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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第9回「Heavy Metal Army」(1)

 わたくしはなにも外国作品ばかり聴いているわけではない。日本発のバンドでも好きなものはあるのです。
 
<作品紹介>
Heavy Metal ArmyHEAVY METAL ARMY 11981
 1.Heavy Metal Armyヘヴィ・メタル・アーミー)
 2.Yes or No(イエス・オア・ノー)
 3.Changelingチェンジリング
 4.Retaliation(リタリエーション)
 5.Rockin’ Long Spell of Rain(ロング・スペル・オブ・レイン)
 6.Street Seller(ストリート・セラー)
 7.That’s Hammrabian Police(ハムラビアン・ポリス)
 8.Birds of Destiny(生命の鳳)
メンバー
 Yuhki NakajimaKbd
JJJohn Joseph Patterson=Hiroto Arasaki〕(Vo
ChibiEiichi Miyanaga〕(Dr
ShinkiShinki Sugama〕(Gt
ChepitoMasahiko Takeuchi〕(Ba
 
イメージ 1


 70年代の日本ロック界で活躍した面々が中島優貴氏のもとに集ったスーパーグループ。ジャケットに記されている各々の経歴は、中島氏「カルメン・マキ&ラフ」、JJジョージ紫&マリナー」、チビ「」、シンキ「コンディション・グリーン」、チェピート「クリエイション」。沖縄ハードロックの実力者が半数を占めるというところが興味深いですね。


 ほとんど(6曲目を除く)が中島氏の作曲であり、音の面でも氏のキーボードが引っ張る場面が目立ちます。1曲目の冒頭からそう。といって、他の影が薄いというわけではありませんで、リズム隊はガッシリしっかりしているし、ギターも鋭く切り込んで来る。歌も同時代のロックバンドの中では圧倒的にうまいですしね。


 1曲目は、まあテーマ曲でしょうね。ミドル・テンポの重戦車サウンドなんですが、歌はキャッチ―で。全編キーボードのフレーズが耳を引きますが、楽曲後半に設けられたギターソロ・パートではシンキ氏の鬼気迫るプレイが聴けます。あ、中島氏自身ライナーで「サクソンとかアイアン・メイデンと同じヘヴィ・メタル・バンドという風に理解されることは、チョット違うんですよね!」と書かれている通り、所謂“ヘヴィメタル”な音ではありませんのであしからず。70年代風のハードロックがベースだと思います。


 アップテンポの2曲目も、曲をカラフルにしているのはキーボード。中間のソロも中島氏が前半を決め、満を持してシンキ氏に交代。Deep Purple風というわけではないのですが……。言い方が難しいですが、“新しくて古い”曲なのかな。当時は確実にPurpleよりもアップデイトされた音だったはずですが、今になってみると逆に時代を感じるという……。


 3曲目は中島氏自らリードヴォーカルをとる日本語詞の曲(このアルバムの大半は英語詞で、それらはJJが歌っている)。ここではDr,Ba,Gtが大活躍。


4曲目はJJ歌唱の、Black Sabbathを少しだけ彷彿させるヘヴィ・ソング。サビの盛り上がり(歌詞でいうと“~I  Dirtied myself in purities”のあとの「無音→”darkness”」のところがすごい迫力で鳥肌もの。


 5曲目はバラード、かな。JJが日本語詞で歌い上げる。控えめなオルガンが古き良きハードロック/プログレを思い出させるねえ。


 6曲目はジョージ吾妻氏の作詞作曲ですが、「(Street  Seller)これを説明しますと法に触れます。知りたい方は、辞書片手にじっくり取り組んで下さい!!」(中島氏ライナー)だそうです。比較的ストレートなハード・ロック


 7曲目も中島氏のリードヴォーカル曲。復讐の歌。JJと比べると中島氏は線が細いんですが、それで殺気立った歌詞を歌うとちょっと怖い。つまり、効果を挙げているのですな。この曲もKbdはあまり出張らず、ギター(ワウとアーミングの多用がシンキ氏の個性なのかな)が暴れまくり。


 最後の8曲目は、壮大な(大仰な)バラード。後年のインタビューでJJ氏は、バラードが好きというようなことを仰っているが、この曲も氏の熱唱が凄い。


 いやあ、あらためて通して聴くと、密度の濃い作品ですなあ。しかし、これだけのものを作りながらも、Heavy Metal Armyのアルバムは本作だけ。というのも、やっぱりバンド名が(いわゆるヘヴィメタルと取り違えられやすいということで)ネックだったらしく、ギターとベースが交替した時に改名してしまったからでした。イースタン・オービットと改名後のFUTURE FORCELIVE! JOURNEY TO UTOPIAも良作なので、チャンスがあればお聴きくださいませ。
 
<思い出話>
 さっき「名前がネック」と書いたばかりですが、わたくしにとっては逆でした。かつて国産ヘヴィ・メタル・バンド(こっちは正真正銘ブリティッシュ直系のヘヴィメタルAnthemの後追いファンだったわたくしは、あるベストアルバムの次に、Anthemとレーベルメイトの作品をコンパイルしたTHE VERY BEST OF NEXUSというコンピに手を出したのだ。(その当時、Anthemのオリジナル・アルバムは廃盤状態で手に入らなかったのです。)


で、『~NEXUSというのは、かつてあった「ネクサス」というレーベルに所属していたグループの曲をピックアップしたものだったのね。1-3曲目のAnthemは期待通り良かったのだが、このコンピでの収穫は別にあった。45曲目のNovela(特に4曲目の「Illusion」)の「ハードロック+プログレサウンドに「え?こんなのが80年代頭にあったの?」と感激し、1112曲目のSabbrabellsの気合いの入ったダークなヘヴィメタル11曲目の「Devil’s Rondo」は名曲である!)に白旗。この2バンドはこのあと全アルバム集めに奔走することになるのでありました。


そして、コンピには他にもEarthshakerPresenceSabrinaEmotionとあって、最後の一曲が「Heavy Metal Army」だったわけです。お察しのとおりメタルバカだったわたくし、「曲名からして最高じゃねえか」と思って勇んで聴くと、思っていたのとはちょっと違ったけど、これはこれでいいなあ……。で、頑張って大きなCD店を探したら、キング・レコードから出ていた「Japanese Rock Legend」シリーズの一つとして再発されていた本作に突き当たったと、こういうわけでございます。


なんか毎回ヘンな苦労話ばかりしているような……しかしですな、こういうことが多いので、わたくしは「音楽はディスクで聴きたい(ダウンロードはちょっと……)」派になってしまったのですよ。


まあ、それは別にしても。コンピレーションというのは結構重要ですよ皆さま。NEXUSなんかは、今振り返れば所詮は全部既発曲だったわけで、同時代のファンにしてみれば中途半端な商品だったに違いない(じっさい、そういう感想を書かれているのも目にしたことがある)。ところが、それがわたくしのごとき――当時を知らぬ――若造には「お宝の地図」になることもあるのですからね。「編集」という作業はホントに大事。