DON'T PASS MUSIC BY

"There is no wrong or right, and nobody's talking to anyone......"<Love Sculpture>

第60回「Bobby Harrison」(4)

 次はこちら。大半をオリジナル曲で固めてきました。エンジニアにRoy Thomas Baker(Queenの仕事などで有名……になる)を登用しているのも英国ロック・ファン的にはポイント。

 

Freedom『FREEDOM』(1970)

  1. Nobody
  2. In Search Of Something
  3. Dusty Truck
  4. Man Made Laws
  5. Ain’t No Chance To Score
  6. Pretty Woman
  7. Freedom
  8. Frustrated Woman

<メンバー>

 Bobby Harrison(Vo, Dr)

 Roger Saunders(Gt, Vo)

 Walter Monaghan(Ba, Vo)

f:id:yes_outsiders:20200831223912p:plain


 トリオ演奏の妙味+巧みなヴォーカル(コーラス)ワーク、というバンドの個性がようやくはっきりしてきましたかな。後期ビートルズの作風をヘヴィ・ロック方面で引き取って育てた、みたいなSaunders作の「Nobody」からスタート。Walterの躍動ベースは相変わらずだけど、ギターとドラムが従来以上にこれと組み合っててバランス良し。Saunders/Harrison作の「In Search Of Something」も、これとテイストは似ています。テンポはグッと落としてますが、キメのフレーズをわかり易く盛り込んでドラマティックに展開。

 

 3曲目の「Dusty Track」。前回お読みいただいた方は覚えがあることでしょう。Saunders/Monagham作。ただし、こちらは8分弱の‟完全版”で、演奏のクオリティもアップしています。決してダークな曲ではないのですが、このテンポ感とヘヴィなリフレインは、「ドゥーム」に通じるものがある、と言っておきましょう。Black Sabbathにしてもルーツはヘヴィ・ブルーズであったわけでして、この辺のブルーズ・ロックの重ぉーいやつは、隔世遺伝で後のヘヴィ・メタルを予告しております。Freedomはまずこの曲を聞け!とまず申し上げてしまいましょうか。

 

 「Man Made Laws」はHarrison/Saunders作、得意のミドルテンポ。ロジャー・ソーンダース氏のギターワークは、粘っこいソロもいいけど、バッキング時における掻き鳴らしのコード感が絶妙ですな。リフ主体のハードロック作法とは少し趣が異なるのが面白い。リズムセクションの絡み具合も佳い。Bobby Harrisonさんのドラミングは、決して派手でも(フィルなどの)引き出しが多いわけでもないのですが、Walterさんとの組み合わせは強力。

 

 「The Red and The Black」(Blue Öyster Cult)でも始まるのかっていう“♪ジャラララ~~~”の後に始まるのは、意外や意外、軽快なシャッフリング・ロックンロール「Ain't No Chance To Score」。Harrison/Saunders作。なんだ、ヘヴィ・ブルーズ以外も出来るんじゃないの。Rory Gallagherが得意としたような(Cf「Hands Off」)ご機嫌なナンバーだ!

 

 「Pretty Woman」(A.C.Williams作)はカヴァー。Mike VernonがプロデュースしGus Dudgeonがエンジニアリングした――ご両名とも当ブログでは登場済み――John Mayall’s Bluesbreakers『CRUSADE』(1967)では、Mick Taylorがクールにギターソロをキメてたなあ。Freedomは(それよりもさらに)かすかにテンポを落として、例によってヘヴィに仕上げてます。かなりのロングソロが聴けますが、この曲に限らず本アルバムではソーンダースさんの頑張りが目立つなあ。

 

 ここまで来て、タイトル曲「Freedom」の登場。バンド全員の共作。必殺のヘヴィ・グルーヴ&なかなかに力強いヴォーカル。短い曲ではないのに、展開らしい展開はなく執拗に迫るつくりはFreedom味そのもの。ラストの「Frustrated Woman」もバンド全員の共作ですが、こちらはピアノも入りながらみんなで弾んでいくロックナンバー。こちらも、(いわゆるプログレ的展開は一切なく)基本グルーヴで押し切っちゃいます。キャッチーと取るか単調と取るか……少なくとも彼らは「この作法」を十八番にしていました。

 

 おお、終わったか。前作に聴かれた"どっちつかずのところ"がなくなり、演奏もこなれて名品に仕上がっていると思いました。手に入れやすいかどうかはともかく、「まず一枚」というならこちらの方がよろしいでしょう。

 

 と、いま聴くとなかなかのしろものなのに、やっぱり当時は英国リリースは無かった、っていうから困っちゃう。本国リリースが叶うのは、次の『THROUGH THE YEARS』(1971)からになりますが、その時にはもうWalterさんは離れていたのでした……

<続く>