まあ、「Man On The Silver Mountain」は、ゲイリー・ドリスコール氏のキャリアの中では異色の曲だったことは確か。Elf時代はブルーズ・ベースの軽快なロックンロールが持ち味だったわけですからね。レインボーのファーストでも「If You Don’t Like Rock’n’Roll」やら「Black Sheep Of The Family」のようなキャッチーなナンバーの路線。
でも、名曲「Catch The Rainbow」みたいな抒情的な楽曲でも、歌と鍵盤を遮らない絶妙なバックアップしてたりするのよ。Garyの「スネアと同時に鳴るハイハット」の美味しさを味わいなよ!
それからベースのRandy Coven(いま調べて、2014年に亡くなっていたと知りました……)さんは、この主バンドのほかARKやJohn Macaluso & Union Radioなどのテクニカル系作品でも名を残していますが、CPR(Coven-Pitrelli-Reilly)というMark Reale関係者参画の作品にも一枚噛んでいました。Riotの友達の友達、と認定しよう。
さらに、この『CRIMINAL AFTERLIFE』のジャケットをご覧。このイケてないファンタジック・メタルアート(褒めている)は、Eric Phillippe氏の手になるものですが、エリック氏は同年Riotの『SONS OF SOCIETY』のジャケットも手掛けていたのである!(Riot特集:時系列全作品紹介(11)『SONS OF SOCIETY』)Riotの弟バンドといったら近すぎるか……従弟の息子バンドくらい?
本業“非ドラマー”シリーズ、ダニー・コーチマーさんです。James TaylorやCarol Kingとの仕事も名高い名ギタリスト・名プロデューサーですが、私が氏を知ったのはBilly Joel『RIVER OF DREAMS』。それも、アルバムを聴いてすぐ気が付いたんじゃなくて、ビリーのドキュメンタリー『シェイズ・オブ・グレイ』(テレビでやった)がきっかけでした。『RIVER OF DREAMS』のプロデューサーとしてビリーについて語るスマートな人、そしてビリーからは「彼はバンド全体を包みこむような、John Lennonみたいなリズム・ギターを弾くやつなんだ」と評される人、として。ビリーの評を聴いてからアルバムのタイトルトラック「The River Of Dreams」を聴きなおすと、確かに絶妙なバッキングを奏でてまして、感服した次第。
それでも、その当時でさえおもしろい・楽しいと思えたのがこの「Up Jumped The Devil」でありました。ボンボンいうベース、ぴーひゃら鳴るフルート、クールなのにファンキーなヴォーカル、そして、カラフルなドラミング。管楽器と鍵盤に助っ人がいるほかは全部自分でやってるというのはたいした才人だと驚きましたが、特にこの多彩なパターンを繰り出すドラム――リムの使い方とタム・フィルのドンツク振りがいい!――には参りました。やはりリズムというものへのこだわりが半端でない。
そういえば、Billy Joelのドキュメンタリーでも、「Blond Over Blue」のリズム・パターンなどをめぐってビリーとダニーが熱く論じ合う場面がありましたね。こういう点にポイントを置くプロデューサーならば、「ハード・ロッカー!」なLiberty DeVittoとは違うタイプの人をドラムに起用するのも頷ける……と妙に感心したものでした。(『RIVER OF DREAMS』ではLiberty DeVittoのほかにZachary AlfordとSteve Jordanが参加してますが、特にザックの貢献は大きい。)
「Up Jumped The Devil」は、タイトルもなんか気になっちゃったんだよねそういえば。どこかで見たと思ったら、Robert Johnson「Preachin’ Blues」の副題でしたわ。当然無関係であり、曲調も全然違うんですが、「悪魔が飛び上がったよ」ってのはどういうイメージなんでしょね。