DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳115

115

Rory Storm & The HurricanesHoney Don’t」(『LIVE AT THE JIVE HIVE』2012)

 Ringo Starrが好きかい?俺は好きだね。ジャケットに「お、リンゴが映ってる、しかも何故かギター持ってるぞ!」という反応をした挙句銭をつぎ込んで買ってしまうくらいにはね。

f:id:yes_outsiders:20210103215233p:plain

 ロリー・ストーム&ザ・ハリケーンという名前は、ビートルズ好きなら反応せざるを得ない、リンゴの古巣。ジョンとポールのThe Quarrymenとは別のところにいた名バンドの名鼓手だったんだリンゴは。

 

 で、このジャケットを見たら「リンゴの演奏も聴けるの!」ってなるじゃないですか。家に帰ってパッケージをあけて、中のライナーノーツを読んだら、この発掘音源(1960年のライヴ+デモ録音)にはリンゴ参加音源はないと。あららら……。だってさあ、後にビートルズでリンゴが歌う「Honey Don’t」とかもあるのにねえ。

 

 悔しいからその「Honey Don’t」を聴いてやるわあ。みんな大好きCarl Perkinsの名曲。録音状態は上質とは言えないのでバックの演奏は少し聴きづらいけど、ロリー・ストームのヴォーカルはしっかり聴ける。なかなか力強くていい感じ。調子っぱずれなギターソロはご愛敬。

youtu.be

このドラミングがすごい“mini”(8)

(8)Gary Driscoll

【曲】Ritchie Blackmore’s Rainbow「Man On The Silver Mountain」(『RITHCIE BLACKMORE’S RAINBOW』1975)

youtu.be

 この人のこの曲におけるプレイは、私とRainbowの最初の出会いでしたのでひたすら思い入れがあるのですが……いかんせん後任がド派手な実力者(Cozy Powell)であったためにGaryさんの影が薄くなっているのが悲しい。

         f:id:yes_outsiders:20210103211841p:plain


 Elfからの同僚Craig Gruberのヘヴィ・ベースとの絡みが最高な、腰の据わったドラミングは名人芸。軽薄にならないハイハット、重厚なバスドラムワーク、簡潔にして効果的なフィル……全世界のハードロック・ファンを敵に回しても、「この曲」は“オリジナルが最高だ!”と宣言しておきましょう。

 

 コージー・パウエルがプレイしたライヴ版は、確かに「カッコいい!」が、テンポが上がっていることもあって、もはや別の曲。個人的にくやしい(?)のは、当のディオ様まで「コージー版」に準拠していったということ……数あるDioのライヴ・テイク、どれも(たとえばVinny Appiceが)コージーっぽいテンポとブレイクでプレイしているんだよ。じゃあ、ゲイリーの偉業を誰が伝えるんだい?⇒当記事の存在を自己正当化。

 

 まあ、「Man On The Silver Mountain」は、ゲイリー・ドリスコール氏のキャリアの中では異色の曲だったことは確か。Elf時代はブルーズ・ベースの軽快なロックンロールが持ち味だったわけですからね。レインボーのファーストでも「If You Don’t Like Rock’n’Roll」やら「Black Sheep Of The Family」のようなキャッチーなナンバーの路線。

 

 でも、名曲「Catch The Rainbow」みたいな抒情的な楽曲でも、歌と鍵盤を遮らない絶妙なバックアップしてたりするのよ。Garyの「スネアと同時に鳴るハイハット」の美味しさを味わいなよ!

 

 コージー・パウエル(私も好きなドラマーですけど)だけがRainbowじゃないのよ。と、地獄の大魔王陛下に怒られそうなことを記して筆をおきましょう。

どんぱす今日の御膳114

114

Roland Grapow「Separate Ways(Worlds Apart)」(『KALEIDOSCOPE』1999)

youtu.be

 元Helloween(当時は在籍)のギタリストRoland Grapowのセカンド・ソロ・アルバム。Michael Vescera(Vo)・Barry Sparks(Ba)・Mike Terrana(Dr)・Ferdy Doernberg(Key)という、なにげに腕利きが参加。マイクとフェルディはAxel Rudi Pellのバンドでも活躍してるね。

f:id:yes_outsiders:20210103215021p:plain

 それに、ローランドはアクセルとも仲良しみたいで、お互いの作品にゲスト参加したりしてます。アクセルの『MAGIC』(1997)に入ってるインスト「Total Eclipse(Opus #2 Allegro E Andante)」は個人的に好き。二人とも“ネオクラシカル速弾き”の腕前は微妙(ゴメン!)なんですが、一生懸命全力プレイなのが微笑ましいの。

 

 本編は歌モノ・メロディックメタルの佳作といっていいと思いますが、てっきりヨーロピアン趣味だと思っていたグラポウ氏が(日本盤ボーナストラックとはいえ)アメリカン・アリーナロックJourneyの曲をやるとは少し意外。原作に忠実なカヴァーといってよいでしょう。捻ったおもしろみはあまりないか……ヴェセーラさんが楽しそうっていうくらいかな。

どんぱす今日の御膳113

113

Holy Mother「Holy Diver」(『CRIMINAL AFTERLIFE』1999)

youtu.be

 楽曲はみなさまお馴染みDioの名曲。アメリカはニューヨークのパワーメタル・バンド……ってことは彼らと関係があるのだな?と思った貴方は鋭い。

 

