
  6. Blood Titan
  7. Marauders
  8. The Line
  9. Wolf Spirit
  10. All The Lessons (Bonus Track)

<メンバー>

 Mem Von Stein(Vo)

 Tatsu Mikami(Ba)

 +

 Keisuke Fukawa(Dr)

 Taichi Futo(Gt)

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 私はCDで持ってますが、LPだと5曲目までが「Side: Skull」・6曲目からが「Side: Pit」なんだそうです。爆走R&Rっていうのは、楽しいんですけどワンパターンにはまりやすいんじゃないかなと思っていたのですが、さすがに名人の制作、「Double Cross」「Roller」「Fire Breather」は3曲が3曲ともいわゆる疾走ナンバーですがそれぞれタイプが違う。「Double Cross」は思いの外歌がメロディアスだったりしますし、「Roller」は容赦ない駆け抜け感が魅力。「Fire Breather」は音の奥行きとキメのインパクトが大きい……ってな具合。

 

 「Year Of The Dog」は少し趣きが変わりまして、ビッグに転がるシャッフルといったところ。ガシャガシャ賑やかになってきたと思ったら、速度を上げた「Soul Raiders」がまさに初期モーターヘッドさながらに。愚直で突進力のあるツーバスがアニマル・テイラーみたいで好きです。

 

 Side: Pitの方では、「Blood Titan」がハード・シャッフルでございました。ライヴでやったら観衆の乗りっぷりも凄そう。「Ace Of Spades」じゃないけどバキバキのベースから始まる「Marauders」もアグレッシヴ。ノンストップ感がたまらんね。お次は8ビートのドラムパターンからスタートし、ベース、ギターと順次加わっていく「The Line」。ワウの効いたギターソロも印象的。そして本編最後はやはり初期モーターヘッド流の高速チューン。バスドラ踏み踏みが気持ち良い。ここまで言うひまがなかったけど、Mem Von Steinさんの意外にも(?)丁寧な熱い歌唱も本作の味です。

 

 ボーナスの「All The Lessons」は、Rose Tattooのカヴァー。ゲストにBrian “Mitts” Daniels氏。原曲はRose Tattoo『ASSAUT & BATTERY』(1981)に入ってる曲です。オリジナルの疾走感はそのままに、さらに重暑苦しく仕上げた感じで、原版のトレードマークのスライド・ギターもちゃんと入ってます。“♪All the lessons we gotta learn, all the bridges we gotta burn……”

 

 本作や影響源となった作品(モーターヘッドだのローズ・タトゥーだの)を聴いて感じるのは、この手のハードR&Rは思って以上にメロディが大事にされてるんだなということ。実は“吐き捨て”系ヴォーカルじゃダメなんですよね。Skull Pitの方々はそれを踏まえて丁寧に作られてる気がしました。

<続く>