日本が誇るドゥーム・メタル・バンドChurch of Miseryの主宰者三上達人さん(Ba)の新プロジェクト。ドイツのスラッシュ・バンドExhumerのヴォーカリストMem Von Steinさんと組んで送り出したのは、初期モーターヘッド流の爆走ハードロック。
(9)Skull Pit『SKULL PIT』(Japan)
- Double Cross
- Roller
- Fire Breather
- Year Of The Dog
- Soul Raiders
- Blood Titan
- Marauders
- The Line
- Wolf Spirit
- All The Lessons (Bonus Track)
<メンバー>
Mem Von Stein(Vo)
Tatsu Mikami(Ba)
+
Keisuke Fukawa(Dr)
Taichi Futo(Gt)
私はCDで持ってますが、LPだと5曲目までが「Side: Skull」・6曲目からが「Side: Pit」なんだそうです。爆走R&Rっていうのは、楽しいんですけどワンパターンにはまりやすいんじゃないかなと思っていたのですが、さすがに名人の制作、「Double Cross」「Roller」「Fire Breather」は3曲が3曲ともいわゆる疾走ナンバーですがそれぞれタイプが違う。「Double Cross」は思いの外歌がメロディアスだったりしますし、「Roller」は容赦ない駆け抜け感が魅力。「Fire Breather」は音の奥行きとキメのインパクトが大きい……ってな具合。
「Year Of The Dog」は少し趣きが変わりまして、ビッグに転がるシャッフルといったところ。ガシャガシャ賑やかになってきたと思ったら、速度を上げた「Soul Raiders」がまさに初期モーターヘッドさながらに。愚直で突進力のあるツーバスがアニマル・テイラーみたいで好きです。
Side: Pitの方では、「Blood Titan」がハード・シャッフルでございました。ライヴでやったら観衆の乗りっぷりも凄そう。「Ace Of Spades」じゃないけどバキバキのベースから始まる「Marauders」もアグレッシヴ。ノンストップ感がたまらんね。お次は8ビートのドラムパターンからスタートし、ベース、ギターと順次加わっていく「The Line」。ワウの効いたギターソロも印象的。そして本編最後はやはり初期モーターヘッド流の高速チューン。バスドラ踏み踏みが気持ち良い。ここまで言うひまがなかったけど、Mem Von Steinさんの意外にも(?)丁寧な熱い歌唱も本作の味です。
ボーナスの「All The Lessons」は、Rose Tattooのカヴァー。ゲストにBrian “Mitts” Daniels氏。原曲はRose Tattoo『ASSAUT & BATTERY』(1981)に入ってる曲です。オリジナルの疾走感はそのままに、さらに重暑苦しく仕上げた感じで、原版のトレードマークのスライド・ギターもちゃんと入ってます。“♪All the lessons we gotta learn, all the bridges we gotta burn……”
本作や影響源となった作品(モーターヘッドだのローズ・タトゥーだの)を聴いて感じるのは、この手のハードR&Rは思って以上にメロディが大事にされてるんだなということ。実は“吐き捨て”系ヴォーカルじゃダメなんですよね。Skull Pitの方々はそれを踏まえて丁寧に作られてる気がしました。
<続く>