 はい正解、Riotと縁のあるメンバーが在籍していたのです。まずヴォーカルのMike Tirelli、氏は録音こそRiotでは残していませんが、Mike Dimeoの代役でヨーロッパや日本におけるステージに立ちました。2005年9月の来日時すなわちわたくしが唯一肉眼で目睹したライオットのステージで歌っていたのはティレリさんでした。当日は風邪をひいていたらしいですが、見事なヴォーカルを披露してくれましたぞ。

 

 それからベースのRandy Coven(いま調べて、2014年に亡くなっていたと知りました……)さんは、この主バンドのほかARKJohn Macaluso & Union Radioなどのテクニカル系作品でも名を残していますが、CPRCoven-Pitrelli-Reilly)というMark Reale関係者参画の作品にも一枚噛んでいました。Riotの友達の友達、と認定しよう。

f:id:yes_outsiders:20210103214740p:plain

 さらに、この『CRIMINAL AFTERLIFE』のジャケットをご覧。このイケてないファンタジック・メタルアート(褒めている)は、Eric Phillippe氏の手になるものですが、エリック氏は同年Riot『SONS OF SOCIETY』のジャケットも手掛けていたのである!(Riot特集:時系列全作品紹介(11)『SONS OF SOCIETY』Riotの弟バンドといったら近すぎるか……従弟の息子バンドくらい?

 

 「Holy Diver」のカヴァーで秀逸なものとしては、以前ご紹介したPat Boone御大によるものがありますが(第48回「Pat Boone」(2))、こちらはどうでしょう。……基本的にオリジナルに忠実ですかな、マイク・ティレリがロニーっぽく歌える人なので。ベースが動き過ぎ(笑)で、故Jimmy Bain(Ba)ふうではないですが。このカヴァー曲をアルバムの尻尾などでなく、3曲目に普通に入れてるのも面白い。

このドラミングがすごい“mini”(7)

(7)Danny Kortchmar

【曲】Danny Kortchmar「Up Jumped The Devil」(『KOOTCH』1973)

youtu.be

 本業“非ドラマー”シリーズ、ダニー・コーチマーさんです。James TaylorCarol Kingとの仕事も名高い名ギタリスト・名プロデューサーですが、私が氏を知ったのはBilly Joel『RIVER OF DREAMS』。それも、アルバムを聴いてすぐ気が付いたんじゃなくて、ビリーのドキュメンタリー『シェイズ・オブ・グレイ』(テレビでやった)がきっかけでした。『RIVER OF DREAMS』プロデューサーとしてビリーについて語るスマートな人、そしてビリーからは「彼はバンド全体を包みこむような、John Lennonみたいなリズム・ギターを弾くやつなんだ」と評される人、として。ビリーの評を聴いてからアルバムのタイトルトラック「The River Of Dreams」を聴きなおすと、確かに絶妙なバッキングを奏でてまして、感服した次第。

 

 そのDanny Kortchmarさんのソロ・アルバムがあるっていうので、CDショップで探したのが今は昔。日本盤アルバム帯には「ファンキーからメロウまで今的キーワード嵌まりまくりの心地よさ!」とありましたが、なるほどねというサウンド。実はその頃は私はハードロック愛好者になりかかっておりまして、作品の味がよくわからなかったというのが正直なところ。いま聴くと無茶苦茶イイけど、当時の俺は馬鹿で、楽しみ方がわからなかったのだね。

                f:id:yes_outsiders:20210103211343p:plain

 それでも、その当時でさえおもしろい・楽しいと思えたのがこの「Up Jumped The Devil」でありました。ボンボンいうベース、ぴーひゃら鳴るフルート、クールなのにファンキーなヴォーカル、そして、カラフルなドラミング。管楽器と鍵盤に助っ人がいるほかは全部自分でやってるというのはたいした才人だと驚きましたが、特にこの多彩なパターンを繰り出すドラム――リムの使い方とタム・フィルのドンツク振りがいい!――には参りました。やはりリズムというものへのこだわりが半端でない。

 

 そういえば、Billy Joelのドキュメンタリーでも、「Blond Over Blue」のリズム・パターンなどをめぐってビリーとダニーが熱く論じ合う場面がありましたね。こういう点にポイントを置くプロデューサーならば、「ハード・ロッカー!」なLiberty DeVittoとは違うタイプの人をドラムに起用するのも頷ける……と妙に感心したものでした。(『RIVER OF DREAMS』ではLiberty DeVittoのほかにZachary AlfordとSteve Jordanが参加してますが、特にザックの貢献は大きい。)

 

 「Up Jumped The Devil」は、タイトルもなんか気になっちゃったんだよねそういえば。どこかで見たと思ったら、Robert Johnson「Preachin’ Blues」の副題でしたわ。当然無関係であり、曲調も全然違うんですが、「悪魔が飛び上がったよ」ってのはどういうイメージなんでしょね。

 “♪Didn’t know right from wrong……”

 

 さきほど、ハードロック馬鹿だったので初めはピンとこなかった、と申し上げておきながらナンですが、なんだかんだでクーチの関わった作品て手に取っちゃう率が高い。The CityCarole KingJames TaylorJo MamaThe SectionAttitudesThe Flying Machineとか。近年も旺盛に活動されてるようで、The Immidiate Familyというバンドの一員としても作品を発表されています(こちらは未チェック……ごめんなさい)。